α7 Vで変わった撮影の機動力と表現力―私が導き出した一軍レンズ5選と活用の裏側

フォトグラファー もろんのん 氏

α Universe editorial team

「CP+2026」でフォトグラファーのもろんのん氏にお話しいただいた内容や発表作品を、α Universeでも特別にご紹介。今回は「α7 IV」を愛用していたもろんのんさんが「α7 V」を使って感じた進化のほか、ご自身がさまざまなシーンで活用しているレンズの魅力や独自の活用法について語ります。

もろんのん / フォトグラファー 広告などの媒体を中心に、商品、旅、ポートレートまで幅広く撮影を手がける。自身のYouTubeチャンネル「もろんのんTV」では、初心者にも分かりやすい写真撮影術や心が躍る旅Vlogを発信中。Instagramのフォロワーは11万人、YouTube登録者数は16万人を超え、写真の楽しさを多くのファンに届けている。Instagram:https://www.instagram.com/moron_non/YouTube:https://www.youtube.com/@moron_non

待望の4軸マルチアングル液晶モニター搭載。狙った構図をずれなく捉える「α7 V」

フォトグラファーのもろんのんです。本日はタイトルの通り「α7 V」と私が愛用しているレンズ5選という切り口でお話したいと思います。まずはカメラ本体についてですが、「α7 V」、とてもいいですよね。私も先行レビューからガッツリ使っていますので、実際に使った感想なども含めてお伝えできればと思っています。私が使ってきたソニーのカメラ歴を紹介しますと、「α7R II」「α7 III」、「α7C」、「α7 IV」、「α7C II」、「α7 V」と、今まではベーシックとコンパクトラインを2台持ちで使ってきました。少し前までは「α7C II」がメイン機で、「α7 IV」をサブ機として使っていたわけです。その中で、新たに「α7 V」が発売されました。でも私は「α7C II」のAF性能で満足しているし、「α7 V」になって何が新しくなったんだろうと半信半疑だったんです。でも、オリエンを受けてわかりました。まず、私が唯一、後継機に搭載して欲しいと願っていたバリアングルとチルトの4軸マルチアングル液晶モニターが搭載されたんです。

「α7 IV」はバリアングルモニターだったので、アンダーから撮ろうとすると左側にモニターを開く形になります。するとファインダーやレンズの光軸からずれてしまって、狙った構図を撮りにくかったんです。しかし、「α7 V」はチルト軸もあるため光軸がずれることなく、スムーズに撮影できるようになりました。

今までこのスペックは「α9 III」や「α1 II」といったフラッグシップラインにしか搭載されていませんでしたが、ベーシック機の顔となる「α7 V」には期待も込めて搭載されるのではないかと思っていたら、まさにその通りになり、しかも「このお値段で搭載していただけるんですか?」と気分が上がりました。

秒間最大30コマと向上した連写性能でベストの一瞬を逃さず撮影

「α7 V」は連写性能も秒間最大30コマと進化を遂げています。

α7 V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 70mm,F3.5,1/200秒,ISO100

今回はご紹介できませんでしたが、この前、プライベートで行った動物園で大好きなクオッカワラビーを撮影した時も連写が大活躍でした。小型カンガルーのような感じでピョンピョン飛び回っているところをガンガン撮っていたら、1日で5000枚も撮ってしまってセレクトが追いつかなくて。この連写性能であれば動物はもちろん、飛行機や乗り物を撮影される方にももってこいだと思います。

AIオートホワイトバランスの搭載で撮影後の調整も手間がかからない

なんといっても、私が一番買い換えをすすめるポイントはAIオートホワイトバランスが採用されたことです。AIが加わったことでディープラーニングを行うため、オートホワイトバランスの精度が格段に上がりました。カメラが人物、山、猫など被写体を認識して、「人間の肌色ならこんな感じだろう」、「森ならこんな緑だろう」と推定して色のバランスを自動で調整してくれるんです。

上の比較画像はかなり難しい環境下で撮影しました。西日の強いメタセコイア並木の中、ただでさえオレンジがかるようなシチュエーションなので、普通ならシャドウにオレンジっぽい色が入りそうなものですが、「α7 V」ならまったく同じ状況で撮ってもこれだけクリアに表現してくれます。しかも撮って出しでこれだけクリアですから、RAW現像したらとんでもなくきれいになるのではないでしょうか。

α7 V,FE 24-70mm F2.8 GM II 69mm,F2.8,1/200秒,ISO1600

こちらも同じく撮って出しです。私がAIオートホワイトバランスの恩恵を感じたのは、こういった暖色の室内撮影です。手前や奥にオレンジ色の照明があって、後に自然光の青い光が入っている。このようなミックス光では、カメラがどちらの光にバランスを合わせたらいいか迷ってしまい、結果的に変な形で色が転んでしまうんです。でも、AIオートホワイトバランスならここまで忠実に色を再現してくれます。肉眼で見ると壁はもっと暖色でしたが、壁やお肌をクリアで透明感ある色に仕上げてくれました。

