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α1で表現革命!
静止画・動画のコラボ表現新時代が到来 自然写真家 寺沢孝毅 氏

α Universe editorial team

自然写真家の寺沢孝毅氏がCP+2021にてお話しいただいた内容や、発表作品をα Universe記事用に再構成。地元である北海道・天売島の野鳥たちをαシリーズで捉えた静止画と動画を織り交ぜながら、役に立ったカメラの機能などを語ります。

寺沢孝毅/自然写真家 1960年、北海道生まれ。22歳のとき移住した天売島に住み続け、絶滅危惧種のウミガラスやケイマフリの調査・保護活動を続ける。天売島を「小さな地球」と見立てて人や自然環境の撮影を続けるほか、極地から熱帯までの海洋環境や海鳥を中心に取材し、地球の素顔を伝える活動に取り組む。画像と音を使った講演活動「Photo & Sound Live」を全国展開中。近著に『BIRD ISLAND TEURI』『EARTH SONG 地球の絶景と守りたい生命』『火山と生きる海鳥 千島列島探検記』(TERRA images)があるほか児童書の著書多数。映像作品としてNHK「ワイルドライフ」天売島編などを撮影する。 https://terra-images.jp TERRA images Channel(YouTube)

地元の天売島で四季を追いかけ
自然や動物をαで捉えた写真集を制作

みなさん、こんにちは。自然写真家の寺沢孝毅です。私は北海道の小さな島、天売島を拠点に活動しているカメラマンです。まずは、天売島がどこにあるのかをみなさんにご紹介したいと思います。北海道の日本海側北部、利尻島の南70kmに浮かぶ周囲12kmの島が天売島です。東海岸に約250人が暮らし、西海岸は断崖絶壁になっています。

この島は、8種類、100万羽の海鳥の繁殖地としても知られています。春と秋には無数の渡り鳥がここをオアシスとして利用しています。人よりも遥かに多い野生の命が息づいている天売島。私はこの島を拠点に、極地から熱帯まで自然の素顔を撮影するために、旅をしてきました。 ただし、この1年間はコロナの影響で遠出をすることができなかったので、天売島の海鳥たちと向き合ってきました。それらの作品を集めたのが、2021年1月に出版した写真集『BIRD ISLAND TEURI』です。

収録されているほとんどの作品は、α9を手にした2018年からの約3年間で撮影したものです。α9は動く鳥など、瞬間を撮りたいときに優れた能力を発揮する機材です。鳥の飛翔や着水、あるいは飛び立ち。さらには表情。そういった動と静を同時に見せることも得意としています。 作品集では見開きでこんな写真を紹介しました。

天売島の隣に浮かぶ焼尻島から朝陽が昇る場面ですが、ウミネコのコロニーが手前の天売島にあり、4月、5月の産卵前だけものすごい群舞が起きるのです。こういった瞬間や、天売島のシンボリックな海鳥であるウミガラスの巣立ちなど、春から冬まで順に四季を追って、野鳥や哺乳類などを収録しました。

簡単にピントが合い、瞬間を逃さず撮影。
逆光でも表現力豊かな「α9 II」

この作品集の主力機材となったのが「α9 II」です。下の写真はケアシノスリという猛禽類で、ホバリングしながら雪原のネズミを狙っていたのですが、偶然2羽が鉢合ってしまい、そのとき僕は「何かが起きるな」と思いました。

α9 II,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 1.4X Teleconverter 840mm,F10,1/1600秒,ISO1600

「α9 II」を使えば、フレームの中の狙った被写体に自動的にピントを合わせてくれます。ピントを合わせたまま動体を追いかける機能があり、これが「リアルタイムトラッキング」です。フォーカスをカメラ任せにできるので、僕は鳥をどのように配置するか、またはフレームから外れないようにと集中できるわけですね。その機能があったからこそ捉えることができた写真です。 さらに20コマ/秒の高速連写も鳥の撮影では重要な機能です。さまざまな羽の形の写真を撮ることができ、その中の選りすぐりの1点を掲載できますからね。

こちらはウミウという鳥です。黒くてあまりきれいな鳥とは言えないかもしれませんが、繁殖期の初期にあたる、3月から5月に美しい白い飾り羽が出て、黒い体に紫やグリーンの光沢も現れます。「α9 II」はその美しさを逆光の状態でも忠実に再現してくれました。 ものすごいスピードで目の前に飛び込んでくる瞬間ですから、撮影は結構大変です。しかし小型、軽量の機材ですから、手際よく瞬時に振り回すことができる。小型軽量であることは持ち運びに便利なだけでなく、瞬発力を極限まで生かすためにも必要不可欠な要素です。

α9 II,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 560mm,F8,1/1250秒,ISO5000

