
空気までも描き出す ― FE 50-150mm F2 GMと出会った日
写真家 清家道子 氏
清家道子 / 写真家 福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。現在企業カレンダーを手がけるほか、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。2016年に写真展「またまの宇宙」をリコーイメージングスクエアで開催。同写真集(日本写真企画)を出版。2017年に南仏をテーマにした写真集「TheGiftOfRanunculus」(風景写真出版)、2021年著書「美しい風景写真のマイルール」(インプレス)、2022年「極上の風景写真・フィルターブック」がある。2019年「純色風景」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、福岡天神で開催。2022年「光の記憶」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、福岡天神で開催中。2020年にYouTube清家道子チャンネルを開設。風景写真、色彩心理、風景動画で構成した風景ショートムービーなどを配信中。https://www.youtube.com/@michiko_seikeαアカデミー講師
昆虫・花もスムーズに捉える軽量コンパクトF2ズーム
F2通しのズームレンズですが思ったよりコンパクト・軽量で驚きました。長さもFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIとほぼ同じということで、あまり重たいレンズを持たない私にとって気負う事なく自然に使用することが出来ました。使ってみての第一印象はまず、ピント合わせがとても早いということです。動物撮影はもちろん揺れる花の撮影や昆虫にも使いやすいレンズだと思いました。アルミのエンブレムがとてもかっこいいですね。
全域で高解像と美しいぼけが作画意図を広げる
50mmから150mmまでのどの焦点距離でもF2というのはとても自由度が高く感じました。どの焦点距離でも美しいぼけ味を表現でき、レンズを伸ばしても解像感が全く落ちることがなく、これ一本で集中して被写体に向き合える安心感がありました。単焦点レンズ数本分のクオリティが詰まったレンズで、まさに大三元レンズの時代から超大三元の時代へステージへと押し上げてくれるレンズです。
インナーズームの安定感と軽快さ
F2通しのレンズだと聞いた時は「かなり大きく重たいレンズなんだろうな」とちょっと身構えていたのが正直なところです。でも実際にこのレンズを手にしてみると、拍子抜けするくらいにコンパクトで軽かったです。もちろんF2通しのレンズなのでそれなりに重量はありますが、このクオリティでこのサイズ感と重さなら全く問題ありませんでした。またインナーズームなので望遠にしても長さが変わらないので安定感があり手持ち撮影もしやすかったです。
風景の空気感まで写す解像と、透明感あるぼけ味
高い解像感とぼけ味を表現できるレンズです。私は風景写真をメインに撮りますが、解像感の高さとぼけ味は風景写真で最も重視する部分です。望遠域で撮影しても解像度は落ちず、リアルな描写で空気まで写し止めるような表現力。使えば使うほどこのレンズに魅了されました。またF2ならではのぼけ味はとろけるように美しいです。レンズによっては丸ぼけがベタっとした印象になることがありますが、このレンズのぼけ味は透明感があり柔らかいながらもスッキリとしているのが特徴です。
F16で俯瞰風景も緻密に再現
風景を俯瞰して全体にピントを合わせて撮るときはF16が多いですが、このレンズの解像感はとてもリアルで隅々までのディティールが見事に再現されていると感じました。私はα7R Vを愛用していますが、有効約6100万画素の解像度を最大限に引き出しているのだなと感じました。写真はカメラとレンズの共同作業と言いますが、まさにその言葉の意味をこのレンズで実感することができました。
単焦点3本分を1本に
風景撮影においては広角で撮影したり望遠レンズで撮影したり、どうしても通常数本レンズが必要になってきます。しかもクオリティの高い画質を求めるなら単焦点レンズを何本も揃える方も多いと思います。私の場合は3本のズームレンズをチョイスすることが多いですが、FE 50mm-150mm F2 GM一本あれば数本分の単焦点レンズが一つになったかのような性能なので軽量化できます。下の2点の作品のうち左は50mm域、右は150mm域で撮影したものですが、どちらも細かいところまで精密に描かれています。風景撮影で使いやすい 50mm-150mm域までの焦点距離カバーでしつつ、高精度な写真がこのレンズ一本で撮れることが素晴らしいです。
足もとの花も繊細に描く最短撮影40cm
美しいぼけ表現は花の撮影にもぴったりです。花の撮影では接写することが多いのですが、FE 50mm-150mm F2 GMは最短撮影距離がワイド端で40cmとかなり接写できるので、足元で見つけた花々などを撮る時にも重宝します。F2通しなので近づいたり少し離したりしながらぼけを生かしながら一番好きな構図をじっくりと決められるのが良かったです。
逆光の夕景と春色の山桜で描写力を実感
大分県真玉海岸で夕日を撮影しました。FE 50-150mm F2 GMは「ナノARコーティングII」によりゴーストやフレアを抑えることができます。この日は太陽が水平線に沈む瞬間までくっきりと姿を見せてくれました。とても強い逆光での撮影でしたがゴースト・フレアを気にすることなく心ゆくまで撮影できました。風景写真撮影では 朝日や夕日のシーンが多いのですが、ストレスなく光を自由自在に撮れる安心感がありました。
こちらは山桜の風景です。手前の桜にピントを合わせ、遠くの山桜をF2でふんわりとぼかしています。この時はF2〜F9までいろいろな絞りで撮影しました。このレンズの魅力の一つはF2から絞りをチョイスできることです。撮影者のイメージをさらに広げてくれるF2通しのレンズは一度使ってみると病みつきになる魅力があります。
風景に没入し、未知の表現を求める写真を愛する人たちへ
高い解像性能と美しいぼけ味は今や風景写真にはなくてはならない要素になっていますが、そしてさらに透明感のある色彩を表現できるのも魅力です。どこまで拡大しても表現できている繊細な色合いはこれからさらに撮影の幅を広げてくれそうです。まだ見ぬ世界をこのレンズで撮ってみたい。そう思わせてくれる最高峰のズームレンズです。
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