α7 V,FE 24-70mm F2.8 GM II 70mm,F2.8,1/80秒,ISO1250

人物だけでなく、かすみ草のドライフラワーもこれだけきれいに撮ることができます。カフェの店内でも自然光が入りにくい場所に飾られていたので、もっと暖色に転んでもいい環境でしたが、それも回避できました。オートホワイトバランスの性能が向上して一番うれしいのは、現像の手間がかからなくなることです。今までは、画像の明るさ、コントラスト、ホワイトバランスなどをすべて個別で調整していましたが、なかでも色かぶりを補正するためのホワイトバランスの調整は難しいんです。とくにカフェのような環境は自分でもどれが正しかったのかわからなくなってしまって、調整には苦しめられてきました。人の肌をクリアに見せるために少し青みを足したいけれど、そうすると背景まで青くなってしまう、といったことも数多くありましたから。でも「α7 V」を使えば、その手間ともおさらばです。

新たな視点が生まれて写真の世界が広がる「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」

ここからはレンズのお話をしていきたいと思います。まずは、ソニーから新しく出たレンズ「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」です。ソニーのマクロレンズは10年前からずっとアップデートされずに、「いつアップデートされるんだろう」と待ち望んでいた人も多いと思いますが、とうとう発売されました。下の写真は雪を撮った時の撮影の裏側です。友達にお願いして撮影しているところをスマホで撮ってもらいましたが、このくらい寄って撮っています。

夜でかなり暗かったので三脚を使って手ブレを防いだほうがいいと思いますが、手持ちで撮った写真がこちらです。

α7 V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F3.5,1/50秒,ISO2500

本当はもっと寄れますが、寄れば寄るほどピントが浅くなって絞らなければなりません。そうするとシャッタースピードが遅くなるので手ブレを起こしてしまう。そんな中で何枚か撮ってみて「お見せできるのはこれかな」という1枚を持ってきました。雪の結晶が画面に大きく映るくらいきれいに寄ることができたので、次はもう少し明るい時間帯や三脚を用いてマクロの世界を堪能してみたいと思いました。

α7R V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm

上の写真は八丈島に行ったときに撮った1枚です。この写真、とてもお気に入りです。レンズは新しい視点を増やすためのツール、というのが私の持論で、100mmマクロを持っていなかったらこの写真も絶対に撮っていません。私はどちらかというと、遠くにあるものを望遠で撮るのが好きなんです。でも、遠くにあるものではなく、これだけ近くに寄って撮ることは楽しかったですし、このレンズを使うことによって今まで自分にはなかった視点が見えて、より世界の解像度が上がった感じがします。極めたらもっと面白いマクロの世界が待っていそうです。でも、マクロはあまり撮らない、という人もいらっしゃいますよね。このレンズは寄らなくてもいいんです。100mm F2.8の単焦点レンズですから、自分が気になったところを撮るだけでも楽しいと思います。私はいつも50mmくらいの単焦点でスナップを撮ることが多いのですが、100mmは遠くにある1つの作品を切り取るような気持ちで撮っています。キュッとファインダーの中にその場の空気感を閉じ込めるような感じがしていて、かなり楽しいです。

α7 V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F4.5,1/500秒,ISO100
α7 V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F5,1/1000秒,ISO100

上の2枚のように、旅先のスナップでも100mmマクロは使えます。少しでも気になった人はぜひ店頭で触ってみてください。フォーカスのトルクにも感動すると思いますよ。

コンパクトでも圧巻の描写力を誇る「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」

次に紹介するレンズは、私にとっては殿堂入りの「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」です。個人的にはソニーユーザーが全買いすべきだと思っているほどお気に入りのレンズです。私は「FE 50mm F1.2 GM」も持っていますが、一番の違いはサイズ感。やはりこのサイズで素敵な描写をしてくれるところが一番の魅力です。

α7C II,Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 55mm,F1.8,1/100秒,ISO200
α7C II,Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 55mm,F1.8,1/100秒,ISO100

上の3枚のように、朝日が差し込むお部屋や、カフェで席から立ち上がって撮ったカフェラテ、バーに差し込む光など、日常のスナップでも圧巻の描写力です。何気ないところを切り取っても大好きな1枚になるんですよね。55mmは肉眼で見ている画角とかなり近いので、自分が「いいな」と思ったものを素直に捉えてシャッターを押すだけで素敵な画になります。

絶景に出会った時に活躍する「FE 16-35mm F2.8 GM II」

続いては、私の中で第3位のレンズ「FE 16-35mm F2.8 GM II」です。実は使用頻度は少ないですが、絶景を撮る時に持っていないと間違いなく後悔するレンズ、ということで3位とさせていただきました。

