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東京カメラ部10選2016 小林修士
〜後編〜 「あの頃の光を求めて」

α Universe editorial team

α7R IIを使い昭和テイスト溢れる独創的なポートレートシリーズを制作している小林修士さん。インタビュー後編では、ポートレートでオリジナリティーを出すための創意工夫についてお伺いした。

小林 修士/フォトグラファー 1989年、渡米。アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン写真学科卒業。1996年よりフリーランスとして活動を開始。ロサンゼルスをベースにハリウッドのセレブリティの撮影をする。2011年に帰国し、雑誌、広告などの分野で活動中。2016年3月神保町画廊にて個展「left behind -残されたもの-」開催2017年9月に玄光社より写真集『密会』発売予定。同月、神保町画廊にて個展『密会』開催。

──作品を拝見していると、ハイライトが滲んでいるような描写のものも多いです。 これはワセリンを使っているんです。レンズの前にプラスチックの板を付け、その上にワセリンを塗ってソフトフォーカス効果を作っています。イギリス人の映画監督であり写真家だったデイヴィッド・ハミルトンが使用した手法と言われております。EVFを見ながら、小指の先程度の量のワセリンをプラスチック板の上で滲みの効果を出したい所にのばしていきます。フィルターの効果は絞り値によって変わってくるんですが、EVFの場合は実絞りの画が反映されているので簡単に判別できます。一眼レフの光学ファインダーの場合、撮影時に絞り込みが行われるため効果が確認できないんです。

α7R II,FE 35mm F2.8 ZA 35mm,F5.6,1/125秒,ISO640

──逆光や半逆光を多用されています。 単純に表現として好きですね。身につけている服の透け感を狙い、透けた服の奥に体のラインが見えるような写真を撮りたかったんです。また、ワセリンを使った撮影やソフトフィルターを使った撮影では、光があることでその効果が発揮されていくので、自ずと逆光や半逆光が増えていきます。僕が影響を受けた写真家の多くは自然光を多用している人が多いのは事実です。一番美しい光を探して、そこに人物を置いて撮るという感覚です。

α7R II,FE 55mm F1.8 ZA 55mm,F2.8,1/60秒,ISO1600

──フラッシュは使用しますか? 自然光だけで撮っただけでは黒く潰れてしまう部分が出ることがありますから、フラッシュを補助的に使いそれを防ぐことはあります。例えばテレビ台の下とか机の下を黒潰れさせないようにするとか。暗い部分を出すためだけに写真全体の露出を明るくすると今度は白飛びの危険性がありますし、レフ板で対処できないような位置が暗い場合も多いんです。ただし、ストロボは直接当てるのではなくアンブレラで柔らかくしつつ、マニュアル発光で1/128や1/64くらいのわずかな発光でシャドウを拾うようにしています。

α7R II,FE 35mm F1.4 ZA 35mm,F4.5,1/100秒,ISO1250

──α7シリーズにオールドレンズを使う人は多いです。小林さんもそのような使い方をしますか? たしかに、ワセリンやソフトフィルターを使うのはハレーションを作るためで、どんなに逆光で撮ってもフレアが全く発生しない現代レンズはちょっと優秀すぎると思う時はありますね。コーティングを全て除去しまってもいいかなと思ったり(笑)。たまにレンジファインダー用レンズを使うこともありますが、やはりそこでもフォーカシングの不安がつきまとうんです。ピントを外しているようにジャスピンの写真を後から編集することはできても、ピントが来ていないものを来ているようには見せられないじゃないですか。撮影においても、編集においても、発表においても、常に自分を疑っているから、できる限り応用の利く手法を採っていきたいんです。

α7R II,FE 35mm F2.8 ZA 35mm,F5.6,1/125秒,ISO800

──そのような発想があるのであれば、高画素機であることも重要な気がします。 たしかに画素数に関しても大きな矛盾を抱えています。購入当初は高解像で高画素であり、瞳のディテールが出るカメラを求めており、迷うことなくフルサイズのα7Rを導入しましたが、いまはフィルムのような質感にレタッチしていて、逆にシャープネスなどを落としまくっています。世界観だけでなく、写真そのものも70〜80年代に撮られたもの発色にするという目的があり、当時の写真を参考にレタッチしていたりするんです。当時の写真と言うと語弊がありますね。35mmフィルムであっても、良いレンズを使い低感度のフィルムを使えば驚くほど高精細で、いま多くの人が持っているような粗さがフィルムらしさではありません。僕が参考にしているのは、あくまで環境が良くない中で撮られたような家のアルバムから出てくるような写真。一度、フィルム時代に多くの人がプリントしていたサイズであるL版にして展示する機会があったのですが、いくらシャープネスを落としてもプリントサイズが小さいことによって、シャープに見えてしまうので苦労しました。「密会」だけの特殊性だとは思いますが、自分自身の中では、画質に関して矛盾している状況です。ただ、僕は光を大切にした作品が多いため、シャドウ部やハイライト部のディテールを残したいので、ダイナミックレンジが広いという点はありがたいですね。

α7R II,FE 85mm F1.4 GM 85mm,F5.6,1/100秒,ISO640

──お話しをお伺いしていると、常に作品をより良くするために求道しているように感じます。 常に満足していません。逆に満足したら写真を辞めるんじゃないかと思いますね。現像にしたって撮影にしたって、その時の正解と半年ごと一年後の正解が同じかなんてわかりません。もしくは、この形で発表をするなら正解かもしれないけれど、他の形で発表をするには間違っているかもしれない。僕は自分の写真は嫌いじゃないけれど、いつも物足りなさを感じているんですよね。

──一度の撮影での撮影枚数は? α7R IIIは買うと思いますが、まさに撮影枚数が問題になると思っています。というのも、α7R IIIからデュアルスロットになって、2枚SDカードを入れられるんですよね。ただでさえ、1回の撮影で250GBくらいは撮ってしまい、後から編集するのが大変なくらいなので、撮りすぎないように注意しないといけないですね。ですから、撮影の時は30分のタイマーをかけて、時間経過を把握するようにすています。。さすがに最初のシーンからヌードになってもらうことはないですが、最初から没頭しすぎると、ヌードになるときにはもう時間がなくておしまいみたいなことになってしまうためタイマーを利用してます。使うSDカードも特定の容量にしており、いっぱいだから次に移ろうという目安にすることもあります。デュアルスロットになっても、自分のペースに合ったカードを使わないといけませんね。α7R IIIはバッファが速くなっているそうで、それも楽しみにしています。僕はすぐにバッファが詰まって撮影が途中で止まってしまうので。

──自然光が常に変化する現場 昼から夕方にかけての自然光は常に変化していて、少し時間が経つと消えてしまうじゃないですか。その常に変わる光を考えながら撮影をします。いつも使うスタジオだと、どの時間にどんな光になるかは、大体わかります。もちろん天気によって全然かわるときもありますが、その光を計算しながら撮る場所を変えていきます。一回の撮影で250GB分撮ることもあり、枚数は異常かもしれません。でも、最初は見向きもしなかった写真が後になって素晴らしいものに見えることもあるんです。常に物足りなさを感じることにもつながると思いますが、いつももっと良いものが撮れるのではと自問自答しながら取り組んでいるからかもしれません。

α7R II,FE 35mm F1.4 ZA 35mm,F5.6,1/125秒,ISO320

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