

鉄道絶景+α
第24回烏山線(栃木県)
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:8月19日 6時44分烏山線(小塙〜滝)
青空と霧、ヒマワリと列車。まさに役者がそろった絶景だ。ここで霧が出るのは珍しく、さらに薄っすらと白虹も見えた。α7R VIの密な描写が僕の感動をそのまま写し出す
一輪まで克明に。αが描くヒマワリ畑の絶景
早朝のヒマワリ畑でひとり列車を待つ。今回の舞台は栃木県の烏山線で、相棒はα7R VIだ。この畑の一帯は谷津田と呼ばれ、丘陵地に入り込んだ浅い谷を利用して田んぼが作られている。周囲を雑木林に囲まれた素朴な田園風景だが、夏になると地域の方々の手によって鮮やかなヒマワリ畑へと姿を変える。そのすぐ横にはJR烏山線の線路があり、「谷津田に咲くヒマワリと列車」という貴重な絶景が広がるのだ。
この日は湿度が高く、あちこちに霧が出ていた。列車の時間が近づくと霧がみるみる広がり、ヒマワリ畑を幻想的に浮かび上がらせた。さらに列車が現れるタイミングで太陽の光が差し込み、霧の中にうっすらと白虹が出現した。なんともドラマチックな瞬間との出合いに、胸が高鳴った。画面いっぱいに広がるヒマワリを、一輪一輪まで克明に描き分けるα7R VIの描写力は圧巻だ。有効最大約6,680万画素の高解像センサーは、遠くの小さなヒマワリまでしっかりと描き分け、花びらや葉の質感はもちろん、ヒマワリ畑の圧倒的な密度感と奥行きまでリアルに描き出す。さらに霧の淡い階調から森の深いシャドウまで余裕をもって再現する広いダイナミックレンジも、この光景を見事な作品へと昇華させている。細部まで緻密な描写は臨場感にあふれ、その場で見た以上の感動をもたらしてくれる。夕方、再びヒマワリ畑を訪ねた。今度は少し高い位置から、夕日に輝くヒマワリ畑を狙う。ちょうど列車が来るタイミングで家族連れがやってきた。列車に向かって楽しそうに手を振る子どもたちを、とっさにズームアウトして構図に収める。その瞬間、絶景は温かなストーリーへと変わった。鉄道は人が動かし、人を運ぶもの。鉄道写真における「人」という被写体の強さを再認識した。
撮影日:8月20日 9時42分烏山線(滝〜烏山)
日本でも珍しい滝と列車の共演。以前は滝の高さから撮影できたが、夏は草が伸びるため、今回は龍門ふるさと民芸館の展望台から狙った
撮影日:8月19日 13時08分烏山線(鴻野山〜大金)
夏に彩りを添えるサルスベリ。花の隙間からいつ列車が現れるか分からない難易度の高いシーンだ。さかのぼって撮影できる、プリ撮影機能を使ってチャンスをものにした
撮影日:8月19日 17時27分烏山線(小塙〜滝)
広大なヒマワリ畑に夕日が差すと、一面がオレンジ色にまぶしく輝いた。手を振る子どもたちの歓声が聞こえてきそうな温かい情景を、α1 IIは鮮やかに記録してくれた
撮影日:8月19日 13時45分烏山線(小塙〜滝)
暑い日が続くが稲はしっかりと育ち、秋の気配も漂ってきた。FE 24mm F1.4 GMは田んぼの上を走る列車と抜けるような青空を爽やかに描写してくれた
<Pickup LENS>
FE 24mm F1.4 GM
圧倒的な小型・軽量設計が魅力のFE 24mm F1.4 GM。大口径広角レンズとは思えないコンパクトさを実現しながら、高い解像性能と美しいぼけ味を備え、風景からスナップまで幅広く活躍する。ズームレンズがメインの僕も、サブレンズとして必ずバッグに忍ばせる1本だ。
<Photo Technique>
「プリ撮影」機能を使って瞬間を撮り逃さない
シャッターボタンを押す前の瞬間までさかのぼって記録できる「プリ撮影」。見えない場所から急に列車が現れるシーンなどで威力を発揮する。さかのぼる時間は0.03秒から最大1秒前まで設定可能で、僕は最大の1秒に設定している。すぐ呼び出せるようにFnメニューに登録している。
<絶景EPISODE>
ズームの常識を覆す描写力と優しいぼけ味撮影日:8月20日 7時00分烏山線(小塙駅)
FE 100-400mm F4.5 GM OSSの400mm端、開放絞りで撮影した1枚。ズームレンズとは思えない美しいぼけ味は、ピントを合わせたヒマワリを際立たせるだけではない。画面に入れたくない被写体を優しくぼかすことで、構図への影響を和らげてくれる効果もある。レンズそのものが、表現の幅を広げてくれるのだ。
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