
風景の中にスキーヤーを写す
──小橋城がFE 100-400mm F4.5 GM OSSを選ぶ理由
写真家 小橋城 氏
小橋城 / 写真家 写真家でもある父の背中を見て育つ。日本写真 芸術専門学校に入学、卒業と同時に、写真家水谷章人に最後の弟子として師事する。その後、フリーランスの写真家として活動。スキーを中心に各スポーツなどを撮影し、雑誌、広告などで作品を発表している。数年前よりフィギュアスケートやアウトドアスポーツなども積極的に撮影を試みている。書籍に『Face』『鍋倉の森』などを出版している。
ここぞという時に手に取りたい一本
このレンズを手に取った第一印象として、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSと比べると少し大きさは感じますが、持った際の重さは気になりませんでした。ぼけと描写は期待以上です。幅広いスポーツ撮影に対応でき、ここぞという時に手に取りたい一本だと感じました。
構図を変えずに山を写す
私はまず風景を見て構図を決め、スキーヤーと地形、雪質、ライン(滑る場所)を確認しながら、スキーヤーをどう配置するかを考えます。この作品も背景にある山の形を収めることにこだわりました。このカットは被写体との距離がかなり離れていますが、単純に近づけば良かったというわけではありません。山では立ち位置を少し変えるだけで背景の見え方が変わってしまいます。この作品でも、後方に見える山の形を残したかったので、撮影位置は維持したまま構図を調整していきました。100-400mmの魅力は、こうした場面で構図を崩さずに画角を追い込めることです。自分が見せたい山の形を保ちながらスキーヤーを配置できるので、山岳フィールドでは大きな武器になります。
その山を滑った証
スキー写真というと、雪煙を大きく写した迫力あるカットをイメージする方も多いと思います。ただ私は、そのスキーヤーたちがその時その場所に存在しているということも含めて写し取りたいと考えています。人物だけを大きく写してしまうと、どこで撮った写真なのか分からなくなります。山の地形や奥行き、周囲の環境も含めて切り取ることで、その場所の空気感まで伝えることができます。100-400mmは望遠域だけでなく100mm側から使えるので、風景と人物のバランスを見ながら構図を組み立てやすいレンズでした。
雪煙の質感を捉える
この作品では、手前の雪面を前ぼけとして取り入れながら、雪煙や雪粒の描写を表現することを意識しました。風景全体を見せるというよりも、雪山ならではの質感に視線を向けたカットです。こうした撮り方は明るいレンズだからこそ成立します。前ぼけを活かしながら被写体を捉えることで、舞い上がる雪の描写がより際立ちました。F4.5通しの明るさも生かせたシーンだったと思います。
見せたい風景を切り取る
実はこの作品は、すでに他のスキーヤーが滑った跡が近くに残っていて、画面の中に入れたくない要素もありました。400mm側で見ているからこそ、こういったところにも視点がいくようになり、構図を整えることができました。不要な情報を避けながら景色の印象を切り取るという意味でも、望遠側の焦点距離が役立ちます。風景の中から何を見せるかを選びながら撮影できるのも、100-400mmというズームレンズだからこそだと思います。
シュプールに刻まれた経験
この作品では、スキーヤーの頭上に雪煙が流れています。これは一つ前のターンで舞い上がった雪が風で流れてきたものです。私は長年スキーヤーたちを撮影していますが、シュプールやターンにはその人の経験が表れます。だからこそ人物そのものだけでなく、その場所に残した軌跡まで写したいと考えています。雪煙やシュプールの描写までしっかり写し込める解像力があることで、一つのターンに込められた技術や積み重ねも表現しやすくなりました。今回の作品づくりを通して、このレンズの対応力をあらためて実感しました。さまざまなスポーツシーンで活躍できるレンズです。誰もが期待していたインナーズームとF値固定を備えています。撮り手が思い描くシーンに応え、想像以上の作品が生まれる予感しかしません。
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