株式会社砂原組様
2024年に創業100年を迎えられた砂原組は、建築分野ではマンションや公的施設、神社仏閣などを手がけられ、土木工事では主に公共工事を受注、永年にわたり広島の街づくりに貢献されてきました。国土交通省中国地方整備局の「工事成績優秀企業」認定を受けたり広島市からも優良建設工事表彰を受けたりするなど、高く評価されています。
*掲載内容は2025年11月時点のものです

工事支援部 BIM/CIM推進室 岡田 裕一 様
道路や橋梁、舗装といった社会資本整備に関わる土木工事。河川や砂防などの国土強靭化を目的とした防災工事。当社では、豊かで安心して暮らせる街づくりに貢献する公共事業に長らく携わってきました。公共事業では、地方自治体などの発注者や、工事関係者にくわえ、地元住民にも工事に対する理解を深めていただくことが重要です。そのため工事の完成形を、より具体的にイメージしていただけるよう努めてきました。
当社では業務でBIM/CIMの活用を推進しており、施工前に現地をドローンや地上型レーザースキャナで計測し、点群データから3D モデル化。そこへ、設計図書の2次元データを3次元化して重ね合わせ、立体的な画像を制作しています。これを先ほど挙げた皆様にご覧いただいてきました。図面をそのまま見るよりも、ずっと完成形をイメージしやすいわけです。以前はパソコンの3D ビューアーを使って、通常のディスプレイでご覧いただいていました。しかし、どうしても直感的にわかりにくく、ある程度は、現場を把握した者でなければイメージがわきにくい。そのため3Dプリンターを購入し、現場の立体模型を製作しようと考えました。

工事部 DX推進室 西岡 政嗣 様
しかし、3Dプリンターの導入には、さまざまな課題がありました。まずは、製作に手間がかかること。規模の大きな事業では立体模型も大きなものになります。全体を何分割かし、1部分ずつ数時間かけて製作していき、最後に全部を組み合わせ、やっと完成です。しかも、手作業で着色も施さなければ、工事完了時の雰囲気がわかりにくい。そして、当社が求める性能をもつ3Dプリンターの価格は300〜500万円ほどし、模型も1部分を製作するのに数万円の材料費がかかるのに、工事完了後には廃棄処分されるだけ。導入を悩んでいたところに、販売代理店様からソニーの『空間再現ディスプレイ(以下、SRD)』をご紹介いただきました。
はじめに、3DモデルをSRDなら立体的な3D空間画像で表示させられ、自由に視点方向を変えながら見せられる点に強く興味をひかれました。制作するものはデータであるため、大きな消耗品コストがかからず、保存に場所もとりません。実際にデモを拝見し、3Dモデルからこれほどわかりやすい画像が表示されることに大変驚き、「使えるぞ、誰が見ても完成形をイメージしてもらえるだろう」と手応えを感じたのを覚えています。こうして導入を決めました。
導入後、SRDはほぼすべての受注案件で利用しています。まずは当初の目的どおり、工事前や施工中に皆様へ完成形をリアルな3D空間画像でご紹介し、工事に対する理解を深めていただけています。特に、土木現場で完成形や進捗状況を関係者が確認するには有効です。施工中に設計変更が発生した場合には、変更した図面から3Dモデルを起こし直しSRDで3D空間画像にして見れば、変更前と変更後をかんたんに比較・確認でき、大変役立っています。国の公共事業でこちらから設計変更を再提案したこともあり、変更前後を見比べていただき一目瞭然、再提案の方が評価された際は本当に助かりました。3Dモデルを変更すれば、すぐに新たな3D空間画像ができあがるスピード感は、3Dプリンターでは得られないものです。このケースでは階段の形状変更が議論されたのですが、SRDなら複雑な構造の建造物を見る際、特にわかりやすくなると感じています。

SRDの3D空間画像は、多くの人から驚きをもって見られています。工事説明会では、いつも役所職員や地元住民から関心を集めていますし、工事見学に来る小学生にも大変好評です。ある公共工事の完成検査で利用した際には、検査に来られたかたから、後日ご自身が開くBIM/CIM 勉強会でSRDを展示してもらえないかと依頼され、他の業者に見ていただく機会がありました。他社の皆様も高い関心をもたれていたのは印象的でした。また、3Dモデルの制作を外注している協力会社や、社内からも「わかりやすくて良い」と高評価を受けています。経験の浅い若手社員が、図面を見て自分がイメージしていたことと、SRDで表示された画像と何が違うのかが一目でわかるので、若手の教育にも活用しています。
2018年の西日本豪雨で、広島は大きな被害に見舞われました。その際、当社でも復旧に尽力したのですが、もしまた何らかの災害が発生したときにはSRDを活用して、いち早く対応したいと考えています。災害現場をドローンで撮影して3D モデル化すれば、SRDでより正しく被害規模や状況を把握できます。どこを避難場所とすべきかなど、的確な行動も可能になるはずです。
通常の事業においては、稼働する構造をもった建物の施工も受注していることから、画像だけでなく映像も積極的に取り入れ、工事への理解をさらに促進していきたい。そこでは、SRDの鮮明な映像表現力もより活きてくるのではないでしょうか。

空間再現ディスプレイ
空間再現ディスプレイ ELF-SR2は、ソニー独自の視線認識技術により、裸眼のままでもクリアで色鮮やかな立体視を再現するディスプレイです。あたかもそこに施工現場が存在するかのような空間描写が、建設事業における完成イメージの事前共有、実際の工事・施工との比較検証といった用途で、新たな可能性をもたらします。
空間再現ディスプレイ
ELF-SR2(27型)
* 掲載画像大型55インチ空間再現ディスプレイは、販売品の ELF-SR2 を元にした検証機です。
また、大型55インチ空間再現ディスプレイは完成品としての量産販売を行っているものではありません。
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