
αと風のなか「花と路地と、ハノイの光 & 旅のレンズの選び方」
写真家 山本まりこ 氏
「CP+2026」で写真家の山本まりこ氏にお話しいただいた内容や発表作品を、α Universeでも特別にご紹介。今回は、ベトナム旅行で撮影した作品を数多く披露。旅先での撮影術や、持っていった2台のカメラと4本のレンズについて語ります。
山本まりこ / 写真家 写真家、スパイスフーズ作家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つairy(エアリー)をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。撮影、執筆、講演、講師など活動は多岐。写真集「AIRY COLORS」「熊野古道を歩いています。」、著書「エアリーフォトの撮り方レシピ」など11冊出版。写真とスパイス料理の教室Room5656主宰、写真とスパイスカレーの空間PEANUTSuu(ピーナッツぅ)をオープン。好きな食べ物は、カレーとイカ。HP:MARIKO YAMAMOTO OFFICIAL WEBSITEInstagram:https://www.instagram.com/yamamarimo/
幅広い撮影をオールマイティーにこなす「FE 24-70mm F2.8 GM II」は旅に最適な1本
写真家の山本まりこです。本日はαを持ってベトナム、ハノイを旅したお話をしたいと思います。実は10年ぶりのハノイでしたが、すごく変わっていてびっくりしました。経済の成長に伴って、ご飯もすごいおいしくなっていましたし、活気も増していたように思います。
香港を経由して、ハノイには夜に着きました。少しベトナムのことをお話ししますと、人口は約1億人で、面積は日本の約9割。首都はハノイですが、最大都市はホーチミンになります。1954年にフランスから独立して、平均年齢は33歳ととても若く、街はエネルギーに満ちあふれている印象です。では、街を旅していきましょう。ある朝、「α7R V」に「FE 24-70mm F2.8 GM II」をつけて出かけました。私は、旅先で朝レンズをつけたら、その日はほとんどレンズを変えずに1本のレンズでじっくりと撮るタイプです。ですから、まずは「FE 24-70mm F2.8 GM II」で撮った作品をご紹介します。
上の写真はリフレクションがきれいですよね。朝、歩いている時に見つけた風景ですが、このレンズ、本当に優秀です。ワイド端24mm、そしてテレ端70mm、クロップと超解像ズームを使えば210mmまで撮れますから、幅広い焦点域を撮ることができるオールマイティーなレンズです。「1本持って行くならどのレンズ?」と聞かれたら、私はこのレンズを選びます。今回の旅ではパッキングの時にレンズ選びに迷っていて、出る直前までは違うレンズを入れていたんです。でも10分前に「やっぱりこのレンズだ!」と思って、「FE 24-70mm F2.8 GM II」を持って行くことにしました。このレンズはベースが美しく写るので、旅の基盤をこのレンズで撮って、望遠レンズやマクロレンズで色づけをしようと思ったわけです。
上の2枚もリフレクションの美しさがわかる作品です。ベトナムの街はヨーロッパとアジアが香るような混血感が面白いな、と思いながら写真を撮っていました。さらに路地を歩いて、朝ごはんを食べに行きましょう。アジアで美味しい店を見つけるなら人がいっぱいいるところを選ぶといい、と私は思っているので、混んでいる店を見つけて入りました。外でお母さんが大鍋からフォーを丼に注いでいます。そして、私のもとに運ばれてきました。
本当においしかったです。「FE 24-70mm F2.8 GM II」の素晴らしいところは、風景だけではなく、目の前に運ばれてきたご飯もとてもきれいに撮れるところ。寄れてぼけるので、おいしそうに撮ることができます。
「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」では望遠ならではの表現を探して撮影
日が変わったので、違うレンズを持って出かけます。2本目のレンズは「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」です。
このレンズは200mmの望遠で撮ることができ、さらにハーフマクロでも撮れるとても器用なレンズです。やはり「FE 24-70mm F2.8 GM II」をつけている時とは、追いかける被写体が違います。緑の中で上を見ると、鳥がいました。
かっこいいですよね。撮っていたらこっちを向いてくれました。
このように近づくことができない鳥のような被写体でも、ぐっと近寄ってかっこよく撮れるのが望遠レンズの魅力です。そして、街のスナップでも200mmの望遠は、24-70mmとは撮れる画が変わってきます。
右側に写っている赤いコートを着たお母さんと、手前にいるバインミーのパンを持った人を望遠効果で圧縮できる。レンズによって撮り方がガラッと変わるわけです。そんなレンズによる表現の違いを楽しめるのも面白いところです。
AFが速い「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」は動きのある被写体も自在に撮れる
