商品情報・ストアヘッドホン The Headphones Park 開発者インタビュー MDR-XB900 開発者インタビュー PART2

Engineer's Interview MDR-XB900 開発者インタビュー PART2

世界中のミュージックラヴァーが納得する、
機能と合目的性がそのまま昇華された
新EXTRA BASSシリーズのカタチ。

取材:大橋 伸太郎

高音質を生み出した原点にイヤーパッドへのこだわりがあったことが分かった。今回のオーバーヘッド型MDR-XB900/600/400は長時間装着の快適性を武器に携帯性を重視している。使わない時は、折り畳み機構によってコンパクトにして、カバンに放り込んでおけばいい。行動するヘッドホンといっていい。金山氏が続ける。
「前回のモデルと大きく違うのは携帯性です。前回はクラブミュージックファンという限定的なユーザー層へ絞り込んでいました。今回は裾野を広げ一般的なポップスファンがアウトドアでも使うことを前提にしました。その結果、ハウジング回りがぐっとコンパクトになっています。前回はキングサイズの耳覆い型だったのが、コンパクトな耳乗せ型に変わりました。耳乗せ型だとイヤーパッドと耳の接触面積が大きいので縫製部が当たっていると長時間装着して痛くなります。シームレスイヤーパッドと呼んでいる、縫製の縫い目の出ないものを採用して快適性を実現しています。」
松尾氏が引き継ぐ。
「オーバーヘッド型の場合、イヤーパッドは快適性と高音質の両方に深く関わっています。ことに超低音域まで再生するEXTRA BASSシリーズの場合、どこまで気密を取れるかが鍵です。装着性を試したり縫製方法を変えたり、金山とカットアンドトライを繰り返して一歩一歩完成に近づきました。今回、商品企画からEXTRA BASSシリーズをコンパクトにしたい、というミッションが来た時、正直言って難しいなあ、と頭を抱えました。コンパクトなサイズの中でいかに気密の取れるイヤーパッドが作れるかをクリアしないと、第一世代の成功を凌駕するヘッドホンは創れない。イヤーパッドの試作から始まったのはそれが理由でした。」
「耳覆い型でないため、耳をスッポリ完全に包み込むことが出来ません。耳の上で圧着した状態で気密をとることが一番難しかった点です。しかし、イヤーパッド形状のおかげでそれに成功したと考えています。」と金山さん。
音質のよさ、快適性は初めてMDR-XB900を手にした時から理解しましたが、この日ソニーに伺う往路の電車でMDR-XB900を付けて大音量で音楽を聴いて、誰からも睨まれなかったから音漏れという点でも申し分ないかも…。
「以前のEXTRA BASSはアウトドアで使われることを正直あまり考えていませんでした。ところが付けているとカッコイイので、人目に触れる場所で使うユーザーが意外に多かったのです。今回の新EXTRA BASSはアウトドアでの使用を前提に、音漏れについても以前より考慮しています。」松尾さんが満足げに目を細める。

さて、身にまとって外へ飛び出していくからには、着けているとユーザーがまぶしく見えるデザインが考え抜かれているはずだ。ここでインタビューにもう一方ご登場願おう。Sony Electronics Inc. Design Center勤務のデザイナー清水直人氏。彼の職場はサンディエゴ。8時間の時差があるから当地は深夜なのだが、今回のインタビューのためにわざわざ出社、MDR-XB900を手にテレビ会議システムの前に座ってくれた。

清水直人氏

Sony Electronics Inc. Design Center 清水直人氏

「新EXTRA BASSシリーズの機構上の特徴はスイーベルに加えて新たに折り畳み機構を取り入れたことです。デザインとしては折りたたみ軸や回転軸を隠さず潔くデザインすることで製品全体を力強く見せながらデザインのアイキャッチにする工夫をしています。さらに初代EXTRA BASSシリーズで革新的だったネイキッドのスライダー構造はそのままに、頭の形にぴったり沿うヘッドバンド形状にすることで大きなハウジングのヘッドホンでありながらコンパクトに見えるデザインになっています。球体からスパッと切り出したようなハウジング形状は見た目にボリューム感があり、EXTRA BASSシリーズの豊かな低音を造形で表現できないかと考え導きだしたものです。金山にこのアイディアを話してみると実際にハウジング容積も必要だということが分かったため、非常に合理的な造形だということが言えます。

