魚住誠一のWho’s Next
Vol.7 阿部凜 Abe Rin

写真家 魚住誠一 氏

α Universe editorial team
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F1.4,1/2500秒,ISO250

阿部凜(あべ・りん)2004年生まれ。札幌市出身。「札幌美少女図鑑」のモデルを経てクリエイティブオフィスキューに所属。19歳で上京、24年25年に「沸騰!地球アツベンチャー日本の未来を探す旅」の旅人としてブラジル・アマゾンやマダガスカルで取材。24年7月舞台「放課後戦記2024」主演、10月初のミュージカル作品「추락 -墜落-」主演。今年2月にメインキャストとしてHuluオリジナル「時計館の殺人」出演。来年公開予定の映画「津軽綺譚」が控え、現在TBS「王様のブランチ」リポーターとして出演中。撮影 魚住誠一文:宮本和英

阿部凜は19歳で札幌から上京してきた。大泉洋・安田顕らTEAM NACSが所属する北海道の芸能事務所クリエイティブオフィスキューに所属し、タレント・女優としての成功を目指し期待を背負って東京に出てきた、というと22歳になったばかりの若手として順風満帆な印象なのだが、本人によればけっこう「崖っぷち」を歩んできたそうだ。まずはその彼女の「崖っぷち」人生を語ってもらった。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.2,1/800秒,ISO250
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.8,1/500秒,ISO250

撮影中もインタビュー中も笑いの絶えない明るい阿部凜からはちょっと想像しにくいのだが、「小さいころはすごく人見知りで、無口、おとなしい子供でした」という。小学校1年から7年間ピアノを習っていて、やめた理由は「中学になって勉強もあるし部活もあるし」というのだが、部活は美術部で、祖母が画家だった影響でよく絵を描いたからだそうだが、どうやら勉強優先の中学時代で、優等生だったらしい。進学した高校は北海道の進学校。その高校入学早々、はやくも最初の「崖っぷち」に追い込まれた。「高校1年で、どの大学を志望するのか提出しなければならなくて、私は大学に行きたいとは思っていなかったので、というのは、実は芸能界への憧れがずっとあったんです。誰にも言えないまま来て、どうする?って。めちゃくちゃ選択を迫られて、ここで決めないともう遅いぞって」。「小1の頃からずっと芸能界に憧れていて、ドラマをとにかく見るテレビっ子で、女優さんになりたいと思っていました。でも進路を迫られたこのタイミングで言うしかないと決心。やっと親に言いました。ずっと誰にも言えず、9年かかった(笑)」。両親は心配しつつも彼女の希望を受け入れてくれ、大好きだった女優の二階堂ふみが「沖縄美少女図鑑」の出身だったと知って、札幌にも「札幌美少女図鑑」があると知り応募したら、「まさかの、通ったんです!」。というわけで、まずは芸能界への入口を見つけた。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F1.8,1/1250秒,ISO250
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.5,1/800秒,ISO250

「札幌美少女図鑑」で2年ほど活動。モデルや短編映画出演、地元テレビ局のドラマなどに出て、「芸能界に少しだけ足を踏み入れたかなあ、ぐらい(笑)。でも高校卒業が迫って、これからどうしようって」。第二の「崖っぷち」である。その頃は地元でやっていこうと思っていたそうだが、進路を考えてどうしたらいいか迷っていた時期にクリエイティブオフィスキューの存在を知る。しかも地元北海道で存在感のある芸能事務所が、ちょうどそのとき7年ぶりのオーディションを開催するという!「なんだ、このタイミングは!」と迷わず応募。書類や動画提出で必死のアピール。マネージャー曰く、「当社に所属したいという熱量がすごかった。思いが伝わりましたし、圧が半端ではなかったです(笑)」という熱意が受けて、見事に合格。「私にとっては、ここに入れなかったらニートになっちゃうという瀬戸際。当時は上京するなんて夢にも思っていなかったから、地元の事務所に入れたら本当に嬉しいって。だから必死だったんです」と言うが、若くして二度の「崖っぷち」の節目に、ちゃんと理想的な進路と出会うのだから、これは強運の持ち主と言えないだろうか。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.5,1/500秒,ISO320
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.5,1/500秒,ISO320
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.5,1/500秒,ISO320

地元で1年ほど活動し、19歳でマネージャーと一緒に上京、東京でマネージャーとの共同生活を始める。「よく出てきたなあ、というか事務所がよく出してくれたなあと」というわけで、東京で決まった仕事があったわけではないという。だがまもなく大きな仕事に出会う。2024年「沸騰!地球アツベンチャー日本の未来を探す旅」(中京テレビ・日本テレビ系全国ネット)という環境番組の旅人として、南米アマゾンの僻地に長期ロケ。実はこれも最初は書類選考で落ちていたのだが、マネージャーが後日改めて制作陣に挨拶にいったところ、たまたま再度オーディションを行うと聞き、翌日行われた対面審査の結果、見事出演を獲得したとか。「20歳の誕生日はアマゾンで祝ってもらって忘れられない経験でした。誰も行けないような場所で、人生をちゃんと考えるきっかけになったし、たくましくなりました」。翌年にも同じ番組でマダガスカルに行った。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F4,1/500秒,ISO320
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.2,1/250秒,ISO320

さらに今年2月にはメインキャストとしてHuluオリジナル「時計館の殺人」に出演。「初めて本格的な連続ドラマの大きな役をもらって、お芝居の根幹になるような体験ができて、それが楽しくて、改めてずっとお芝居をやっていきたいと思えました」。現在はTBS「王様のブランチ」リポーターとして出演中で、また来年公開予定の主演映画「津軽綺譚」が控え、さらに近々発表予定の連続テレビドラマの出演も決まったという。ここまで話を聞くと、「阿部凜、持ってる!」としか言いようがないと思うが、この強運の持ち主が女優としてこれからどんなふうに開花していくのか、実に楽しみではないか。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F1.6,1/800秒,ISO250
α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F1.6,1/320秒,ISO250

使用機材

使用カメラ α7R V使用レンズ FE 50mm F1.4 GM

魚住誠一コメント

今回は写真の基本に戻り50mmレンズ1本でストリートポートレートを撮りました。初夏の空気がある代官山。おしゃべりしながら、光の美味しい場所と絵になる背景を探す。気になるところでイメージカットを撮り、少し粘って、全身か顔を表情をどうするか?考える。50mmを望遠的に見せるのか? ややワイド的に見せるのか?モデルとの距離感を大切にして女優、阿部凛と戯れる。まずは歩く。そこから何か、二人だけのストーリーが出来るか?どうか?撮影前より半歩ぐらい内面に近づけたら良いな。そんなことを思って60分間。そこには確かに半歩の距離感がありました。いつでも50mmに戻れるのは最高ですね。

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