ちはる歯科 様
大学院時代に歯や消化管の発生について研究し、とくに歯胚の成長過程を立体的に捉える研究に携わっていた佐々木院長。1999年、故郷である静岡県富士宮市に「ちはる歯科」を開業しました。口腔の健康を守ることを通じて地域の人びとの健康増進や生活の質の維持に寄与したいという思いから、診療の質や患者理解の向上につながるデジタル技術を積極的に取り入れています。
*掲載内容は2026年3月時点のものです。

ちはる歯科 院長 佐々木 千晴 様
患者さんが自身の歯の状態を理解し、納得したうえで治療を選択していただくことが、当院で大切にしているプロセスです。当院ではこれまでも、できる限り丁寧な説明を心がけてきました。しかし、従来のレントゲン画像や2D表示のCT画像では、歯の位置関係、骨の厚み、神経との距離、歯列のねじれや咬合の関係といった立体的な情報を十分に伝えることが難しいと感じていました。
歯科医療は専門用語が多く、患者さんが受け身になりやすい分野でもあります。その結果、「治療方法は、先生にお任せします」となってしまうことが少なくありません。保険診療、自費診療といった選択肢があり、最終的には患者さんが意思決定を行う必要があるからこそ、患部の状態を「自分事」として理解してもらう工夫が必要だと考えていました。
立体視できる手段を探す中で、大学の先生方が空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display、以下SRD)の医療用ソフトウェアを開発されていることを知りました。CTやスキャンデータをもとに、生体構造を忠実に立体表示するという考え方に強い関心を抱き、まずはソニーストア銀座でSRDの実機を確認する機会を得ました。
実際に見たSRDは、裸眼のままで自然に奥行きが把握でき、医療画像との相性の良さを感じました。また、単に立体視できること以上に評価したのは、日常診療の中で無理なく使えることです。3DグラスやVRゴーグルを用いる方法もありますが、たびたび脱着したり、患者さんが変わるたびに消毒したりすることは、スタッフにも患者さんにも負担がかかるため、運用には課題があると感じていました。

新しい技術を導入する際、私が重視しているのは、その技術が診療現場にどのような変化と価値をもたらすのかという点です。患者さんへの説明のしやすさや、スタッフとの連携がどのように向上するかを見ています。
SRDは患者さんが裸眼のまま立体的な3D画像を確認できます。さらに、すでに導入していた口腔内スキャナーやCTとの連携も可能で、既存の診療環境を踏まえた活用ができます。これにより、患者さんへの説明の質を確実に高めながら、診療フローを大きく変えることなく、スタッフにも無理なく取り入れられると判断しました。補助金の活用も含めて総合的に検討した結果、SRDの導入に至りました。
※ソニーストア銀座のSRD展示状況は、ご来店前に店舗までお問い合わせください
現在は、SRDを用いてCT画像などを立体表示し、「患部がどのような状態なのか、どこに問題があるのか、なぜその治療が必要なのか」をお伝えしています。例えば、親知らずの症例では、「歯の向き、神経からの距離、炎症との関係」などを立体的に示すことができます。また、歯列不正や矯正相談の場面でも、「歯のねじれ、その位置になった原因、矯正の合理性」などを視覚的に共有しやすくなりました。患者さんからは「状態がよく分かった」「思っていた以上に問題があった」といった声が聞かれ、説明への理解が高まっていると感じています。
患部を立体的に見ることで、患者さんが状況を「自分事」として捉えやすくなり、治療内容について質問を受ける機会が増えました。「説明を受ける立場」から「理解したうえで選択に関与する立場」へと変化してきているように感じています。こうした納得感は、診療への安心感や信頼関係の構築にもつながっているのではないでしょうか。
また、以前は、3Dプリンターで模型を作って説明したこともありましたが、現在はSRDで即座に表示できるため、時間短縮につながるとともに、大量のゴミが出ないため省資源の効果も感じています。
当院には治療用チェアが5台あり、それぞれにSRDを設置しています。1台を移動させて使う運用では、診療の流れや導線が滞ってしまうからです。どれほど性能の高い機器であっても、準備や操作に負担がかかると、現場では次第に使われなくなってしまいます。診療に自然に溶け込むことが、技術を定着させるうえで重要だと考えています。
5カ所の治療用チェア、それぞれに1台ずつ設置し、SRDを移動させる必要がない
私がもう一つ大切にしているのは、地域医療を持続可能な形で次世代につなげていくことです。地方では高齢化が進み、通院が難しい患者さんが今後さらに増えていくと考えられます。一方で、医療を提供する側の時間や人手には限りがあります。
SRDには将来、遠隔診療支援やAI解析などと組み合わさることで、地域医療を補完する役割を担う可能性があるのではないかと考えています。「すべてを人が移動して対応する」のではなく、「見える情報はデジタルで共有する」。「地域医療を未来につなぐ」ための手段と期待しています。
私にとってSRDは、単なる映像機器ではありません。歯科医療を、より見えるものにし、より伝わるものにしていくための一つの手段です。
その価値は実際に立体表示を体験すれば実感できると思います。多くの医療関係者の方に、ぜひ一度実機をご覧いただければと思います。
空間再現ディスプレイ
空間再現ディスプレイ ELF-SR2は、ソニー独自の視線認識技術により、裸眼のままでもクリアで自然な立体視を再現するディスプレイです。医療画像を立体的に表示することで、患部確認や治療内容説明を支援し、医療現場におけるコミュニケーションの質向上に寄与します。
※本製品は医療機器ではありません
空間再現ディスプレイ
ELF-SR2(27型)
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