α7C II,FE 16-35mm F2.8 GM II 16mm,F7.1,1/250秒,ISO100

上の写真は北海道のトマムにあるホテルで撮った1枚です。手前のベンチには躍動感があり、奥には雲海が見える絶景でした。望遠の圧縮効果でポートレート的に撮ることも考えましたが、ロケーションの躍動感を伝えるために16mmで撮ってみました。16mmは意外と使いどころが難しいですが、こういったシーンでは効果的です。

α7C II,FE 16-35mm F2.8 GM II 27mm,F7.1,1/400秒,ISO100

上の写真は27mmで、すべてにピントを合わせるためにF7.1で撮りました。下の写真は朝日が上がりきる前を24mmで撮っています。

α7C II,FE 16-35mm F2.8 GM II,24mm,F5.6,1/125秒,ISO100

いつもは標準や望遠を使いがちですが、こういった絶景ではすべての躍動感が伝わるように切り取りたいと思ってこのレンズを使いました。そのほか、旅先では室内撮影でも広角レンズが必須です。

α7 V,FE 16-35mm F2.8 GM II 21mm,F4.5,1/60秒,ISO200

上の写真は宿泊したホテルの室内を撮影したものです。けっこう広い部屋だったので、16mmまで使わずとも21mmで撮れました。意外と16mmまで引いて使うことは少ないですが、16mmまであるのとないのとでは心の余裕がまったく違います。16mmまで引けるレンズを持っていると非常に心強いです。

α7 V,FE 16-35mm F2.8 GM II 26mm,F5,1/250秒,ISO100

ポートレートなど1本で幅広い撮影が可能。旅先でも活躍する「FE 50-150mm F2 GM」

そして、第2位のレンズは「FE 50-150mm F2 GM」です。これ、ヤバイです。発売から1年ほど経ちますが、ポートレートで使うには最高のレンズといえます。私はモデルさんをポートレート撮影するお仕事もいただきますが、室内撮影でF2.8では、ぼけ感が少し物足りないんです。ぼかせばいいというわけではありませんが、インタビューなどの文字が載ることも考えて背景をぼかさなければならないことがあるのです。

α9 III,FE 50-150mm F2 GM 50mm,F2,1/2500秒,ISO250

そういう現場では50mm、85mm、70-200mmの3本のレンズを使い分けていたので、複数のモデルさんを撮るとなるとレンズ交換が大変でした。でも、このレンズなら1本ですべてが撮れてしまう。「本当に素晴らしいレンズをありがとうございます」という気持ちです。ポートレートだけでなく、旅スナップでも活躍してくれます。下の写真のように羊や牛のほか、トランジットで立ち寄ったバンクーバーの街中など、いろいろなスナップを撮りたいと思って、目が合った景色を狙ってみました。

α7C II,FE 50-150mm F2 GM 52mm,F2.2,1/500秒,ISO100
α7C II,FE 50-150mm F2 GM 50mm,F3.5,1/320秒,ISO100
α7C II,FE 50-150mm F2 GM 150mm,F2,1/800秒,ISO100

下の写真のカラスも、目がきゅるんとしていてかわいいですよね。温かい地域のカラスだからか、なんだか優しそうな顔をしている気がします。こういうスナップにもとてもいいレンズです。

α7C II,FE 50-150mm F2 GM 150mm,F2,1/1600秒,ISO100

意図していませんでしたが、私は150mmで撮ることが多かったみたいです。下の2枚も150mmで撮っていますね。

ポートレートなど1本で幅広い撮影が可能。旅先でも活躍する「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」

ラストの第1位は「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」です。私の場合、仕事の6割はこれで撮っています。実は、物撮りのお仕事が一番多いんですよ。コスメやフード・飲料など、いろいろなお仕事をいただいて撮影をしていますが、物撮りでは標準や広角で寄って撮るとパースがかかって少し歪んでしまいます。そのため100mmや90mmなど中望遠域で圧縮させて歪まないように撮るのがセオリーです。そういったところでは必ずと言っていいほど活用しているレンズなので、かなり使い込んでいます。物撮りだけではなく、旅先のスナップとしても使えます。下の写真のように遠くの鳥さんも狙えますし、ちょっとしたスナップも素敵に仕上げてくれます。

α7 V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 200mm,F4.5,1/1600秒,ISO100
α7 V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 70mm,F2.8,1/125秒,ISO160

物撮りでは、下のような写真を撮ることができます。

α7C II,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II

今回は「α7 V」と一軍レンズ5選をご紹介しましたが、みなさんいかがでしたでしょうか。「α7 V」はAFが爆速でオートホワイトバランスも優秀で、手ブレ補正も効く。しかも4軸マルチアングル液晶モニター搭載で使い勝手もいいので、興味のある方はぜひ買い替えを検討してみてください。本日はありがとうございました。

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