商品情報・ストア空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display) 事例紹介 国立西洋美術館様

国立西洋美術館様

インタラクティブな立体映像で世界遺産の建築的な価値を体験空間再現ディスプレイELF-SR2

国立西洋美術館は、世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産のひとつです。この世界遺産は7カ国17資産で構成され、日本国内では国立西洋美術館のみが登録されています。展示作品の増加とともに外側へ渦を巻くように展示室を増築していく「無限成長美術館」の原理に基づいて設計されており、中央の核となるホールから四角い螺旋状の展示室を巡る構造が大きな特徴となっています。

国立西洋美術館
国立西洋美術館 世界遺産担当室
主任研究員 室長
福田 京 様

*掲載内容は2023年7月時点のものです。展示は2023年9月3日まで。また、展示内容は予告なく変更する場合があります。

歴史的かつ美術的な価値を伝えるコンテンツを公募

世界遺産である国立西洋美術館は、ル・コルビュジエのアイデア「無限成長美術館」の基本的な原理に基づいて設計されており、1階、2階、中3階、照明ギャラリーなど、さまざまな空間的な特徴があります。しかし、1959年の竣工から64年を経て法規制も変わり、現行法に対応していない多くのエリアを非公開とせざるを得ない状況になっています。そのため、大切な部分をお伝えしたくても、特徴を実感できるエリアにご案内できない、というジレンマをずっと抱えていました。そこで今回、当館の建築の歴史的かつ美術的な価値について、非公開部分までも含めて表現できるコンテンツを公募し、株式会社エリジオン様からのご提案を採用しました。

点群データに基づいた立体映像を裸眼で体験できる空間再現ディスプレイ

正確な建築データの記録と高画質な表現の両立

公募のポイントは大きく2つあり、ひとつは現状の建物の正確なデータを記録できること、もうひとつは高画質であることでした。そもそも設計図面が完全に揃っていなかったり、施工時の誤差があったり、さらに度重なる改修で変化が生じたりと、現在の建物の正確なデータを把握することが必要でした。また、世界遺産である建築物の意匠や設計意図への理解を高める目的で「没入感」のあるコンテンツであること、さらに、鑑賞者の見たいという気持ちに応えられるような「好奇心」を刺激するコンテンツであることも重要視しました。そうした没入感や好奇心の刺激には、正確性と高画質の両立が必要だと考えました。

株式会社エリジオン様からご提案いただいた内容は、レーザースキャナーを使い三次元の点群データを計測することで建物の正確なデータをとり、さらにそれを空間再現ディスプレイ(以下、SRD)ELF-SR2で高画質に再現するものでした。プレゼンテーション時には、こんなに立体に見えるんだ!と驚きました。ヘッドマウントディスプレイでは運用が大変ですし、非接触であることも重要です。裸眼でこれだけ立体感を得られ、そのうえで、こちらが頭を動かすと立体映像も動くという追従性にもビックリしました。私たちがイメージしたもの以上のものを創れるかもしれない、という感覚があったことが採用の理由です。

エントランスホールに5台のSRDを設置し3Dコンテンツを公開(2023年9月3日まで)

丸柱に浮かび上がる木目まで高精細に再現

2023年7月4日から9月3日まで、5台のSRDをエントランスホールに設置し、「ゆびさきでめぐる世界遺産-ぐるぐる国立西洋美術館-」として3Dコンテンツを公開しました。実際のコンテンツでは、立体感だけではなく、細かな意匠まで高精細に再現されていることにも驚きました。当館の丸柱は、日本古来の技術を使って姫小松という木材で型枠をつくり、そこにコンクリートを流し込むことで、無機質なコンクリートに木目を浮かび上がらせています。これは「日本人の仕事の丁寧さから生まれた美しさ」とル・コルビュジエ自身も作品集のなかで評価しており、当館にとって大切な美術的価値を持っています。この木目まで高精細に見られることは、とてもうれしいことでした。

コントローラーにより立体映像の操作が可能

17資産すべてを再現してほしい

コントローラーを使って、建物の断面を動かしたり、上下左右に移動したりと、インタラクティブに操作できる点も文化財への興味を刺激してくれます。将来的には、世界各地17カ所の建築作品も、ぜひこのシステムで鑑賞できるようになってほしいと思います。7カ国の資産すべてを訪れることは物理的に大変ですが、このSRDを使ったシステムであれば、離れていても没入感を持ってル・コルビュジエの建築を体験することができます。これらの建築がなぜ世界遺産となったのか、後の建築家たちにどのような影響を与えたのか、また近代建築にどのように貢献してきたのかを、より深く知ることができると思います。

株式会社エリジオン ご担当者様のコメント

ゼネラルマネージャー
中川 大輔 様

エリジオンは数多くの文化財のデジタル化に携わる機会にめぐまれ、3Dデータの活用に関する課題や現場の管理者の苦労などへの理解は深めていました。3Dデータ化した貴重な建築構造物を2Dのディスプレイでただ見てもらうのではなく、その価値や重要性を「体験」として届けたいという思いがありました。そのためには、自分自身が見ているという感覚を違和感なく提供できるSRDが重要なハードウェアとなりました。ELF-SR2は、画面を見る人の瞳のトラッキング信号に追従してコンテンツを動かす反応がよく、没入感が際立ちます。非接触型で、裸眼で鑑賞できる点も、より多くの人に文化財の価値を届けられる利点になります。文化財の価値や魅力、専門家が伝えたいと思っている情報を、違和感のない高画質な立体映像の「体験」として提供できるSRDに、今後も期待しています。

ELF-SR2(27 型)

空間再現ディスプレイ ELF-SR2は、ソニー独自の視線認識技術により、裸眼のままでもクリアで色鮮やかな立体視を再現するディスプレイです。あたかもそこに実物が存在するかのような実在感のある空間表現が、クリエイターのコンテンツ制作やデザインの確認をはじめ、美術館、博物館、イベント会場やショールーム、教育用途、店舗など、幅広い分野で新たな可能性をもたらします。

空間再現ディスプレイ
ELF-SR2(27 型)

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