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初期の名作Aマウントレンズを、
最新カメラで扱う喜びを与えてくれる。
〜新マウントアダプター「LA-EA5」がAマウントレンズオーナーにもたらす新たな写真の可能性〜

α Universe editorial team

ミノルタ時代からαを愛用し、類い希なる感性で写真を撮りつづけている写真家の小澤忠恭さん。今回はα7R IVにマウントアダプター「LA-EA5」を装着し、小澤さんが保有するAマウントレンズで撮影した作品を披露。アダプターの使用感やレンズ資産が使える意義などを語ってもらった。

小澤 忠恭/写真家 1951年、岐阜県郡上八幡生まれ。
1972年、日本大学芸術学部映画学科中退。
1981年、小学館月刊写楽「僕のイスタンブル」「ブエノスアイレスの風」でデビュー。
人物写真を、集英社すばる「作家の貌」連載などで、アイドル写真を、学研MOMOCO「MOMOCO写真館」連載などで旅の写真を、JTB 旧「旅」などで発表。
他にも女優写真集、アイドル写真、料理写真と多方面で活躍。
最近では、ライフワークとして4X5で日本の滝を撮り続け、現在200本を超える。
小学館「週刊ポスト」では「日本の重心をめぐる」を連載中。ミノルタ時代からのαファンで、現在はα7R IV 、α7R III、α99を愛用している。
フェイスブックで写真の話を書いています。
https://www.facebook.com/chukyo.ozawa また、新しくエッセイ集「写真すること」が発売になっている。
https://chukyo-ozawa.booth.pm

Aマウントレンズでも最新のボディ性能を
生かせる頼もしいアダプター

――実際に「LA-EA5」を装着し、Eマウントのボディで撮影した印象を聞かせてください。

今までもAマウントレンズをEマウントのボディで使うためのマウントアダプターは発売されてきましたが、Eマウントレンズと同じように使えるわけではありませんでした。対応モデルであればリアルタイム瞳AFも高速連写も使える。最新のαが持つAF性能が今まで大切にしてきたAマウントレンズで使えるようになるわけですから、これは大変なことです。 今回は「Planar T* 85mm F1.4 ZA」 と「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」、2本のAマウントレンズをα7R IVに装着して作品を撮影しましたが、今後もこれらのAマウントレンズが使えると思うとドキドキします。私はPlanarやSonnarに関しては最新のEマウントレンズを使っている今でもぼけが綺麗に感じることもありますから。30年前のレンズでも最新のボディと組み合わせて、ボディの性能をフルに使うことができる。それはとてもユーザーフレンドリーでありがたいこと。長年αを使ってきたユーザーにとっては非常に心強く感じるでしょう。

――形状や重さについてはいかがですか?

形状や重さも素晴らしいです。今までのアダプターは少し大きいと感じることもありましたが、これならAマウントレンズをEマウントレンズと同じ感覚で使えます。レンズと一体化している感じで不自然さがない。レンズの一部として最初から付いていたのではないかと思うくらいフィットして使い勝手が良いです。

――α7R IVについてはどのような印象ですか?

スピード重視ではなく、緻密さや精細さを求める私にとっては理想のカメラです。細密で繊細な作品を撮るには、センサーも優秀でないとダメですからね。さらに現場でガンガン撮れる「歩留まりの良さ」も必要です。α7R IVはどちらもクリアしていて、世界中のカメラと比較してもかなりの域まで達しているのではないかと僕は思います。

