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COLORS −鉄道彩美−
鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.12
中井氏が“α”で描く美しき色彩の鉄道風景!
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします

α Universe editorial team

みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。
今回の色は「緑」色です!皆さんは「緑」色といえば何を思い浮かべますか?やはり山や森、木々の葉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?日本の鉄道は山間部を走る路線も多く、僕にとって「緑」という色は、身近であり無くてはならない色だったりします。 そして気が付けばこの美しい色を探す旅も、今回が最後の旅となりました。毎月お付き合いいただき本当にありがとうございました。 思い返せば「青」「紫」「金」「紅」「琥珀」「黒」「白」「藍」「桜」「瑠璃」「橙」そして今回の「緑」で計12色。実にさまざまな“色”との出会いがありました。 僕は、日本は本当に色彩に溢れた国だと思っています。春夏秋冬それぞれに特有の色の美しさを堪能できる国なんて、なかなか無いんじゃないかなって思います。 それでは早速ですが、最終回となる「緑」を探す旅の1枚目をご覧ください。

α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 119mm,F8,1/400秒,ISO800

ここは日本屈指の美しいローカル線として知られる福島県の山間を走る只見線です。何度も通って撮影してきた路線で、日本の四季の美しさをいつでも感じさせてくれるとても素敵な場所です。
冬の一面銀世界の時も大好きなんですが、このように周囲を新緑に覆われた今の時期も大好きです! 新緑に包まれた谷を列車がゆっくりと走っていく姿は、どこか絵画のようにも見え、静謐な美しい光景に感動しながら撮影をしました。
まるで鏡のような水面に写り込む列車と風景を構図に大きく入れ込むことで、自然の光景にも関わらずシンメトリックな表現をすることができました。それがいっそう、この静謐な美しさを表現できているんじゃないかなって思います。 2枚目になります。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM 70mm,F5.6,1/2500秒,ISO800

1枚目と同じく第一只見川橋梁を写したものですが、先ほどのローアングルから橋梁を見上げるように撮影したのとは一転、場所を移動して逆に橋梁を見下ろせるような高い位置から撮ったものです。 ところでこの写真で一番注目してほしいポイントは、只見川の水面に映りこんでいる列車と橋梁です。1枚目とは異なりこの写真ではかなり小さい写り込みですが、それがポイントになり、見る人に深淵な大自然感を与える表現ができたんじゃないかと思います。
因みにこの位置からですと、もう少し望遠側を使って橋梁の部分にフォーカスするのもアリなのですが、今回のテーマは「緑」。手前の緑のボリュームをしっかりと入れ込み、周囲一帯を緑に囲まれた秘境感を表現することが良いと考え、あえて列車を小さく配置してこの構図にしています。因みにここまで小さくできるのは、α1の高い解像力があってこそ挑める構図だと言えるかもしれませんね。

α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 156mm,F8,1/400秒,ISO800

3枚目は、幾重にも連なる樹木を背景に走る姿を写しました。 只見線はかなり険しい山間部を走るので、実は撮影できる場所がけっこう制限されます。そこで最大の撮影ポイントになるのが、鉄橋です。
こういう自然の中に人工物が入るシーンでは、鉄橋の位置をどこに配置するかが重要になります。このケースの場合、構図の上、中央、下と、いくつか候補があると思いますが、僕は下を選びました。画面の右最前に樹木を配置し、そして列車、そこから段々に奥へと樹木が連なるようにして、緑と緑に列車を挟みこませることで、見る人に深い緑をより印象的に伝えられると思ったからです。 大切なことは「何を伝えたいか」です。だから何が正解ということではなく、その時に自分が何を伝えたいのか?と考えながら撮影してみることを僕は強くお勧めします! 4枚目です。これまで何度も通い撮ってきた只見線ですが、僕自身初めての撮影ポイントからの1枚になります。

α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 115mm,F8,1/500秒,ISO800

今回が最後の旅ということもあり、ふと思い立ちこれまで足を踏み入れなかった山道を、熊鈴を鳴らしながら分け入りました。
そしてようやく辿り着いた撮影ポイントから僕の目の前に広がったのは、第四只見川橋梁。奥只見の深い山と、美しい自然を生み出す大いなる只見川の流れ。そしてその地形に溶け込んでいるかのような只見線。しばらくこの目の前の風景に見とれてしまいました。 鬱蒼と生い茂る緑の樹木を構図いっぱいに取り込みながら、自然と調和するかのような列車と橋梁を表現してみました。 何度訪れても新しい発見がある只見線。改めて今回の旅に選んで良かったと思いました。

α1,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F5.6,1/500秒,ISO800

5枚目になります。また別の撮影ポイントに移動?と思われたあなた!よくご覧ください。確かに別の撮影ポイントに移動はしましたが、福島県から千葉県へ移動しました!(笑)
実は今回の「緑」というテーマカラーで、僕の頭に浮かんだのは2カ所だったんです。同じ県内や隣接する県ならまだしも、浮かんだのは福島県と千葉県。どうしたものか・・・と思いつつまずは福島県に向かったのですが、最終回ということもあり思い切って大移動を敢行してしまいました! 千葉県のローカル線は里山の風景をのんびりと走るイメージが強いかもしれませんが、実は房総半島の中心、山脈を超える場所では深い森の中を走る姿を撮ることができます。路線的には小湊鉄道の里見駅から終点の上総中野駅、さらに、いすみ鉄道へ接続する久我原駅付近にかけての、2つの鉄道会社が乗り入れる山岳区間です。因みに、この写真は小湊鉄道になります!
列車が森の中をかき分けて走ってくるようなシーンを狙いました。手前の葉を大きくボケさせ、幻想的な1枚に仕上げてみました。 いよいよ最後の写真になります!

α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 159mm,F6.3,1/500秒,ISO800

5枚目の小湊鉄道から移動して、最後の写真はいすみ鉄道を撮りました! まさに森のトンネル!ここまで見事な森のトンネルには、なかなかお目にかかれません!そしてそんなトンネルを抜けて来る車両は、国鉄で長年活躍し、いすみ鉄道の観光列車として今も活躍し続けているキハ52という古い気動車です。
こんな幻想的な光景の中、僕が大好きな車両で最後を締め括れることができてとても嬉しく思います。 そして樹木の枝葉までも細密に解像され、この森のトンネルが、奥行きのある立体的にすら見えるような描写になったことで、僕が想像し思い描いていた通りの1枚となりました。 最初の色「青」を探す旅から、あっという間の12カ月間でした。
どの色の旅も本当に思い出深いものでした。
そして「色」というテーマを決めて撮影することは、僕にとってこれまで何度か訪れた場所であっても、新しい遭遇や発見に満ち溢れたものでした。また写真を通して伝えたいことが、より明快になった12回の旅でもありました。 僕は、世界にもしも誰も僕の写真を見てくれる人がいなかったらきっと写真を撮ることは無いと、ずっとそう思い続けています。
つまり僕にとって写真は、「誰かに心を伝える」とても大切な手段でもあります。
これをお読みいただいているあなたも、撮っている時にちょっとだけで良いので「伝えたいことは何だろう?」とそんなことを考えながら、撮影されてみてください。 さて、これでこの連載は終了となります。名残惜しい気持ちもありますが、きっとまた、この場所でみなさんと出会えることを願っています。 それでは12回お付き合いいただき本当にありがとうございました。
鉄道写真家の中井精也でした。

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