こちらはエゾビタキという小鳥です。秋、紅葉が進み、木の実が赤く色づく季節ですね。じっとファインダーを覗いていて、目に入ったのは小さなハエのような虫でした。逆光で光って、ふわっと飛んでいる。その瞬間、また「何かが起きるな」と思いました。通常は自分から宙に舞って虫をくちばしで捉えるのですが、今回はなんと虫から鳥に接近してきたんです。シャッターを押して連写しました。撮影した写真を見ると、3枚だけ虫が写っていて、これはその中の1枚です。 このとき鳥は食べることに失敗しましたが、非常に面白い場面ですね。こんな写真が撮れたのは、「今だ」という瞬間に私がシャッターを押す、瞬時にカメラが反応する、そのスムーズな連動があったからこそです。こういった俊敏性にも、とても信頼を置いています。

「生きている」ことを強調するための
トリミングができる高画質の「α7R IV」

私が作品集をつくるために使ってきた機材がもうひとつあります。それは「α7R IV」です。何と言っても高画素なのが特徴です。それでも秒間10コマも撮ることができます。この写真はケイマフリが岩の上で求愛しているシーンです。

α7R IV,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F6.3,1/800秒,ISO1250

ピッピッピッと鳴き声が聞こえてきそうな臨場感ですよね。僕は左側のペアに注目しました。撮影のために自分でボートを操船して近づくのですが、それまでは失敗を繰り返していました。警戒して求愛をやめたり、あるいは求愛のピークが過ぎたりして、ずっと撮れなかったんですね。 そこで「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の600mm側を使って、やや離れたところからきっちり撮ることにしました。もう少し寄りたければ、撮った後に切り抜けばいいわけですからね。つまり、こういうことです。

α7R IV,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F6.3,1/800秒,ISO1250

高画素だからこそ、大胆なトリミングも可能になってくるわけです。しかし、実際に写真集に使ったのはもう少し引いたものでした。組み合わせる写真もかなりアップだったので、バランスを考えたのです。 下の作品も「α7R IV」で撮影したものです。こちらも「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」のテレ端、600mmで撮影し、このサイズにトリミングしました。「生きている」ということを強く感じる目や真っ赤な口の中の色を強調するためにここまで迫って切り抜いたのです。そして、この2点で見開きのページをつくりました。

α7R IV,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F7.1,1/1000秒,ISO800

ここからは撮影に苦労した、暗い場面での作品をご紹介します。日没後の青い空気になる時間に、満月がちょうど海で隔てた北海道から登ってきました。こういう月は、最初は赤く、その後に黄色くなっていきます。そして、背景の海が静かだったので、水面が赤い月光を反射してキラキラと輝きました。

α9 II,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 560mm,F8,1/200秒,ISO12800

この光を生かす被写体を探していたら、ウミネコのペアを見つけました。地面に這いつくばって、光とウミネコのペアを重ね撮影しました。こういう場面は一期一会で、もう二度と出会えないでしょう。確実に撮るため、手ブレが起きないように1/200秒でシャッターを切り、感度は12800まで上げました。普通は使わないほどの高感度ですが、しっかり写し撮ってくれましたね。「α9 II」で撮った作品ですが、ノイズもほとんど目立たずに調整ができて本当に助かりました。

α9 II,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F4.5,1/100秒,ISO12800

こちらのウトウは夜に島に帰ってくる海鳥です。しかも100万羽というすごい群れで生息し、天売島を紹介するには欠かせない鳥です。しかし暗い夜ということで、「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」という明るいレンズで苦心して撮影し、ノイズが目立たない1点を選んで作品集に収録しました。

暗いシーンで能力を発揮する「α7S III」。
動画を組み合わせた作品制作にも挑戦

これ以上に暗いシーンでも、なんとか写真として残せるカメラがないか、そう思っていたときに発表になったのが「α7S III」です。海鳥のシーズンが終わってから発売になったので、星空を撮ってみました。

α7S III,FE 16-35mm F2.8 GM 16mm,F4,10秒,ISO16000

これはISO16000という高感度で撮った写真で10秒間露光しています。ノイズのように見えるかもしれませんが、これは全部星です。本当に驚きました。 さらにこういう撮り方もしてみました。

20秒おきに日没を撮っていき、合計600カット撮るとちょうど20秒間の動画がつくれます。1秒に30コマの写真を連続して見せるわけです。これで暗いシーンでも十分に撮れるカメラだと確かめることが出来、出かけたいと思っていたタンチョウの生息地、釧路湿原へ「α7S III」を持って向かいました。

α7S III,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 2X Teleconverter 400mm,F18,1/200秒,ISO16000

気象の変化が激しい秋ですが、この季節は満月がきれいです。タンチョウをぜひとも月と絡めて撮りたいなと思っていたのです。 タンチョウは川をねぐらにしていますが、この時期はまだ暖かいせいか冬よりねぐらに帰ってくるのが遅く、薄暗い日没後になります。さらに、ねぐらから飛び立っていくのも、これまた薄暗い日の出前です。ここで「α7S III」の真価が発揮されるわけですね。上の作品を見てください。日の出前の薄暗い時間帯でも、感度を上げることで1/200秒のシャッタースピードで撮ることができるのです。

α7S III,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 2X Teleconverter 1200mm,F13,1/1000秒,ISO8000

