

鉄道絶景+α
第20回山形鉄道 フラワー長井線
(山形県)
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:4月21日 10時49分山形鉄道 フラワー長井線(羽前成田駅付近)
写真左側に写る防風林に守られて、咲き誇るシダレザクラ。この感動的な春の光景を、α1 IIは花1つ1つが浮き上がるように、丁寧に描写してくれた
秘密の花園に咲くシダレザクラ。αで描く春景色
今年の桜前線は、駆け足で日本列島を通り過ぎていった。撮影に出かけた4月中旬、関東から北の里山では、ソメイヨシノが満開を迎える時季でも景色は枯れ色に包まれている。桜が散ると新芽が一斉に芽吹き、野辺の花が咲き始め、風景全体が萌えるように輝き出すのだ。僕は、桜が散ったあとの、静かな季節の移ろいが好きだ。
そんな季節に旅したのは、山形鉄道フラワー長井線。朝日連峰の麓に広がる里山の風景の中を、のんびりと走る路線だ。残雪輝く飯豊山をバックに走る列車や、新緑とヤマザクラの艶やかな共演など、この季節しか撮れない鉄道絶景を、α1 IIとともに切り撮っていく。有効約5,100万画素を誇るα1 IIの高精細な描写力は、作品を見てもらえば一目瞭然だが、撮影していて心地良いのは階調表現の豊かさだ。春と新緑の柔らかい色合いを美しく再現してくれる。それにより、写真を見た人は僕と同じ撮影場所に立って風景を眺めているような、臨場感を抱ける。この誌面から、のどかな春の空気を感じてもらえたらうれしい。一見すると穏やかな春の風景だが、撮影日は風速8〜10m級の強風が長時間吹き続け、沿線各地の遅咲きの桜もほとんど散ってしまっていた。「この風で春も終わりか……」と諦めかけたとき、感動的な光景に出合った。なんと羽前成田駅の構内に咲くシダレザクラが、強風をものともせず、青空に両手を伸ばすかのように咲き誇っていたのだ。これだけの強風でも散らなかったのは、駅を風雪から守る防風林によって風が弱められていたから。鉄道の安全を支える防風林によって保護された、秘密の花園に咲く満開のシダレザクラと、サクラ色の列車の共演は、この春一番の忘れがたい絶景となった。
撮影日:4月22日 9時10分山形鉄道 フラワー長井線(梨郷〜西大塚)
柔らかな春の光の下、新緑とヤマザクラに包まれた線路は、春の回廊のようだ。そこを走る列車も、気持ち良さそう。草むした線路が、旅情を誘う
撮影日:4月22日 8時46分山形鉄道 フラワー長井線(梨郷〜西大塚)
雪をたたえた飯豊山の雄大な光景に、思わず息を飲む。カラフルな列車の側面に光は当たらないが、α1 IIの広いダイナミックレンジにより、細部まで再現できている
撮影日:4月21日 13時14分山形鉄道 フラワー長井線(蚕桑〜鮎貝)
春の淡い光の中、残雪の山々をバックに走る列車。地面に寝転んで、手前にナノハナを入れて、春らしさを演出した。絶景ではないが心和む光景だ
撮影日:4月21日 9時32分山形鉄道 フラワー長井線(羽前成田駅付近)
強風が吹いたと思えば、今度は大雨が降ってきた。そこで、手前の桜にピントを合わせて奥の列車を大胆にぼかした。状況によってさまざまな表現ができるのがこのレンズの強みだ
<Pickup LENS>FE 50-150mm F2 GM
右の作品は最初の見開きで撮影したシダレザクラを、FE 50-150mm F2 GMの開放で撮影したもの。まさにこのレンズでしか表現できない世界を生み出している。望遠レンズでありながら、大口径単焦点レンズのように撮れるこのレンズにより、広がる表現の幅は計り知れない。
<Photo Technique>
センサーへのゴミ侵入を防ぐ設定
MENU→[セットアップ]→[セットアップオプション]→[電源OFF時のシャッター]→[入]に設定すると、電源をオフにした数秒後に自動的にシャッターが閉まり、センサーへのゴミの侵入を防げるという目からウロコの機能を発見した。シャッター幕は繊細なので傷つけないように十分注意しよう。
<絶景EPISODE>
何気ないが味わいのある風景を捉える撮影日:4月21日 16時51分山形鉄道 フラワー長井線(雨前成田〜白兎)
今回は華やかな作品を中心にご覧いただいたが、最後に鮮やかさこそないものの、春の淡い光の美しさを捉えた、味わい深い作品も見てほしい。道路脇に立つ何の変哲もない木だが、これを画面に入ることで、まるで物語が始まるような、作品の広がりをプラスすることができたと思う
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