リアルタイム瞳AFを使えるので
ポートレートで大切な別の要素に気を配れる

――ここからは作品を見ながら話を聞かせてください。こちらはポートレートですね。

α7R IV,Planar T* 85mm F1.4 ZA 85mm,F2,1/2000秒,ISO100

ポートレートというと「バストアップの肖像写真」というイメージがありますが、このように極端に引いて全身を入れてもポートレートです。何を着ているか、どこにいるか、という二次的なものをサポートとして入れ込み、本人に肉薄して「被写体の中身を表す」のがポートレートであると個人的には考えます。 これは「Planar T* 85mm F1.4 ZA」で撮影しましたが、このくらい詰めずに「緩く」撮ると被写体の特徴が実に良く出ます。少し緩めに撮ることによって周りが写り、どんな人かわかる要素が増えますからね。前ぼけも後ろのぼけも何が写っているかわかるように調整したのは、周囲の環境がわかるからです。女性がしゃがんで土を触っていますが、大事なものを扱うように触るわけですよ。笑顔も慎ましやかで、端々に人柄が見える。その部分も意識しながら撮影しています。このレンズのぼけの美しさは、僕は世界トップクラスだと思っていますが、その部分も良く出ている作品です。 この時は畑で農作業している人に声を掛けてから撮っています。スナップ的に人を撮る場合は、声を掛ける時と掛けない時がありますが、ポートレートとして撮りたかったので話しかけて人柄を出したいと思い声を掛けました。バストアップの撮影ではなく、被写体から少し離れていてもリアルタイム瞳AFがしっかり追随してくれるので、時間がなくても画面に入れ込むものやぼけ具合などに気を配ることができます。

動物対応のリアルタイム瞳AFを使い、
背景を大きくぼかして猫の視線に集中させる

――猫の撮影では動物対応のリアルタイム瞳AFを使ったのですか?

α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F2.5,1/1000秒,ISO100

そうです。こんな風に目を細めていてもピントを瞳に合わせつづけてくれました。こんなに毛むくじゃらでどこが目かわからないのに、目にピントが行くのだから素晴らしいですよね。ここで見せたかったのは「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」のぼけの美しさです。猫を撮る時は体にもピントを合わせてくっきり写しがちですが、このようにぼかすとファンタスティックになって面白い。体をぼかすことで猫の視線に集中でき、猫の考えていることまで見えてきます。 大きくぼかすと作品の中の情報量が極端に減りますが、猫の体は誰もが知っていますからね。もしこれが世界に一匹しかいない珍しい動物なら「ぼかさずに見せてくれよ」となりますが、見る人との共通理解があるものに関しては大きくぼかしても問題ないのです。 この作品では木漏れ日が目に当たっている瞬間を狙い、顔の立体感も表現しました。ピントは同等の距離を球面で捉えるため、同じ距離感にあるものには自然とピントが合ってしまうものです。この時は瞳と同じ距離感にある床にもピントが合っていました。ここはどうにもぼかしようがないので、木漏れ日の模様が出るようにしたわけです。こんな感じでいろいろなことを同時に、瞬時に考えないと、猫はすぐ逃げてしまいます。動物対応のリアルタイム瞳AFをはじめカメラに任せられることが多くなったので、画角やぼけの調整に集中できるのはいいことですね。

Aマウントレンズでボディの
高速連写性能を扱える頼もしさ

――下の作品はMFでは撮るのが難しい瞬間ですね。

α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F5.6,1/5000秒,ISO100

5、6mの高さの波ですが、ものすごい速さで近づいてくるわけですよ。このようなシーンで、MFでピント合わせるとなると高度なテクニックが必要です。でもα7R IVならAFでフォーカスエリアをワイドにして高速連写すれば、欲しいところ、つまり波のピークにずっとピントを合わせつづけてくれます。高速連写をするとEマウントレンズにはないAFの駆動音がするので「おや?」と思うかもしれませんが、最高約10コマ/秒で連写してもすべてにピントが合っていましたから問題ありません。 正直なところ、個人的には高速連写を使うことはあまりありません。撮影には、精神統一というか弓を射る時のような「一意専心」の瞬間が必要です。それはつらい作業ですが、写真家にとっては大事な瞬間でもあります。でも、波を高速連写で撮ってみると、「たしかにこっちのほうが楽でいいな」と思いました。いい写真が撮れる確率が上がり、確実に結果を出すことができますからね。趣味の場合は過程を楽しもうと思いますが、プロの場合「大きな波を撮ってきます」と編集長に伝えたら絶対に成功させなくてはいけません。そういう意味でも高速連写は十分に頼りになる機能です。 上の作品もMFではピント合わせが大変なところを5分で撮れてしまいましたからね。しかし撮影では研ぎ澄まされた瞬間を味わいたい部分もあるので、うまく使い分けることができるといいと思います。ここは高速連写、ここは自分で瞬間を狙う、とスイッチのオンオフができれば撮る楽しみも広がるのではないでしょうか。

リアルタイムトラッキング+連写で
名人にしか撮れなかったものが簡単に撮れる

――こちらも海での1枚になりますが、どのようにこのシーンを捉えたのでしょうか?

