G Masterで描く
自然に宿るいのちの輝き

写真家 萩原れいこ 氏

α Universe editorial team

「CP+2026」で写真家の萩原れいこ氏にお話しいただいた内容や発表作品を、α Universeでも特別にご紹介。今回は、9本のG Masterを使って四季の自然を描き出した作品を披露。どのような意図で撮影したのか、そのためにどのようなレンズを使用したのか、1点1点、詳しく解説します。

萩原れいこ / 写真家 沖縄県出身。海外を放浪した後、日本の風景写真に魅了される。隔月刊「風景写真」の若手風景写真家育成プロジェクトにより、志賀高原での写真修業を経て独立。現在は群馬県嬬恋村に拠点をおき、上信越高原国立公園をメインフィールドに活動。風景や動植物などを撮影し、自然の「命のつながり」を表現している。個展「Heart of Nature」、「地獄」、「羽衣〜Hagoromo〜」などを開催。著書は作品集「Heart of Nature」(風景写真出版)、作品集「地獄」(萩原写真事務所)、「現代風景写真表現」(玄光社)など多数。撮影のほか、撮影指導、写真雑誌への寄稿、セミナー講師などを行う。日本風景写真家協会会員、カメラグランプリ審査員、石の湯ロッジ写真教室講師、嬬恋村キャベツ大使(観光大使)。

生き物たちが輝きを放つ「春」をG Masterレンズの高解像で精細に写す

皆さん、こんにちは。萩原れいこと申します。本日は、「G Masterで描く自然に宿るいのちの輝き」というテーマでお話をしていきたいと思います。今日ご紹介する作品は、すべてG Masterレンズで撮影したものです。G Masterレンズとは、圧巻の解像感と滑らかで美しいぼけ味を高い次元で両立している、ソニー最高峰のレンズ群のこと。描写力はもちろん、カメラボディに搭載されている高速連写性能を存分に発揮する高精度なAF性能、そして、トルク操作やクリックなどの操作性など、すべてが上質に仕上がっています。今回は、こちらの9本のレンズを使って撮影した作品をご覧いただきたいと思います。

まずは、ある大地の物語をお話ししたいと思います。こちらは数千万年前から火山活動が活発な大地で、昔、噴火した時の溶岩が川をせき止めて、大きな湖をつくりました。その湖が、やがて池や湿原になり、現在もその風景を忍ぶことができます。

α7R V,FE 50-150mm F2 GM 56mm,F16,1/100秒,ISO100

山の斜面に立って沈む夕日を眺めていると、爆裂火口から吹き上げる風が雲を巻き上げて、まるで夕日に染まった雲が、昔の火山活動の面影を偲ぶような風景に見えました。この雲を追いかけるように「FE 50-150mm F2 GM」で撮影をしましたが、赤く染まる雲、そして靄(もや)といった美しいグラデーションの表現は、G Masterが得意とするところです。

α7R V,FE 28-70mm F2 GM 37mm,F8,1/13秒,ISO200

そして、春になると、新緑が芽吹き始めます。上の写真は、岳樺や白樺の新緑が美しい池のほとりで撮影しました。山の中で暮らすカエルたちが徐々に集まってきて、池の周りで結婚相手を見つけるために鳴き声を張り上げます。この日は、静かな水面に対岸の緑が映り込んで、新緑がみずみずしく輝いていました。この美しさをストレートに表現したいと思い、見たままの彩りを忠実に再現してくれる「FE 28-70mm F2 GM」を使い、F8という一番解像感が高いとされている絞り値を選択して美しく描きました。

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 200mm,F2.8,1/800秒,ISO100

そして、花が咲き始める5月。まるで命のバトンをつなぐように、1週間ごとにさまざまな花が咲き乱れます。上の写真はヒオウギアヤメという寒冷地の湿原に咲くお花です。まるで「私が主役よ」と言わんばかりに輝きを放っていたので、この子を主役にしようと思い、そっとしゃがみ込んで目線を合わせ、手前の草を前ぼけにして撮影しました。G Masterの魅力は、このように光を受けてキラキラと輝きを内包するような、透明感あふれるぼけ表現です。この日は、逆光の夕日が初々しい若い葉っぱに当たって、透けるような緑のカーテンになってくれました。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F8,1/60秒,ISO100

