α7R Vからα7R VIへ――清家道子氏が感じた風景表現の広がり
Rの解像、その先へ vol.2

写真家 清家道子 氏

α Universe editorial team

期待を超えた進化を実感した第一印象

私はこれまでα7R Vを使ってきましたが、α7R VIを最初に手にしたときは、外観はほぼ同じでα7R Vを踏襲している印象でした。しかし実際に使ってみると、さまざまな機能がα7R Vよりも向上していて、「これはすごいカメラだな」と感じました。特に画素数の向上に加え、静止画最大約16ストップのダイナミックレンジや4K120pに対応した動画性能など、大きな進化を遂げています。見た目は馴染みのあるα7Rシリーズそのものですが、中身は想像以上に進化している。そんな第一印象でした。

風景写真家が求める高解像と広いダイナミックレンジ

私が風景写真を撮るうえで重視しているのは、まず画素数です。α7R Vが有効最大約6100万画素、そしてα7R VIは有効最大約6680万画素。それほど大きく変わっていないと感じる方もいるかもしれません。しかし,実際に撮影してみると、色の階調表現が大きく広がり、細部に至るまでディテールが描き出される仕上がりに感動しました。そして、ダイナミックレンジが最大約16ストップになったことも大きな進化です。風景写真では朝や夕方のシーンを撮影することが多く、そのような場面では白飛びや黒つぶれが発生しやすくなります。しかし16ストップのダイナミックレンジがあれば、目で見た印象に近い自然な表現が可能になります。私にとって、高解像と豊かなダイナミックレンジは風景写真に欠かせない要素です。その両方が大きく進化していることを実感しました。

カメラの実力を試すために選んだ滝と光芒の風景

α7R VI,FE 28-70mm F2 GM 50mm,F16,1/8秒,ISO250

まず、新しい機材を使うとき、私が心がけているのは、そのカメラの力を試せる場所を選ぶことです。順光ならどんなカメラでも綺麗に撮れることが多いですが、滝や光芒は逆光で撮る場合は、ゴースト、フレアーが出やすい上に細部の質感が表現しにくくなります。だからこそ、α7R VIがどれくらいこの状況を表現してくれるのか、朝の難しい時間帯の風景を期待以上に表現してくれるのか、とてもワクワクしながらこの場所を選びました。

有効最大約6680万画素が描き出す緻密なディテール

風景写真において6680万画素という高解像性能は、細部のディテールをリアルに描けることにつながります。α7R Vの6100万画素でもその描写は素晴らしかったですが、6680万画素になったことで私が想像する以上の描写で撮ることができました。

α7R VI,FE 28-70mm F2 GM 70mm,F16,1/25秒,ISO100

例えばこの滝のシーンですが、光に当たった水の飛沫一粒一粒がはっきりと描き出されています。そして手前の椿の葉は、通常であれば逆光で潰れてしまい質感を表現しにくい状況なのですが、拡大して見ても葉の質感までしっかりと写っています。これを最初に撮ったときに「α7R VIはとんでもないカメラだな」と思いましたし、一度このカメラを体験してしまうと、もう後には戻れない。そんな衝撃さえ感じました。

手ブレ補正による手持ち撮影の安心感と明暗表現

α7R VI,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F16,1/200秒,ISO100

こちらのシーンは滝壺の下から撮影したものですが、ここでは三脚を立てることができません。そんな状況でも、α7R VIは中央最大8.5段、周辺最大7.0段の手ブレ補正を可能としているため、手持ちでもしっかり撮影することができました。風景撮影では三脚が使えない場所もあるので、この安心感はとても大きいですね。もうひとつ進化を感じたのがDレンジオプティマイザー(以下、DRO)です。この作品では空を入れつつ滝壺の岩場も構図に入れていますが、非常に明暗差の大きなシーンでした。普通に撮影すると空は白飛びし、岩場は黒く潰れてしまいます。こうした場面で活躍するのがDROですが、α7R Vでは最大Lv5までだったものが、α7R VIでは最大Lv8まで設定できるようになりました。今回は手動でLv8に設定して撮影しています。空の階調を残しながら、岩場の色彩や質感までしっかり表現することができました。(※DRO使用時は、補正レベルを上げるとノイズが目立つことがあります。)

