
妥協しない描写のために
──F4.5通しが支える野鳥撮影のクオリティ
写真家 山田芳文 氏
山田芳文 / 写真家 100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。 野鳥の周囲の風景も大きく取り入れた鳥がいる風景写真をライフワークとする。 『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)、『SONY α6600 基本&応用 撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など著書多数。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。
フィールドで感じた、想像を超える軽さと扱いやすさ
100mm〜400mmまでをカバーするズーム全域で開放F値4.5という仕様から、持つ前は、それなりに重いだろうと想像していましたが、実際に手にとってみると軽くてちょっとビックリしました。カタログの公称値を見ると質量約1840gとありますが、僕の体感ではもっと軽く感じます。近年手持ちで野鳥を撮る人が増えましたが、この質量であれば、手持ちでも問題はありません。
ストーリー表現を支える、100-400mmのズームレンジ
僕は写真を組んで見せる前提で野鳥を撮影しています。テーマを決めて、写真で伝えたい内容が伝わるように、ストーリーを考えながら、いろいろなタイプの写真を撮っていきます。同じ個体を同じカメラ位置から同じ撮影距離で同じようなポージングで画角だけが異なる2〜3枚は、たくさんの写真で組む場合、あると非常に便利です。前や後ろにつなぎやすくなるからです。このような写真を撮る場合、レンズ交換をせずに、100mmから400mmまでのレンジを瞬時に使い分けられることは非常に大きなアドバンテージとなります。
高い解像と自然なぼけが両立する描写力
このアオサギを撮影後、大きな画面で、アラを探すようなイメージでチェックしましたが、僕的な感覚では何の問題もなく、しっかりと解像していました。クチバシに婚姻色が出ていますが、婚姻色のグラデーションも実に心地いい描写で、ただシャープに像を結んでいるだけのぼけが硬いレンズではないことがよくわかります。このカットは経験上、B0サイズぐらいは楽勝で、6メートル×4メートルぐらいでも余裕をもって出力できると思います。
ズームレンズにテレコンをつけるなんてことは、その昔、絶対にやってはいけないことでした。描写的に難が出るからです。こちらのツバメは、400mm域にして2X テレコンバーター(SEL20TC)をつけ、800mm相当の画角で撮りましたが、何の問題もありませんでした。800mmという大写しになるので、あらゆるブレには細心の注意が必要ですが、ブレないように撮れば非常にしっかりと解像します。ズームレンズ+テレコンもついにここまできたかというのが正直な印象です。
ズーム全域で開放F値4.5の明るさがもたらす妥協しない描写
僕の場合、写真は、@できるだけすっぴんで綺麗に撮りたい、A大きく使っても余裕をもって鑑賞に耐えられるように撮りたい(たとえ小さく使う場合でも)、と思っています。なので、高速のシャッタースピードを確保するために、ISO感度をうんと上げて撮影→ノイズでざらついたので、AIによるノイズ除去をする、といったことはできるだけしたくないと思っています。そういう意味で、ズーム全域で開放F値4.5という明るさのこのレンズは非常に有り難い存在です。開放がF5.6のレンズとは2/3段しか明るさが違いません。ISO感度2/3段の違いはスマホの小さな画面では誰にもわからないぐらいの差ですが、全倍以上のサイズに出力すると、たくさんの人にわかるぐらいの大きな差となります。
狙った瞬間を逃さないAF性能
AFの精度、スピード、追随性能については、いずれも文句のつけようがありません。生態を把握したうえで、鳥の行動が読めていることが大前提ではありますが、それができていて、そのシーンに対する適切な設定がなされていれば、AFが失敗することはあまりありません。鳥を撮っている人たちにとって、今はもう常識になりましたが、改めてAFはソニーだと思いました。
フィールドで活きる高い機動性とインナーズーム構造
野鳥はブラインドの中から撮ったり、車をブラインド代わりにして車内から撮ることが多々あります。通常、レンズの先端部分だけをブラインドの外や車窓の外に出して待つのですが、全長が伸びるズームの場合、鳥が現れてからズーミングすると外に出ているレンズの先端部分が伸びることで、鳥が警戒して飛び去ってしまうこともあります。このレンズはインナーズーム方式なので、そうなることはありません。これは大きなメリットとなります。また、インナーズームは重心移動がほとんどないので、手持ちでズームレンジを変えながら撮影する時も快適です。ズーム全域で開放F値4.5、インナーズーム、体感で数字以上に軽く感じる質量、確かな解像にAF性能、と僕にとって嬉しいキーワードが次々に浮かび上がってきます。これからのシーズン、このレンズを使って、どこで、何を、どう撮るのか、をイメージするだけでワクワクしています。皆さんもぜひお試しください。
※すべての写真は、野鳥への負荷を最小限に抑えるよう最大限の配慮をもって撮影しています
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