そして6月、湿原を華やかに彩るのはレンゲツツジやワタスゲです。赤色の花がレンゲツツジですが、毒性があるのでヒョウモンエダシャクという、ちょっと変わった蛾の幼虫が食べて、敵に食べられないように自分の身を守っているそうです。ワタスゲの白い部分は花ではなく果穂と呼ばれる綿毛で、子孫を遠くに飛ばすために一生懸命背を高く伸ばして風に揺れていました。この湿原の様子が、まるで妖精がフワフワと飛び交っているように見えたので、ホワイトプロミストフィルターという、少しソフト効果のあるフィルターをつけて撮影をしました。この解像力を見せるためにパンフォーカスにしようと思い、F16やF22まで絞り込んで撮影してみましたが、手前から奥までパンフォーカスするのが難しかったので、F8にしてフォーカスブラケットを使い、手前から奥まで順にフォーカスをずらしながら20枚ほど撮影して重ね合わせた1枚になります。上の林の部分から足元の草の部分まで、すべてにフォーカスが来ていて、とても解像力のある写真になりました。

α9 III,FE 300mm F2.8 GM OSS 300mm,F2.8,1/3200秒,ISO640

そして、命の輝きは植物だけではありません。動物たちも命のシーズンでお猿の赤ちゃんが増え始めます。道路ではお母さんの背中にしがみついて、振り落とされないように必死になっている姿をよく見かけますが、この日はお母さんのおっぱいを飲んだ後、眠たそうにこちらを見つめている様子を撮影しました。お母さんが毛繕いをしている、この愛情あふれる空気感をG Masterがしっかりと描いてくれたと思います。ここで使用した「FE 300mm F2.8 GM OSS」は、描写力が素晴らしいレンズです。猿の毛並みや、前の草のぼけ味も、とても柔らかく描き出しています。さらに、「α9 III」の秒間120コマの高速連写にも対応しているレンズなので、動物の繊細な表情を逃さずに撮影できました。

梅雨から夏は昆虫も増え始め植物も色鮮やかな花を咲かせる

α9 III,FE 16-35mm F2.8 GM II 16mm,F16,0.8秒,ISO250

やがて梅雨になり、雨が降ると木肌を伝って大地に雨が染み込みます。そこからは、植物たちが生き生きと輝くシーズンです。でも、左下にあるような若木が成長できるのは数万本のうちの1本で、天然林では非常に厳しい競争がおこなわれます。この若い木も大きくなるために、ある日突然、右側の大きい木が倒れて、光が差し込むのをじっと待ち続けているのでしょう。この若木にエールを送るような気持ちで、16-35mmのレンズで見上げるように撮影しました。この時は、F16まで絞り込んで撮影しましたが、背景の白い空にかかる枝先の部分も色収差を見せることなくクリアに描くことができました。この「FE 16-35mm F2.8 GM II」は2型になって小型軽量化しているので、山の中を歩きながら撮影する時も機動力を損なわず、描写力も妥協せずに撮影ができます。

α9 III,FE 16-35mm F2.8 GM II 26mm,F5.6,1/6400秒,ISO12800

そして、降った雨が大地に染み込み、川となって下り、滝となって私たちの街にも届きます。まさに命の恵みなので、その輝きを表現したいと思い、逆光でキラキラと輝く滝の飛沫を撮影しました。滝は落差や水量で落ちるスピードが変わります。この滝はとても立派だったので、1/5000秒以上でないと水のしぶきを止めて撮影することができません。そこで1/6400秒までシャッタースピードを上げて、ISO感度はなんと12800まで上げて撮影しました。

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 126mm,F11,1/60秒,ISO100

雨が止むと、空気が非常にクリアになります。雨が空気中のちりを洗い流すので、遠くに見える残雪の山までくっきりと見えるわけです。そのため、足元には雲海のようにたなびく雲、そして、残雪の山の後ろには上昇気流で上に伸びる雲、さらに高いところには横に流れる高層雲と、高さによって雲の種類が違う、面白いシーンを撮ることができました。雨を含んでみずみずしく輝く手前の緑も含めて、非常にクリアな描写力、透明感はG Masterレンズだからこそ描くことができたと思います。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 200mm,F18,1/125秒,ISO800

そして、夏になると昆虫も増え始めます。池のそばで撮影したアサギマダラというチョウは、約2000km以上も旅をすると言われています。これはヨツバヒヨドリという大好きな花の蜜を吸っているシーンですが、花は風でかなり揺れていました。そんな時はコンティニュアスAFに設定するのがおすすめです。そうすれば、チョウにピントを合わせ続けてくれてしっかりと撮ることができます。

