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クリエイターの珠玉の映像表現や想いを、ご自宅へ。 新しいコンセプトのオンラインギャラリー 「Creative Gallery on BRAVIA」 第4弾 写真家 森山 大道 氏

α Universe editorial team

Android TV機能搭載テレビ ブラビア(BRAVIA)で、プロ写真家・映像クリエイターの作品をインターネットで視聴いただけるオンラインギャラリー「Creative Gallery on BRAVIA」は、一般的な写真展と異なり、ご自宅で、ブラビアならではの大画面・高精細な表現力で時間を気にせずお楽しみいただけます。さらに、音声(BGM)を交えた写真や映像作品など、多種多様な表現が可能。作家の趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご自宅のリビングに感動をお届けします。※ネットワークに接続されたAndroid TV 機能搭載のブラビアをお持ちの方であれば閲覧無料。 第4弾は写真家の森山大道氏。ソニーのデジタルスチルカメラ「DSC-RX100M7」で今回のために車の中から都市の夜景を撮り下ろした作品『TOKYO NIGHT CRUISE』を紹介します。今までに300冊以上の写真集を発表し、また海外でも大規模な展覧会を開催し続ける写真家に、写真を撮ること、見せることについて伺いました。 聞き手:村上仁一

森山大道/写真家 1938年大阪府池田市生まれ。デザイナーから転身し、岩宮武二、細江英公の助手を経て、1964年にフリーの写真家として活動を始める。1967年『カメラ毎日』に掲載した「にっぽん劇場」などのシリーズで日本写真批評家協会新人賞を受賞。 近年では、サンフランシスコ近代美術館(1999年・メトロポリタン美術館、ジャパンソサイエティー(ニューヨーク)巡回)、国立国際美術館(2011年)、テートモダン(ロンドン)で行われたウィリアム・クラインとの合同展(2012〜13年)他、国内外で大規模な展覧会が開催され、国際写真センター(ニューヨーク)Infinity Award功労賞を受賞(2012年)、フランス政府より芸術文化勲章(2018年)、ハッセルブラッド国際写真賞(2019年)を受賞するなど世界的に高い評価を受けている。

瞬間が「擦過する」 車窓からの都市の夜景

――今回、オンラインギャラリーで見せていただく撮りおろしの作品は、森山さんの事務所がある新宿からご自宅がある逗子までの帰り道で撮られたものと伺いました。 森山:そうだね。基本的には東京都内の都市の夜景を、車の窓から撮った写真です。新宿、渋谷、銀座など、ルートを決めて行ったわけではなく、久しぶりに新宿の夜景を見ようとか、逗子へ帰るときに必ず通る渋谷とか、湾岸沿いの夜景とか、なんとなく行った先で撮った写真だね。

――この看板の写真、外国の風景みたいで面白かったです。 森山:ああ、それは1点だけイレギュラーな写真で、ドン・キホーテの屋上の駐車場で撮りました。トイレで立ち寄った時に撮った写真です。そういう意味ではとってもリアルな写真だね(笑) ――なぜ夜景を撮られることにしたのですか? 森山:このカメラとてもきれいに明るく写るから、夜景を撮るのにいいと思って。実際に撮ってみて思ったけど、ブレないし、シャープに写るし、ぴったりだよね。僕はもともと、都会の夜景が好きなんだよね。一番好きな夜景は、ニューヨークのマンハッタン。パリやロンドンより、なぜかニューヨークの、特にタイムズスクエアの夜景が好きで。ここにプレハブを建てて住みたいと冗談を言っているくらい好きで。以前、撮影で行った時も、僕はそんなに長くいたつもりないのに、1時間くらい撮り続けていたみたいでね。夜景ってエロティックじゃない?そういう夜景が僕は体質的に好きだから、久しぶりに夜景を撮って、何か感じるものがあったね。