α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F5.6,1/1250秒,ISO100

サーフィンをしている男性をカメラで追いかけながら、手前に人が入る瞬間を捉えました。両目を開けていないといい瞬間を逃してしまうので、至難の業です。歩いている人を意識しながら波乗りしている人を捉えつづけ、「ちょうどいいところに来た」という瞬間に撮るわけですからね。 この作品は波乗りの写真というよりは「ビーチの情景」がテーマですから、「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」で撮影して近くと遠くの距離感を圧縮して表現しました。リアルタイムトラッキングを使えば波乗りしている人を追いつづけてくれますし、高速連写で瞬間を逃さないので非常に気持ちよく撮ることができます。名人と呼ばれる写真家しか撮れなかった瞬間が簡単に撮れるようになったのですから、めでたくありがたいことです。しかも露出も実に絶妙なところで捉えてくれる。海が白飛びせず、手前の人も完全にシルエットになっていない。なぜなら白いビーチの照り返しがあるからです。そして、波乗りしている人は黒いシルエットに。なかなかいいですよね。

シビアなピントはAFにお任せ。
レンズの魅力である美しいぼけはそのままに

――花の写真というと近づいて撮るイメージですが、あえて135mmのレンズを使ったのはなぜですか?

α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F1.8,1/4000秒,ISO100

この距離感で撮れることも見せたいと思い、「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」を使いました。花を撮影する時はしゃがみこんで近寄って撮るのが一般的ですが、その体勢で集中するのはつらいものです。でも135mmなら少し離れたところから楽な姿勢で撮ることができますからね。しかも背景ぼけもとてもきれい。値は張りますが、いいレンズといいカメラで撮ってもらいたいところです。 ただ楽に撮れる分、フォーカスはシビアです。F1.8はピント合わせが本当に難しいので、MFで撮影したら普通はピントが合わないでしょう。私も20年以上前、最初に85mm F1.8のレンズを手にした時はフィルム3本分撮っても開放では4、5枚しかピント合いませんでしたからね。プロが撮ってもですよ。だから開放は使えないと、 F2.8まで絞ることにしました。でもα7R IVのAF性能があればピントが合います。またこれも名人芸なわけですよ。MFだったら息を止めてピントを合わせても、花が風に揺れてしまう。ピントリングで合わせると追いつかないので自分が前後に動いたりする。そうすると疲れますよね。この作品は暑い盛りに撮影したので、楽にできたおかげで熱中症にならずに済みました(笑)。 ピント合わせに自信がなければ、リアルタイムトラッキングで花にピントを合わせてしまうのもありですね。いい写真を撮るためにも、ピント合わせはカメラに任せて他のことに集中できるのはとてもいいことです。楽をすればその分、時間に余裕ができますから、そこでいろいろ考えていくことでいい写真になっていくのではないでしょうか。

――画づくりに関しては、どのような部分を意識したのでしょうか?