これは、「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」に2倍のテレコンバーターをつけて1200mmで撮影しています。ISO感度8000、1/1000秒のシャッターを切って撮っても、ノイズ感がほとんどありませんよね。「α7S III」で撮った静止画と動画を合わせることで、新たな表現ができるのではないかとスペックを見たときから思っていました。そこでそのカメラを2台持ち込んでこんな作品をつくってみました。まずはご覧ください。

動画の内容テキストはこちら

いかがでしたでしょうか。僕はここ数年、鳥や動物の動画を撮っていますが編集はほとんどやりません。今回、この作品をつくるにあたって1ヵ月間一生懸命勉強して、編集にもチャレンジしました。ネット上には多くの情報が溢れているので、それを真似しながら制作を進めました。動画と静止画を組み合わせることで「力」が生まれますよね。 動画は動きの過程がよくわかり、起きている物事の状況が全体的にわかるという良さがあります。そして静止画は、動きの中の一瞬の形や色彩、表情などをしっかり確認できるのがいいところです。この2つの組み合わせは、高精細なテレビが一般的になり、色の再現性も素晴らしくなってきている今の時代に合っているのではないでしょうか。ですから今後もこうした作品をつくっていきたいと思います。

「α1」で新搭載された鳥対応の瞳AFなら
鳥が画面のどこにいても目にピントが合う

続いて発売されたのが、フラッグシップ機の「α1」です。僕はこのカメラを持って知床に行きました。まずはこちらの写真をご覧ください。

α1,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 424mm,F8,1/1000秒,ISO400

ちょうど国後から昇ってきた朝陽にオオワシを入れた一枚です。「α1」は8640×5760ピクセルと非常に高画素です。この画像を仮に「α9 II」と同じ6000×4000ピクセルで切り取ったら、どんな印象になるか試してみました。それがこちら。

α1,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 424mm,F8,1/1000秒,ISO400

すごいでしょ、全然迫力が違います。普段「α9 II」で撮った写真でさえ僕はトリミングしますから、これよりもっと鳥を大きく見せることも可能です。 「α1」には、新しく搭載された「鳥対応のリアルタイム瞳AF」という機能があります。下に12枚の写真が並んでいますよね。これは連続撮影したもので1コマも抜いていません。全部、目にピントを合わせて撮影できています。

右下にある最後のカットはフレームから鳥がはみ出ているにも関わらず、目にしっかりピントを合わせている。これで、小さい目を追い続ける能力がいかに優れているかが確認できます。一度だけではなく、この機能を何度も確認していますので、性能は折り紙付きです。 もうひとつ試したかったのは、暗所でのカメラ性能です。エゾモモンガはストロボで撮影するのが定番となっていますが、僕は自然光で撮ってみたいと思いました。森の中に沢があって、そこにモモンガのねぐらがありました。姿を現すのをずっと待っていて、山に陽が隠れてから30分後に撮った写真がこれです。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F6.3,1/50秒,ISO6400

「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」を使って、ISO6400でもノイズをほとんど感じないまま撮ることができました。正直、まだまだ感度を上げて撮れるな、という印象を持ったほどです。 最後に、「α1」の動画の性能のひとつ、「8K 30p」で撮った動画と静止画のコラボ作品をご覧いただきたいと思います。

動画の内容テキストはこちら

極寒の地でのオオハクチョウの世界を撮ってみました。少し映像を解説していきましょう。日の出前、青く見える氷、そして羽の形のような氷「フロストフラワー」が水辺にたくさん出きていました。夜が明け、少し気温が上がると同時に川の蒸気が一気に湧いてくるんですね。そこに現れたのはオオハクチョウです。 氷が張るほどの寒さの中での撮影は、指先の感覚がなくなり、レンズを交換するのも大変でした。だから現場でやることは最低限にしなければなりません。しかし白鳥はまったく寒さなど気にしていないようですね。ハクチョウがたたずむ美しい川面の画像を見ると色の再現性、優れた解像力がよくわかります。 映像も終盤、少し気温が上がり始めて、木についていた霜がパラパラと落ちてきます。そこにオオハクチョウたちが次々と飛び込んでくるわけです。結構な迫力です。30コマ/秒の高速連写で被写体を忠実に追いかけることができました。

撮影意欲を刺激されるαシリーズ。
これからも頑丈で素晴らしいカメラに期待

最初に紹介した『BIRD ISLAND TEURI』という作品集は、できる限りの表現を尽くしてつくったつもりでした。ところが「α1」をいざ手にしてみると、「まだまだ別の表現ができる」と思ってしまうんですね。

目の前には鳥たちの繁殖シーズンが迫っているので、天売島に戻ったらさっそく撮影を開始したい。そして『BIRD ISLAND TEURI 2』という作品集をすぐに出せるよう、新しい作品づくりを続けたいと思います。 まだまだ北海道の寒さは厳しいです。しかし、霜が降りる極寒の中でも機材は十分に耐えてくれました。そういった機材があるからこそ、僕らカメラマンは安心して使うことができます。これからも頑丈で素晴らしい機能を持ったαが発売されることを期待して、私のセミナーを終わらせていただきます。

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