――車窓からの都市風景と言えば、1960〜70年代の「On the Road」や「国道シリーズ」、「何かへの旅」など、写真集『狩人』(中央公論社、1972年)に収録された作品を彷彿とさせますね。 森山:そうですね。昔はよく四日市で夜のコンビナートを撮ったり、中平卓馬と一緒に川崎のほうに行ったりして夜景を撮っていたね。中平は夜景が好きで、車の中からも撮ったりしていたので、その頃のこともフッと思い出したりしたね。 ――今も車窓から撮られることはありますか?歩いて撮るときとの、意識や所作の違いなどはあるのでしょうか。 森山:歩いて撮るから車窓からはあまり撮らないけど、でも今回は車窓からが面白いなと思ってね。歩いて撮ると、すれ違う人、すれ違う街角、みたいなものに目が行ってそれを撮るよね。でも車から撮ると、立ち止まって路地を撮るとか映画館の前で撮るとかじゃなくて、流れる感じがいい。その流れる風景に感応するものがあって。しかもそれが夜だと、セクシーというか、エロティックというか、かっこいいんだよ。フロントガラスに映る、僕の目に映る、その擦過する瞬間がいい。撮るのは一瞬で本当に撮れたかわからないくらいなんだけど、その瞬間、網膜に映るイメージはいつまでも残るよね。

――今回の作品はすべてモノクロでしたが、いつもどの段階でモノクロにしようと決められるのでしょうか。 森山:僕自身は基本的に撮影時からモノクロームのつもりで写しています。たまたまカラーで面白いのがあったらカラーにしますが、今回も最初からモノクロのつもりで撮りました。モノクロームの夜景が好きなんですよ。もちろん、歌舞伎町に行くと派手な看板があったりして、それはそれでカラーでも面白いんですけどね。基本的にはいつもモノクロの感覚で撮っています。 ――そうなんですね。寄ったり引いたり、ズームも使われて撮影されていますが、好きな画角などあるのでしょうか。 森山:好きな画角というより、昼間の新宿の人波でも、直感であっという間にズーミングして撮っちゃう。バッと全体を一瞬で撮って、サッとズームで寄って撮れる面白さ。というか、面白いというよりカメラが有能だよね。何かを撮ろうっていうときに、周りが邪魔だなと思ってズームしたり、逆にごちゃごちゃしている街の感じがいい場合もある。ズームはそういう感じでフレキシブルにできるのがいいよね。

――今回使われた「DSC-RX100M7」はどうでしたか? 森山:この前、仕事で俳優を銀座のギャラリーで撮った時にも使用したんだけど、本当によく写るなって。ちょうど僕の『記録』の展覧会中だったんだけど、今まで『記録』で撮った写真が全カットプロジェクションされているという展覧会で、その中をふらふら徘徊してもらってそれを撮った。ものすごい量のカットが、パッパッって変わっていくわけ。そんな暗いギャラリーの中でも明るい写真が撮れるんだよね。人物も、背景も。

撮って選んだものをすべて載せる 写真誌『記録』

――森山さんは、1972年に始めて5号で一時休刊となった私家版写真誌『記録』を2006年からAkio Nagasawa Publishingより復刊して、現在50号まで出されています。今は森山さんが撮影して選んだものをすべて載せるという方法で制作されていると聞きましたが、写真を選ぶときは何に重きを置いて選んでいますか? 森山:色々あるけど直感だよ。街頭で撮る時と同じこと。たとえばモニターやネガを見て、こう撮ったけどやっぱりその隣のカットのほうがいいなって、直感で選ぶ。だから僕は、検討するということがほとんどないね。

――選ぶときにまた写真と出会いなおすということですね。『記録』は数カ月に1度出されていますが、今後撮ってみたいもの、行ってみたいところはありますか? 森山:特にはね・・・。『記録』51号は今編集中だけど、それは西新宿で撮った。本当はどこかに行こうと思っていて、ずいぶん長く仙台に行ってないから行こうと思ったりしたんだけど、地震か何かで新幹線がストップして結局行かなかった。それなら、もう地元の西新宿を撮ろうと。歌舞伎町はわりとよく撮ったけど、意外に西新宿そのものだけを撮ったことは少なくて。 かつては歌舞伎町のあたりをウロウロしちゃさ、西新宿のビル街を見て「あっちは別」とか思っていたけど、ビル街だって人間の世界だから、行くと面白いわけ。しかも西新宿はガード下の飲み屋街があったりするじゃない。もうここで十分、という感じで撮ってるの。次は決まってないけど、原宿を撮ってみようかとかね。撮る場所に深い理由はないんだよね。