自然な色表現に納得した、信頼できるオートホワイトバランス

α7R VI,FE 28-70mm F2 GM 35mm,F16,1.10秒,ISO200

風景写真では色彩表現が非常に重要です。これまではシーンに合わせてホワイトバランスを変更したり、細かく設定したりすることもありました。しかしα7R Vになってからは、ほとんどオートホワイトバランス(以下、AWB)で撮影するようになりました。それほどAWBの精度が高く、信頼できるものになっていたのです。そして今回のα7R VIでは、ディープラーニング技術の活用によってさらにAWBが進化しました。自然風景を見たままの色合いで表現できることは、とても重要なことだと思っています。カメラのAWBを信頼できれば、撮影者は構図やシャッター速度、絞りといった作品づくりに集中することができます。実際に撮影した作品を見ても、その自然な色表現に納得しました。α7R VIの色再現性は非常に高いと感じています。

動体撮影が風景表現の可能性を広げてくれた

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F4,1/4000秒,ISO800

私はこれまで動きのある被写体を撮ることがほとんどありませんでした。高画素機では、動体撮影は少し難しい印象があったからです。しかし今回のα7R VIは、最高約30コマ/秒の高速連続撮影に加え、シャッターボタンを押す前の瞬間をさかのぼって記録できるプリ撮影にも対応しています。そこで私も実際に動体撮影に挑戦してみました。

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F4,1/4000秒,ISO8000

私の場合は風景写真をメインにし、その中にアクセントとして動きものを捉えるという撮り方です。この写真では、美しい藤棚の中を飛び回る蜂を撮影しました。マクロレンズで藤棚が美しく見える構図を決め、その中を飛ぶ蜂をプリ撮影で捉えています。絞りはF2.8でたが蜂にしっかりとピントを合っていて、藤の花の中を優雅に飛ぶ蜂に感情さえ生まれたように感じに感じました。正直、これほど楽に動体撮影ができるとは思っていませんでした。風景写真の中に動きのある被写体を取り入れることで、作品表現の幅がさらに広がると感じています。

撮影現場でうれしい細やかな進化

α7R VI,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,10秒,ISO3200

少し地味なポイントではありますが、夜間撮影に便利なイルミネーションボタンはとても使いやすいです。先日、蛍の撮影に行ったのですが、このボタンがあるおかげで撮影がとてもスムーズでした。背面操作ボタンのイルミネーションも他の人に邪魔にならない程度の明るさでしたし、夜の撮影が初めての方でもぐんとハードルが下がるのではないでしょうか。そして、バッテリーの持ちの良さにも驚いています。バッテリー持続時間が、従来のNP-FZ100比で1.3倍に向上したということですが、実際に「かなり持つな」と感じています。バッテリーの状態を表示する機能も非常に助かります。これまで大量に持っていたバッテリーも「果たしてどれくらい劣化しているのか?」と恐る恐る使っていてそれがストレスにもなっていたのです。このように細部にまで気配りのある進化はユーザーにとってはとても嬉しいものですね。

写真表現の可能性をさらに広げてくれるカメラ

α7R VI,FE 28-70mm F2 GM 28mm,F18,1/20秒,ISO125

最近感じているのは、解像度が上がると撮りたい被写体も変わってくるということです。風景写真というと絶景を撮るイメージがありますが、私は身近な小さな風景を見つけて撮ることも多いのです。そして、さらに高画素になったα7R VIは、小さなディテールまでリアルに表現してくれます。例えば、目の前にある枯れた花や森の中の古木。これまで見過ごしていたような被写体にも目が向くようになりました。高画素だからこそ見つけてあげられる風景があるのだと思います。美しい風景だけを追い求めるのではなく、その場所にある気持ちや物語まで表現したい。そこにある色彩や質感を丁寧に描き出せるからこそ、撮れる写真があるのだと思います。実際にα7R VIを使い始めてから、自分の写真が少しずつ変わっていくのを感じています。私にとってα7R VIは、写真表現の可能性をさらに広げてくれるカメラです。

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