
FE 50-150mm F2 GMが魅せる、花と風景の鮮やかな物語
風景写真家 萩原れいこ 氏
萩原れいこ / 風景写真家 沖縄県出身。学生時代にカメラ片手に海外を放浪した後、日本の風景写真に魅了されていく。車内泊用に改造した軽ワゴンで日本縦断を敢行。隔月刊「風景写真」の若手風景写真家育成プロジェクトにより、長野県志賀高原での写真修行を経て独立。永久的な"自然の営み"をテーマに、嬬恋村、志賀高原、沖縄県をメインに活動中。個展「Heart of Nature」、「地獄」、「羽衣〜Hagoromo〜」などを開催。写真集「Heart of Nature」(風景写真出版)、「風景写真まるわかり教室」(玄光社)、「極上の風景写真フィルターブック」(日本写真企画)などを執筆。撮影のほか、撮影指導、写真雑誌への寄稿、セミナー講師などを行う。石の湯ロッジ撮影会プラス講師、アカデミーX講師、カメラグランプリ審査員、嬬恋村キャベツ大使(観光大使)。
FE 50-150mm F2 GMを手に取った瞬間の胸高鳴る第一印象!
口径がΦ95mmということもあり、高級かつ迫力のある外観に、思わず胸が高鳴りました。フィールドでの機動力に多少の不安もありましたが、実際に手にしてみると意外にも馴染みのある重量感で、いつも使っているカメラバッグにもコンパクトに収まりました。見た目以上に小型軽量で、これが開放F2通しの望遠ズームレンズなのかと、まるで狐につままれたような思いでした。
開放F2だからこそ味わえる!幻想的なぼけ味と自由な撮影表現
私は開放F2.8通しのズームレンズを愛用していますが、もう一息ぼかしたいと思うシーンが時々ありました。開放F値2はまさに痒いところに手が届くように、撮影の自由度がいっそう高まりました。こちらはしだれ桜を撮影したシーンですが、主役の桜と建屋の距離が近く、F2.8では建屋が主張しすぎるように感じました。F2の大きなぼけ味だからこそ、前ぼけも背景も幻想的にぼかすことができています。また、F2.8では得られない大きなぼけ味が魅力で、単焦点レンズのような印象的なぼけ表現を楽しむことができました。ズームレンズを多用する風景写真においては、画期的な明るいF値だと思います。
操作性に感動!インナーズーム&軽量ボディで撮影が楽々
見た目に反して軽量で、重量バランスにも優れているため、手持ち撮影が非常に快適に行えました。インナーズーム方式を採用しているおかげで、ファインダーを覗いたまま心地よくズーム操作ができ、撮影に集中できます。滑らかなトルク感や、堅牢なレンズフードの質感も上質で、さすがG Masterレンズだと思いました。絞りリングも愛用しており、CLICK ON/OFFスイッチが搭載されていることで、静止画も動画も安心して操作ができます。
柔らかな花びらの質感まで再現する描写性能
撮影したJPEG画像をパソコンで確認すると、自然で素直な色再現と見事な質感描写に感嘆しました。諧調豊かなトーンが美しく、F2ならではの大きなぼけ味を存分に堪能できます。優しいピンク色の花は丁寧に描かれ、渋みを帯びた緑色の葉も忠実かつ美しく再現されました。さらに、柔らかな花びらと硬質な葉の質感をしっかりと描き分け、曇天の繊細な光の中でも立体感あふれる描写が魅力的です。このレンズの高い表現力に、強い信頼を感じました。
F2.8で叶える!柔らかな前ぼけと美しい玉ぼけの絶妙なバランス
開放絞り値F2の明るさの魅力は、表現の選択肢が広がる点にあります。もっと背景をぼかしたいという欲求を満たし、より幻想的な立体感を醸し出し、作品づくりにおける自由度を高めてくれます。また、F2.8に絞った際の玉ぼけが丸く美しく描写されるのも印象的でした。通常、開放では画面の隅で玉ぼけが欠けがちですが、少し絞ったとしてもF2.8の柔らかな前ぼけと、きれいな玉ぼけを両立させることができます。主役の被写体に合わせてピント面の深さを選ぶことができ、表現する楽しさが広がったと感じました。
単焦点並みの高解像度×ズームの自由!風景撮影の心強い味方
