

鉄道絶景+α
第10回富山地方鉄道
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:5月13日 14時56分富山地方鉄道本線(越中荏原〜越中三郷)
かつて西武特急「レッドアロー」として活躍した名車が富山の地を走る。背後には豊富な雪代をたたえた常願寺川と立山連峰の名山、釜谷山と毛勝山。α1 IIで捉えたぜいたくな絶景風景だ
自然が育む絶景、富山地鉄と清流の旅
新曲が立山連峰を彩るころ、富山地方鉄道を訪ねた。ここは立山連峰がもたらした豊かな水が、至る所でみずみずしい風景を生み出す絶景地。今回は水の風景に焦点を当てて撮影に挑んだ。さまざまな表情を見せてくれたのは常願寺川。万年雪を頂く立山連峰の薬師岳から富山湾までの約3,000mに及ぶ標高差を、わずか56kmの長さで一気に流れ下るこの川は、日本屈指の急流河川として知られている。その急峻さから水害も多いが、ダイナミックに変化する常願寺川の風景は、実にフォトジェニックなのだ。ここのハイライトは、何と言っても富山地方鉄道立山線の「千垣橋りょう」だろう。昭和12年に竣工した長さ117mのアーチ橋は、それだけでも絵になるが、ここではカメラを縦位置に構え、エメラルド色に輝く常願寺川を主役にして、ダイナミックに川面を入れた構図で撮影した。撮影後、α1 IIとFE 16-35mm F2.8 GM IIが生み出したヌケの良いクリアな画像を見て、思わず息を飲む。肉眼で見るよりも、大きな感動をもたらす描写力はさすがのひと言である。千垣橋りょうからさらに下流に進み、富山湾まで約7kmの場所に位置するのが富山地方鉄道本線の「常願寺川橋りょう」である。ここは堤防から立山連峰と列車を手軽に撮影できるポイントとして有名だが、今回は足をずぶぬれにしながら、河川敷に広がる藪と小川を乗り越えて、本流近くの河原まで足を伸ばしてみた。そこでローアングルで構えてみると、常願寺川の豊かな雪解け水の奥に、新緑に飾られた立山連峰がそびえていた。走ってきたのは、かつて西武特急レッドアローとして活躍した16010形電車。α1 IIで捉えたこの風景は、間違いなく「未来に残したい鉄道名景」の1つと言えるだろう。
撮影日:5月13日 10時15分富山地方鉄道立山線(千垣〜有峰口)
青空のもとに輝く常願寺川を、FE 16-35mm F2.8 GM IIでダイナミックに撮影した。このレンズが生み出すゆがみのない描写によって表現される臨場感に、思わず息をのんだ
撮影日:5月13日 12時26分富山地方鉄道本線(岩峅寺〜横江)
田植えが終わったばかりの田園風景は、なぜか心が踊る。やって来たのは富山地鉄のオリジナルカラー。何気ない風景だが、心にジーンとくる名景だ
撮影日:5月13日 12時02分富山地方鉄道立山線(本宮〜立山)
終着の立山駅の手前で、常願寺川を渡る立山線。まるで壮大な滝のような絶景を前に、列車はあまりにも小さく感じる。より緻密な描写力を求めて、α7R Vを選んだ
撮影日:5月13日 18時26分富山地方鉄道本線(越中荏原〜越中三郷)
α7R Vで捉えた、常願寺川の夕景。水面に夕日が映る穏やかな流れに心が和む。ダイナミックレンジの広さを生かし、夕空を豊かな階調とともに表現できた
<Pickup LENS>FE 16-35mm F2.8 GM II
II型になって驚くほど小型・軽量になり、Gマスターならではの高い解像性能も健在。個人的には重量的にα1 IIとのバランスがもっとも良く、使用頻度が一番高い超広角ズームになっている。超広角ながらゆがみの少ない素直さと抜けの良いクリアな描写力は、まさに別格だ。
<Photo Technique>リモート撮影はRMT-P1BTを使おう
α1 IIをメインに、α9 IIIやα7R Vと同時に撮影する際は、ワイヤレスリモートコマンダーRMT-P1BTが便利だ。赤外線方式よりも信頼性が高いBluetooth接続方式を採用。防塵・防滴、高温・低温にも配慮した設計で、シーンを選ばずに撮影できる。鉄道撮影には手放せないアイテムだ。
<絶景EPISODE>名峰剣山をバックに悠々と走る
撮影日:5月14日 14時59分富山地方鉄道本線(越中荏原〜越中三郷)
常願寺川橋りょうをゆく富山地鉄。背景にそびえるのは、立山連峰の名峰、剣岳。空気が霞みやすい初夏には、その荒々しい山容はなかなか姿を現してくれないだけに、この写真を撮れたときは、思わず万歳! α1 IIとFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIが写したこの絶景の臨場感を味わってほしい
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