ANYCOLOR株式会社様
ANYCOLOR株式会社はVTuberグループ「にじさんじ」の運営事務所として、所属タレントのマネジメント、リアルイベントの企画制作、グッズ販売などを手がけている企業です。VTuberが眼前に存在していると感じられる体験をファンに提供することを目的として、空間再現ディスプレイを活用した取り組みについてお話を伺いました。
*掲載内容は2025年7月時点のものです
我々は、にじさんじに所属するVTuberがまるで現実の世界にいるかのような、お客様の隣に本当にいるかのような体験をしていただくことを1つの命題としています。今までにもリアルライブでのARを用いた演出や、XRヘッドセットをかぶって、ライブステージの中に入りこめたような感覚を持てる技術的な取り組みをしてきました。しかしどの手法も体験をするためのハードルが高いと感じていたんですね。
そう考えていたときに、ソニーの担当者から空間再現ディスプレイをご紹介いただきました。弊社のコンテンツをご存知であったこともあって、詳しい情報をお聞きしたら等身大を映せる社内検証用の55インチの空間再現ディスプレイもあると知りました。
初めて大型55インチ空間再現ディスプレイを体験させていただいたところ、そこにいたメンバーが全員、「これ、VTuberのライブで使ってみたら面白いよね」と思ったこともあって、導入を決定。2025年4月19日 J:COMホール八王子にて開催した樋口楓、初のソロライブツアー「Higuchi Kaede 2024-2025 LIVE Tour “BREAKING” in Tokyo」の会場で使うことになりました。
具体的にはライブ終演後の終演後個別トーク&2ショット撮影で利用しました。ライブのプレミアムチケットに当選した方にお越しいただいて、終演後の樋口さんと空間再現ディスプレイ越しに、実際にリアルタイムでお話いただきました。お客様との1on1のトークで利用するということもあって、当初イメージしていたどおりコンテンツを提供できたかな、と思っております。
普段の弊社所属タレントの音楽ライブでは、独自の3Dライブシステムを活用しています。そのため空間再現ディスプレイのシステムとの連携方法を検討するところから始めました。ディスプレイの体験者に合わせて立体視映像をレンダリングするために必要な、バーチャル空間上のカメラ情報をソニーから提供していただき、左目用映像と右目用映像を個別にレンダリングして空間再現ディスプレイに送り込むべく、弊社のシステムをアップデートしました。
今回は万全を期して最初にシステム同士の疎通チェック、弊社の方のシステムでレンダリングした映像を空間再現ディスプレイに送ったうえでの動作確認、最終的に実行チャートに沿っているかの確認を弊社のディレクターやイベントの担当者、ソニーのエンジニア担当に確認していただくプロセスを踏んだ上で、ライブの現場に挑みました。
最終的にライブ会場の設営日とライブ当日を使って、より立体感が高まるルックを完成させて、そこから樋口さん御本人に実際に体験・練習をしていただいてから、終演後個別トーク&2ショット撮影を迎えました。
55インチという大型な空間再現ディスプレイだからこそ、タレントを等身大に映し出すことができましたし、タレントを現実に呼ぶことができたと実感しています。XRヘッドセットなどを用いずに、お客様に指定の場所に立ってもらうだけで、他に何もせずに立体視ができるという体験を届けられたというところもすごく良かったですね。弊社のミッションである「魔法のような新体験を」というものを、ソニーと一緒にできたこと、これからもやっていけることがありがたいと思っています。
お客様の反応としても「その場では(樋口さんに)言えなかったけど、めっちゃ立体的に見えた」といったコメントがライブ配信やSNSで多数寄せられました。社内の技術スタッフからも、「以前からこういうディスプレイがあることは知ってはいたものの、現時点でどこまでのクオリティーなのかわからなかった。けれど、実物を見に行った時に、今の立体視ディスプレイってこんなにしっかりと立体視できるし、映像そのものも綺麗なのか」と驚いていました。

樋口さん自身も、後日のライブ配信で次のように語っていました。
「ライブ後の1on1のトークのときに、プレミアムチケットが当選したファンの方と話したんですが、そのときに新技術を使いましてね。これね、肉眼でしか表現できないの。あのね、すごいんよ。いやもう体験した人にしかわからんと思う。体験中のシーンを写真で見ると平面っぽく見えるんだけど、肉眼で見るとあのね、もう立体なんだよな、私。だから私が手伸ばすと、みんなのとこに届くって感じ。届いてたよねぶっちゃけ。
いやーもうね、技術ってすごいとこまで来てるんよ。実はこれ、その1on1のトークでVTuberが活用するっていうのが世界初らしくて。私もこんなすごいことになると思ってなかったし。ファンの人たちも『すごいじゃん! え、どうなってんの!?』とか感じだったんだけど、まだこの新技術のディスプレイって世の中に一桁台しかないみたいで。今後この技術が浸透するか否か、ファンの人たちの反応次第だと思うのよね。体験してくれた人は良かったらね、機会があったら『マジですごかった』みたいなのを言ってくれたら励みになると思う」
今後のVTuberの演出として、ディスプレイの中にVTuberを映すだけじゃなくて、一緒にいるかのような体験を提供できるようにすることが重要だと思っています。空間再現ディスプレイがもたらしてくれた体験を当たり前のレベルにしていけるといいかなと考えています。既存のシステムへの組み込みがしやすくなることを期待しますし、今後一緒に共創していけると嬉しいなと思っています。
また現状の空間再現ディスプレイは1on1に限定されてしまうので、複数人が同時に立体視できるようになると、体験を活かすシチュエーションが増えていくかなと考えています。VTuberもテーマパークのアトラクションのようだと言っていましたが、3DメガネやARグラス、XRヘッドセットをかけずに大人数で楽しめるようになる技術進化を期待します。

空間再現ディスプレイ ELF-SR2は、ソニー独自の視線認識技術により、裸眼のままでもクリアで色鮮やかな立体視を再現するディスプレイです。あたかもそこに実物が存在するかのような画像描写で、プロダクトのデザインにおけるイメージの制作や共有、商品プロモーションにおけるデザイン・機能訴求といった用途で、新たな可能性をもたらします。
空間再現ディスプレイ
ELF-SR2(27 型)
* 掲載画像大型55インチ空間再現ディスプレイは、販売品の ELF-SR2 を元にした検証機です。
また、大型55インチ空間再現ディスプレイは完成品としての量産販売を行っているものではありません。
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