商品情報・ストア記録メディア SDメモリーカード SF-Gシリーズ タフ仕様 開発者インタビュー

カメラユーザーのためにタフさを追求したSDメモリーカード

撮影した写真や動画を記録するSDメモリーカード。その信頼性・耐久性はカメラユーザーにとって重要です。SDメモリーカードとしては初となる一体成型*1によってかつてないほどの強靱性を実現したSF-Gシリーズ タフ仕様について、開発者が語ります。 *1 厚さ2.1mmのフルサイズSDメモリーカードとして。2018年10月時点

商品企画の経緯 目指したのは「壊れないSDメモリーカード」

TOUGH01|商品企画の経緯

目指したのは
「壊れないSDメモリーカード」

ー いままでにないほどのタフさを持ったSDメモリーカード、SF-Gシリーズ タフ仕様を開発するきっかけはどんなことだったのでしょうか。

可児:きっかけは、一眼カメラユーザーの方やカメラマンさんからの声です。「SDメモリーカードが壊れてしまった、あるいはもっと強いSDメモリーカードがほしい」というフィードバックが多かったことです。カスタマーセンターにも、裏面のリブが割れたり、カードの先端が割れたり、さらにケースが折れたりクラックでひびが入ったりしたカードがお客様から戻ってくることがありました。いわゆるSDメモリーカードとしてのスピードなどのスペックを極めていくことも必要ですが、せっかくいい商品を購入していただくのであれば、長く使えることを目指さないといけないですし、その要望が実際に多くありました。ただそれをどう商品化するか、という点はとても苦労しましたので、少しお話したいと思います。

Q. SDメモリーカードが壊れた経験はありますか?

可児 智 プロジェクトリーダー

門永 晃 機構担当

門永 晃 機構担当:特によく見受けられたのが、裏面のリブが壊れる例と、ライトプロテクトスイッチが壊れてしまう例です。ライトプロテクトスイッチは、スライドさせるとそれ以上記録ができなくなるのですが、スライドスイッチそのものが取れてしまうと、記録できなくなります。これも案外多い故障でした。その声になんとか応えたい。そんな思いから「壊れないSDメモリーカード」という製品企画がはじまりました。SDカードというのは規格があって、ある意味その範囲でやってきたのが今まででしたから、その規格という枠を取り払って、商品として僕らも、お客様も欲しいと思えるものを考えて作り始めました。

ー 従来のSDメモリーカードとはどんな点が違うのでしょうか。

可児:私たちが目指したのは「壊れないSDカード」です。それを実現するためにまず「壊れない」とはどういうことかを分解して考えていきました。壊れないためには「折れない」「曲がらない」「割れない」「水に強い」といった物理的な強靱さが必要です。そこで、今まで私たちが当たり前だと思ってきたSDメモリーカードの概念を捨てて、素材や成型技術を一から見直してみました。一般的なSDメモリーカードは2枚のポリカーボネート製のプレートを重ねて製造しますが、そのため2枚に割れてしまったり、水や埃が間から侵入したりします。またリブやライトプロテクトスイッチはパーツ自体が細かったり小さかったりしますので当然壊れやすくなってしまいます。このように事例ごとに「何故壊れるのか」をそれぞれ明確にして、それが解消できる方法を検討していきました。
SF-Gシリーズ タフ仕様はメモリーをラップするような形状の治具を作り、強度の強い最適な樹脂を流し込んで成型することで継ぎ目のない一体成型としました。
これによって強靭性や防水・防塵性が強化できると当初から見込んでいました。
ただそれを商品化するまでには想定を超える苦労が待っていましたが・・・(笑)

一般的なSDカード

SF-G シリーズ タフ仕様の成型

商品化までの苦労 「剛性」と「脆性(ぜいせい)」の最良のバランスを持つ素材を探して

TOUGH02|商品化までの苦労

「剛性」と「脆性(ぜいせい)」の最良のバランスを持つ素材を探して

ー SDメモリーカードを初の一体成型とするというアイディアはどこから生まれたのでしょうか。

可児:タフで壊れにくいSDメモリーカードを作ろうと考えたとき、金属で全部作ったらいいのではないか、などいろんなアイディアが出ましたが、結果的に参考にしたのはマイクロSDでした。マイクロSDカードはサイズの都合で一体型で作られているのですが、一体成型にすれば強度と防水・防塵強化の3つを全て実現できるのではないかと考えました。

ー 一体成型するにあたって苦労した点はありますか。

可児:まず前提としてかつてないほどの強度が出せる素材を探す必要がありました。最初の苦労はここでしたね。当初は普通のマイクロSDなどに使われる一般的な樹脂で試作しましたが、これは硬いのですが、割れやすいのです。ガラスをイメージしていただくとわかりやすいのですが、硬いものは同時に脆(もろ)くて割れやすい、これを「脆性(ぜいせい)」と言います。その硬さと脆性のバランスがいい素材を探すのに、労力と時間がかかりました。

可児:結局今まで私たちが使用してきた素材は全てマッチするものがなかったのですよね。その時は正直途方にくれました(笑)。ただ有難いことにソニーはいろいろな商品を作っていますから、社内のいろいろな部署の色んな方に話を聞いたり、材料メーカーさんをいくつも回って、材料を片っ端から調べましたね。本当にやっとの思いで見つけ出した素材なのです。

ー それはどんな樹脂ですか。

可児:一般ユーザーの手には触れないものです。それを外装に使ったところが新しいアプローチで、樹脂の材料メーカーさんとしても初めての経験だったそうです。

門永:ただ熱には非常に強いのですが、「硬さ」はあまり考えられていませんでした。この素材で硬さを出そうとしましたので、最初は材料メーカーさんも戸惑っていました。

ー その樹脂は一体成型できるものなのですか?