花の右上から出ている2本の茎をアクセントに、後ろのぼけは左上から右下に流れるように表現しました。右下がアスファルトの道なので、その気配をなるべく消すようにしています。それが撮れる点は1点しかなく、立体感は少しずれただけで変わってしまいます。それらを一瞬で考え、最高の位置から撮影しました。いろいろ説明しましたが、結果的には見る人に「なんとなく気持ちいいね」と思ってもらえればそれでいいと思っています。 よく見ると花の部分に虫が止まっているのがわかりますか? α7R IVは大きく引き伸ばせる画素数を持っていて解像感も豊か。ですから細かいところまでしっかり見ていただけるとうれしいです。

α7R IVの解像感を
愛着のあるレンズで楽しめる

――下の作品からもわかりますが、135mmはこのような風景でも描写力を感じますね。

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α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F5.6,1/400秒,ISO100

「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」の描写力は今のEマウントレンズにも負けていないことを伝えたくて、F5.6まで絞って撮ってみました。このレンズはぼけの美しさが際立っていますが、風景を撮っても美しく仕上げることができます。 山の上から撮影した夕日が沈み行く風景ですが、奥は雲がかかって影になっていて、さらに太陽付近にも雲があって隙間から細い光が横向きに差し込んでいます。逆光に近く、日暮れの薄暗い時間帯なので、レンズにとってはかなり厳しい状況です。このようなシーンでは変なフレアが出たり、フォーカスが合わせづらかったりしますが、収差もなく、ピントも迷わずに合わせてくれました。 135mmは昔から旅に持って出るほど、いろいろな被写体を撮ることができるレンズです。人物も風景も撮れますからね。ましてやこのマウントアダプターをつけたらリアルタイム瞳AFを使えるので、スナップでも人物が撮れる。α7R IVは画素数が多いので、135mmで撮って200mmぐらいまでトリミングしても大丈夫ですし、A2サイズぐらいまで伸ばすこともできますよ。

初期の名作レンズに新たな価値を見出し
最新カメラで撮る喜び与えてくれる

――今回、「LA-EA5」とα7R IVを使って撮影してみて、Aマウントレンズの資産を持っているユーザーに伝えたいことはありますか?

ずっと使ってきたAマウントレンズEマウントのカメラで使うなら、α7R IVやα6600などの最新のカメラをおすすめします。なぜかというと、「LA-EA5」ならカメラの機能にしっかりついていくからです。カメラの先進技術をそのまま使えるマウントアダプターがAマウントレンズの性能を引き上げてくれますからね。最新カメラにマウントアダプターとレンズを付けてみると、「レンズとボディの連携ってこういうことだったのか」、「αの思想ってこういうことか」ということも分かると思います。 とにかく一番の利点は「歩留まりが圧倒的によくなる」ことでしょう。写真は創作ですから「歩留まりが悪いからこそ面白い」という面もありますが、歩留まりがいいということは当然マイナスにはなりません。今回撮影で使用した2本のレンズはEマウントレンズと比べても遜色ありませんし、AFの追随性もかなりよかった。おそらく使ってみたらびっくりするほどAFは速いですよ。

――このマウントアダプター「LA-EA5」によって見出せる価値はどのようなものだと考えていますか?

私が知っている時代から見れば、最新のレンズは信じられないくらい細密です。「ここまで写るの?」と思うくらいで、フィルムのころとは比べものになりません。当時、レンズはそこまでの解像度を求められていませんでした。ただ、ぼけ味は今でも美しく普遍的なものです。そうなると初期の秀作レンズの価値が見出される。その価値を新たな境地へと導いてくれるのが「LA-EA5」です。 今でもこういった製品をリリースすることで、長く育んできた歴史を大事にしているメーカーの思いを感じます。「このレンズが好きだから」「この味が好きだから」という思いが古いレンズにはありますから。そんな愛着のあるレンズを使い、最新のカメラで楽に美しく表現できることは多くのαユーザーに喜びを与えますね。

α7R IV,Planar T* 85mm F1.4 ZA 85mm,F2,1/2500秒,ISO100
α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F5,1/160秒,ISO100
α7R IV,Planar T* 85mm F1.4 ZA 85mm,F8,1/60秒,ISO100
α7R IV,300mm F2.8 G SSM II 300mm,F5.6,1/400秒,ISO100
α7R IV,Planar T* 85mm F1.4 ZA 85mm,F5.6,1/2000秒,ISO100
α7R IV,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA 135mm,F5.6,1/5000秒,ISO100
α7R IV,Planar T* 85mm F1.4 ZA 85mm,F5,1/800秒,ISO100

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