風景写真では、遠くの被写体を望遠レンズで狙う場面が多くあります。こちらの作品は、見晴らしの良い場所から遠くの桜を撮影したものです。柵によって立ち位置が限られていたうえ、桜の周囲には電柱が多く立っていたため、少しずつズーミングしながら丁寧に構図を調整しました。展望台や散策路、木道などでの撮影が多い中で、ズームできるという利便性は作品づくりにおいて大きな武器になります。それでいて、単焦点レンズに匹敵する解像感があり、桜の花びらや枝の細かな造形まで緻密に描き分けてくれるので、風景撮影において非常に頼もしい存在だと感じました。
大画面で圧倒!隅々までシャープな細部描写に息をのむ
撮影した画像をパソコンの大画面で拡大して見た瞬間、その圧倒的な解像感に思わず息をのみました。細部まで繊細に描写されているだけでなく、立体感と臨場感にあふれ、まるで自分が桜の木の下に立っているかのような没入感を味わえます。画面の隅々に至るまでシャープに描かれており、この描写力なら大判プリントでも桜の美しさを余すことなく伝えられると感じました。
色鮮やかな花の中で主役を引き立てる!低いアングルと光の魔術
F2ならではの美しいぼけ味を表現するには、まずカメラを低く構えることです。多くのお花は低い位置に咲いているため、お花と同じ目線に立つことで前後を大きくぼかせます。また、立体感を出すには光の向きを読むことが大切。順光よりもサイド光の方が立体感が際立ち、逆光で狙うと印象的に仕上げることもできます。このレンズの小型軽量性能を活かし、手持ちで積極的に立ち位置を変えて撮影してみることが、とても重要だと思います。
このレンズだからこそ撮れた、ガラスに映る桜の幻想的な1枚
スナップ的な風景写真を楽しめるのも、このレンズの大きな魅力だと感じています。こちらの一枚は、ガラスに映り込んだ桜にピントを合わせ、開放F2で撮影しました。虚像の桜を引き立たせるため、実像である窓枠や障子はあえてぼかしています。単焦点レンズのような味わい深いぼけ味があるからこそ表現できた一枚です。また、F2という明るさでなければ、この印象的な仕上がりは得られませんでした。軽快に、そして心象的に風景を切り取る楽しさを味わうことができました。
椿のレッドカーペットをドラマティックに撮影
椿の花が一面に落ちた、美しい小道がありました。両脇には水仙の葉が生い茂り、レッドカーペットを縁取っているかのようです。とても低い位置から狙い、日向に落ちた椿にピントを合わせて開放F2で撮影しました。光を際立たせるため、手前と奥の影をたっぷりと画面に入れています。椿のしっとりとした雰囲気を高めるため、クリエイティブルックをFLに設定して撮影しました。椿の花が一面に落ちた、美しい小道がありました。両脇には水仙の葉が生い茂り、レッドカーペットを縁取っているかのようです。とても低い位置から狙い、日向に落ちた椿にピントを合わせて開放F2で撮影しました。光を際立たせるため、手前と奥の影をたっぷりと画面に入れています。椿のしっとりとした雰囲気を高めるため、クリエイティブルックをFLに設定して撮影しました。
「こっちだよ」と誘う水仙。春の光に包まれた優しい瞬間
植物園の散策路に、二輪の水仙が顔を出すように咲いていました。まるで「こっちだよ」と誘っているように感じたので、道の奥行きが感じられるようなポジションを探しました。背景には色とりどりの花をぼかして入れて、明るい春の雰囲気を演出しています。周辺の環境を伝えるため少し絞り込みましたが、絞り込んだぼけ味も美しく、感動しながら撮影しました。
風景写真の新境地―単焦点の描写力を備えたズームレンズの実力―
風景写真の撮影ではズームレンズが活躍する場面が多く、たくさんの単焦点レンズを積極的に持ち出すのは難しく感じていました。しかし、このレンズはズームでありながら、まるで単焦点レンズのように豊かな描写力を備え、まるで複数の単焦点レンズを一つに凝縮したかのような存在です。これまで手が届かなかった表現に軽快に挑むことができ、風景写真の世界に新しい風が吹き込まれたような気がします。より自由に、新たな表現に挑戦したい方、そして描写力にこだわる方にこそおすすめしたい一本です。撮ることの喜びと、高揚感を与えてくれたこのレンズに感謝しています。
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