各部の虚飾を排し道具としての裸の合理性を訴えることで、いい音の象徴に先立つ道具としての本質を追求することをテーマとしました。
さて、こうして完成した新EXTRA BASSシリーズだが、完成品について開発者自身の手応えを聞いてみよう。まず金山氏。
「僕自身はコアなクラブファンでなくJ-POPを始めとしたポップミュージックを聴く一般的な音楽ファンです。そうした一般の音楽にもダンスミュージックの要素が入り込んでいて、聴き慣れたソースを新EXTRA BASSシリーズで聴くと、ベースの音にそれまで実感出来ていなかった音が聴こえてきて、音響設計の松尾が狙った音がはっきり見えてきました。」
――携帯性も使って試しました?
「オーバーヘッド型で50mmの大口径振動板を使っているので、筐体にある程度ボリューム感があるのは仕方がありません。しかしコンパクトに折り畳めてしまえるところは実現出来ていて外に持ち出しやすくなっています。」

オーバーヘッド型

――それでは金山さん、一足先に発売されたインナーイヤーをすでにお使いのユーザーにオーバーヘッド型の新EXTRA BASSシリーズのラインアップをアピールしてください。
「 MDR-XB900は臨場感です。重低音を体で感じることが出来ます。一度体験してみてほしいです。インナーに比べると目立ちますので自慢してほしいです。(笑)
MDR-XB600はMDR-XB900に準ずる製品です。折り畳み機構も同じです。振動板が40mmとやや小径化されていて携帯性により優れる一方、音質も最大限追求しています。

MDR-XB400は折り畳み機構ではなくスイーベル機構により携帯性を実現しています。ヘッドバンドが樹脂性なので軽く、価格も求めやすくカラバリも三種類あるのでご自身の好みで選ぶインティメートなEXTRA BASSシリーズです。」
次に松尾さんに同じ質問をしてみよう。
「EXTRA BASSシリーズの特徴はイヤーパッド形状の追い込みの結果、普通に装着するだけで重低音が誰でも瞬時に楽しめます。他社の重低音ヘッドホンは低域まで再生してはいても、正しく装着が出来て初めて聴こえてくる場合が多いのです。新EXTRA BASSシリーズは自分がこだわりのあるミュージックラヴァーであることを堂々と表現するアイテムだと思います。デザインも渾身の作です。新EXTRA BASSシリーズのオーバーヘッド型をまとって街に飛び出してほしいです。」

MDR-XB900

MDR-XB900

MDR-XB600

MDR-XB600

MDR-XB400

MDR-XB400

最後に松尾さん、金山さん、清水さんに新EXTRA BASSシリーズの<心>を一言で表現していただこう。
まず清水さんから。
「Bold(大胆)、です。」
松尾さん。
「ノレる、です。」
金山さん
「心地よい、です。」

重低音ヘッドホン

新EXTRA BASSシリーズオーバーヘッドホンMDR-XB900/600/400は全世界の音楽フォンの注視を浴びて登場する。そこにはなぜ今ヘッドホンの時代なのか、のアンサーが確かにあった。他の道具と同様オーディオもパーソナル化の道を歩んできたが、ヘッドホンにはパーソナル化のその先の世界、一人一人の感性や音の嗜好、ライフスタイル、アイデンティティと寄り添い一体化する領域が豊かにあるのだ。
空前のヘッドホンブームの最中、ヘッドホンは次のステージを迎えつつある。最後に三方が語った<一言>にそのヒントがある。つまり、テクノロジーと人間の官能領域が一体化し時空を気ままに飛翔する音楽再生空間である。ヘッドホンの未来は明るく大きい。そこへつながる扉が新EXTRA BASSシリーズである。<了>

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商品情報

ステレオヘッドホン

MDR-XB900

スケール感あふれる迫力の重低音。新開発50mmドライバーユニットを搭載したオーバーヘッドバンドタイプのEXTRA BASSシリーズヘッドホン

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