マクロレンズをつけて街を歩いてみましょう。ホテルを出たら、ニワトリが歩いていたので撮ってみました。
被写体認識を鳥モードにして、フォーカスエリアを少し大枠にしておきます。こうしておけば、私はニワトリをフォーカス枠の中に入れてシャッターボタンを押し続けるだけ。AIプロセッシングユニットにより被写体認識の精度が向上したため、被写体を追いかけてバンバンピントを合わせてくれます。動きの速いニワトリに対しても、俊敏に追いかける優れたAF性能で目にピントを合わせ続けてくれました。90mmマクロと比べるとAFがものすごく速くなったので、電線の上を歩いているリスも撮れてしまいました。
この100mmマクロはマクロレンズとしてだけではなく、100mmの単焦点レンズとして購入する意義があるレンズです。マクロも撮れるけれど、遠くのものを撮ってもきれいですから。せっかくのマクロなので、お花も撮ってみました。ベトナムは街がきれいで、お花もいたるところできれいに咲いています。
上の写真で注目していただきたいのは、100mmの望遠レンズとして遠くにピントを合わせているところです。手前のぼけ感がとてもきれいですよね。このように100mmの単焦点レンズとしても、ものすごくきれいです。
こちらは手前に大きなぼけを入れていますが、とろっとした後のぼけにもご注目ください。そして、ピントを合わせているところはキリッと見えて、とてもきれいです。さあ、遠くの景色にもピントを合わせてみましょう。手前にお花を入れてぼかしてみました。
私は最近知りましたが、この100mmマクロには2倍のテレコンをつけることができるんですよ。冬がきたらテレコンをつけて雪の結晶を撮ってみたいと思っています。皆さんもぜひテレコンをつけて、いろいろな撮影を楽しんでみてください。
花のマクロ撮影ではトラッキングを活用。さらに連写していい画を撮る確率を上げる
コスモスが咲いていたので、こちらもお花にググッと寄ってみました。
コスモスは茎が細くて少しの風でも揺れてしまうため、マクロで寄ると撮るのが難しいお花です。ですからお花をトラッキングで追ってもらって、連写でいい瞬間を撮る確率を上げるのがおすすめです。撮影しているとかわいらしいお客さんがやってきました。そうです、ハチです。
私がファインダーを覗きながらコスモスを見ていたら、突然、目の前に大きくハチが入ってきたんです。この100mmマクロはAFがとても速いので、被写体認識を昆虫にするとバシバシ追ってくれるわけですよ。簡単にピントが合ってたくさん撮れる。「目がすごいな、毛もすごいな」と思いながら撮り続けていました。そして、サクラも咲いていました。サクラも揺れて撮るのが難しい花なので、トラッキングにして連写しました。
揺れるサクラもバンバン追ってくれるから、非常に撮りやすいです。さらに寄ってみます。
上の写真はクロップして撮った1枚です。サクラもこのぐらいまで大きく撮れます。そして夕方にも、コスモスを撮りに行きました。後に写っている太陽を玉ぼけにして撮ってみました。私、このマクロの美しさは、玉ぼけに重なった部分にあると思うんです。
この玉ぼけに重なった表現が、とても好きなんですよね。私は大きな玉ぼけが好きでよく撮りますが、限られたレンズしか背景の玉ぼけを大きくすることができません。でもこの100mmマクロは寄ることでこんなに大きな玉ぼけになるので、重なった部分も大きく見せることができて面白いです。
そして、こちらが大好きな1枚です。やはり100mmの望遠レンズとしても非常に素晴らしいと思います。
独自の表現により好みは様々。4本の旅レンズで同じ被写体を撮り比べ
晴れた日にハイビスカスが咲いていたので、「持ってきたレンズで撮り比べてみよう」と思って4本のレンズで撮ってみました。
皆さんはどのレンズで撮った写真が好きですか? こうして比べると「FE 40mm F2.5 G」は軽くて小さいのに、こんなにきれいに背景をぼかして撮れるんだ、と思いますよね。そして「FE 24-70mm F2.8 GM II」は、やはり背景のぼけがきれいです。「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」はマクロで寄っても望遠でも撮れてしまうのがすごい。「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」はしっかり寄れる、という感じですね。どのレンズも素晴らしいので、どの写真が好きかは好みの問題だと思います。私、最近よく思うんです。カメラの進化によって、一昔前は撮れなかった写真が撮れる時代になってきているな、と。うれしいことに、私はCP+のソニーさんのセミナーに10年以上出演させていただいていますが、その10年でもカメラは大きく変わっています。最近のモデルはAIによる認識が向上していて、メジロなどの小さい鳥も簡単に撮影できるようになりました。とても気持ちよく写真が撮れるので、皆さんも優秀なカメラを手にして、素敵なカメラライフをお過ごしください。本日はありがとうございました。
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