とにかく写真を見てほしい。 好きに記憶してもらえたら嬉しい。

――今回はソニーのAndroid TV ブラビアという大迫力のテレビ画面で森山さんの作品が見られるオンラインギャラリーの企画なのですが、モニターで写真をどのように楽しんでもらいたいですか?

森山:僕がたとえば、渋谷や新宿、銀座の夜景を見て、直感的に感じることがあるじゃない? そういう風に見てもらえるのが一番いいよね。この写真はこういうもので、こう撮ったということではなく、撮っている人間と同じような感覚で、見てもらって、感じてもらえるといい。でも当然、見る人によって感じ方は違うわけだから、それぞれの感覚で見てくれたらと思う。 ――今回の企画のように、紙の印刷物だけでなく、モニターやスマホの液晶で写真を見る機会も増えてきていますが、森山さんはそのことについてはどう思われますか? 森山:僕はスマホ持ってないけど、でもみんながデジタルカメラやスマホで写真をバンバン撮って、見せていること自体がいいなと思います。そうやってどんどんいろんなショット、いろんなカットが広がっていくわけじゃない。大げさに言えば世界中にね。それは写真が持つ本質みたいなことだから。 ――世界と言えば、森山さんは2022年8月14日までブラジル・サンパウロにあるモレイラ・サレス・インスティチュート文化センターで大規模な回顧展が、そしてイタリア・ローマの MAXXI(イタリア国立21世紀美術館)でも、10月16日まで東松照明さんとの展覧会が開催されていると伺っています。遠く離れたところで外国の人たちに写真を見てもらうというのは、どのようなお気持ちですか?

森山:単純に、写真を見てもらえることが嬉しいね。1枚の写真も、1冊の写真集も、見る人によってすべて印象が変わる。それが面白い。サンパウロの人もローマの人も、好きに見て考えてもらえればいい。そしてできれば、好きなように記憶してもらえたら嬉しいと思う。 見てもらわないとしょうがないんだよ。いくら撮ってもね。大げさに言えば、見てもらう回数分、1枚の写真がいろんな“生き方”をしてくるわけじゃない?僕はもういい年齢だけど、それでも撮ったら見てもらいたい。だから、定期的に出している『記録』は、僕にとって重要なことなんだよね。 ――最後に、路上スナップは撮りにくい世の中にもなってきました。写真を撮る若い人たちにメッセージを頂けますでしょうか。また、森山さんが考えるカメラや写真の未来があれば教えてください。 森山:とにかく、撮りたかったら撮れよっていう単純な一言につきるよね。街が面白かったらどんどん街に出て、もっといっぱい撮ればいい。結局、その中からしか出てこないよね。その場で撮りたいと思って撮る1枚というのが写真だから。それがいいんだよ。深い理由はなくていい。ただ目の前の食べ物が撮りたいと思ったら撮ればいいんだよ。 写真の未来?そんなの、僕に聞かないでよ(笑)。カメラや写真の未来がどうなっていくか僕は分からないし、そういう先のことは考えない。それより目の前には西新宿のおっちゃんがいるんだからさ。そんなこと考えている時間があるなら、1枚でも多く撮りたいよね。

「Creative Gallery on BRAVIA」では、この記事で紹介された作品をはじめ本作品展をソニーのAndroid TV ブラビアでご覧いただけます。閲覧無料、クリエイターの趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご体感ください。

ご自宅のブラビアおよび、東京・札幌・名古屋・大阪・福岡の全国5カ所にあるソニーストア店内のブラビアでも作品をご覧いただけます。

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