可児:そこなのです。硬くていい樹脂を見つけても、それが一体成型に適しているとは限りません。この樹脂での成型は大変でした(笑)。今度はその樹脂をいかにうまく金型に流すかで、次の苦労が始まりました。

門永:マイクロSDなら基板が片面だけですが、フルサイズのSDメモリーカードは基板の両面を樹脂でコーティングする必要があります。裏側にまでうまく樹脂を流さなくてはならず苦労しました。

可児:工程としては金型にメモリー基板を入れて樹脂を流して成型するわけですが、基板に対して両面に樹脂を流さなくてはならないので、樹脂の流動性の問題で金型の中でメモリー基板が変形してしまうのです。メモリー基板は0.3mm程度の薄さのペラペラの素材なので、高速で樹脂を流すと両面の圧力が不均一になり、基板が反ってしまうのです。その難問をクリアするためにも数えきれないほどの試作を繰り返しましたね。

実用を重視した仕様と検証 数値だけではなく、壊れるシーンを想定した検証

TOUGH03|実用を重視した仕様と検証

数値だけではなく、壊れるシーンを想定した検証

ー さまざまな難関を経てSF-Gシリーズ タフ仕様は最高度の強靱さを実現したわけですが、強度に関してはどんな試験をしているのでしょうか。

可児:強靱性に関しては曲げ強度が18倍(SD規格曲げ試験基準比)、防水性は水深5mで72時間と最高等級(IPX8)、さらに最高等級の防塵性(IP6X)と5mの落下試験をクリアする耐衝撃性を実現しています。この「曲げ」についてはSD規格で定められた強度のテストはもちろんのこと、実際にカメラのスロット挿入時に誤ってかかる曲げの負荷などもテストもしています。というのも、検査でいい数値が得られても、実際に人がかけてしまう負荷で曲げてみると、規格とは違うところに力がかかって割れやすいという事例がありましたので、こんな状況で曲がってしまうこともあるだろう、こんなことはないだろうかと使用シーンを想定した試験も数多く行いました。

門永:通常の規格にはない5メートルからの落下テストを追加したのも実使用を想定したからです。撮影の現場である程度の高さからSDメモリーカードを落としてしまうケースは十分あり得ますから。

ー そのテストで「割れたら素材を変える」ということを繰り返したということですか。

門永:そうです。ただ、単に素材を変えるだけでなく、きちんと正しい形に成型できるよう繰り返しましたね。素材を変えては成型調整をしてテストをする、テストで目標に達しなければまた素材を変えて成型調整をする、というように途方もなくテストが続きました(笑)。

SDメモリーカードとして今までにない形状

ー ライトプロテクトスイッチがない仕様になっていますね。

可児:はい。そこは社内からも、お客様からも特に驚かれるポイントで「思い切ったね」と第一声でよく言われます。ただ多くのカメラマンの方にヒアリングすると、このスイッチを活用している方は少なく、「ライトプロテクトスイッチは使ったことがない!それなのにこれが壊れたり、プロテクトするつもりがないにオンになっていて慌てることがよくあるんだよ! よくぞ変えてくれた。さすがソニーさん」と言ってくださる方もいらっしゃいました。思い切りが必要な判断でしたが、冒頭で話した通り「壊れないSDカードを作る」ためにはどうしてもやらなくてはいけないことだったのです。

一般的なSDメモリーカードの背面

SF-G シリーズ タフ仕様の背面

ー 裏側のリブもなくなりました。端子がリブで保護されていないので、カードを触ったときに指が直接端子に触れてしまうが大丈夫なのかという声もありますが、それは問題ないのでしょうか。

可児:その点も徹底的に検証しましたので大丈夫です。もちろん何かが付着した場合は綺麗にふき取って頂く必要はありますが、カードを落として砂や泥がついた場合を想定し、砂と指の油の付いた手で触ったりと、劣悪な環境での試験を行い問題がないことを確認してあります。

門永:リブが折れたり曲がったりすると読み書きができなくなるだけでなく、カメラやパソコン側のコネクター端子を傷めてしまうことすらあります。そんなリスクをさけるためにリブをとったのです。

想定使用シーン 特に屋外でカードを抜き差しするカメラマンに使っていただきたい

TOUGH04|想定使用シーン

特に屋外でカードを抜き差しするカメラマンに使っていただきたい

ー SF-Gシリーズ タフ仕様の使用シーンは具体的にどんなところを想定しているのでしょうか。

可児:シーンとしては主に一眼カメラの撮影ですが、このSDメモリーカードは強靱なだけでなく、防水性や防塵・耐塵性が高いので、特に屋外で撮影を行うカメラマンの方に、このカードなら過酷な状況でも安心して使っていただきたい、ということをお伝えしたいと思います。アウトドアでカードの抜き差しが必要となる方には、ぜひお勧めしたいと思います。

門永:たとえば報道の方などで場所に関わらずにすぐにデータを送る必要があるような方にも使っていただきたいと思います。現場の水辺や泥だらけの場所でカードを交換しようとしてポロっと落としてしまうことはありえます。このカードならそんなシチュエーションでも安心して使っていただけると思います。

可児:それに世界最速*2であり、メモリー状態診断ソフト(SD Scan Utility)や、誤って消してしまった写真などを可能な限り復元するソフト(ファイルレスキュー)*3もダウンロード特典として付いているので、そういう意味でもカメラを使う方にとっては強いSDメモリーカードですね。

  • *2 民生用SDXC/SDHC UHS-IIメモリーカードとして。2017年発売の自社モデルSDカード「SF-G シリーズ」と同等。
    ソニー調べ(2018年10月3日広報発表時点)
  • *3 すべてのデータの復旧を保証するものではありません
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