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 185mm,F2.8,1/2500秒,ISO200

草原にも花がたくさん咲き乱れます。こちらはコオニユリという、アゲハチョウと関係性が深いお花です。お花のすぐそばにいる黄色いチョウはキアゲハ、左下はミヤマカラスアゲハです。アゲハチョウは蜜を吸うときに羽に花粉がつくので、受粉を促すと言われています。コオニユリはアゲハチョウに受粉してもらえるように花びらを反り返して、おしべを突き出すような形に進化したお花だそうです。この時は手持ちで、チョウを追従しながら撮影しましたが、ピントの食いつきが驚くほどいいです。AF性能が非常に優れているので、素早く飛ぶチョウにもしっかりとピントを合わせて撮影をすることができました。「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」は重心移動がないインナーズームなので非常に安定感があり、手ブレ補正機能も優れているので手持ちでも安心して撮ることができます。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 42mm,F22,1.6秒,ISO200

晩夏になると朝晩が冷え込んで、少しもやが出ることもあります。上の写真に写っている花は、ヤナギランという赤紫色の非常に美しい高山植物です。この花もパイオニア的存在で、荒れた大地でもすぐに生えてくる植物になります。この日は夕暮れ時の空とヤナギランの赤色が非常に美しかったので、色再現に優れている「FE 24-70mm F2.8 GM II」で撮影しました。私はこのレンズの赤色の表現がとても気に入っています。

α7R V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS + 2X Teleconverter 200mm,F8,1/400秒,ISO400

そして、朝露が降りるシーズンになりました。キラキラと輝く朝露が非常に美しかったので、新しく発売された「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」に2倍のテレコンバーターをつけて撮影しました。レンズの最大撮影倍率が1.4倍なので、テレコンバーターをつけると2.8倍になります。この被写体は1cmにも満たないサイズでしたが、このレンズを使えばこんなに小さなかわいらしい被写体も大きく描くことができます。こちらは食虫植物なので、バッタやトンボなどを捕まえて食べているシーンをよく見かけます。

α9 III,FE 300mm F2.8 GM OSS + 2X Teleconverter 600mm,F5.6,1/500秒,ISO320

食欲が旺盛なのは植物だけではなく、動物も同様です。上の写真はニホンカモシカで、山の斜面でもぐもぐと一生懸命、冬に備えてエサを食べていました。シカですが、ウシ科の動物なので非常におっとりとした性格です。私の方を意識しながら食事をしていたので、なるべく脅かさないように300mmのレンズに2倍のテレコンバーターをつけて、600mmで撮影しました。G Masterは解像力が非常に高いので、テレコンバーターをつけてもこんなに美しく、瞳や鼻の輝きを描くことができます。

紅葉のほか小さな被写体にも季節が宿る秋。マクロレンズを使うことで増えた気づき

α7R V,FE 50-150mm F2 GM 50mm,F16,1/50秒,ISO100

季節は進み、クサモミジの紅葉の時期がやってきました。ナナカマドやイタドリの彩りがとても美しいですね。「FE 50-150mm F2 GM」は標準域もカバーしているので、上の写真のように標準レンズらしい描写も楽しめますし、太陽を入れて撮影してもゴーストやフレアを感じさせず、望遠レンズながら美しい光条も描くこともできます。

α7R V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS + 2X Teleconverter 200mm,F5.6,1/3200秒,ISO400

虫たちもたくさん集まってきました。上の写真はツユムシが大好きな黄色い花の花びらをむしゃむしゃと食べているシーンです。目にフォーカスしようとすると触角にジャマされそうなシビアなピント合わせでしたが、こういった精密なピント合わせも快適におこなうことができました。

α7R V,FE 50-150mm F2 GM 150mm,F8,1/1000秒,ISO64000

こちらは、少し里に降りた風景です。今年、生まれたツバメたちと、その親たちが集まって大群になり、葦原のねぐらに入る瞬間です。夕日が沈む前後に見られる光景ですが、大群が滑空する様子は非常に迫力があります。この時は暗い中での撮影だったのでF2のレンズを使い、手前から奥のツバメの描写をしっかりと描くためにF8まで絞り込んで撮影しました。ツバメは飛ぶのが速いので、1/1000秒までシャッター速度を上げましたが、そうするとISO感度が64000になりました。ISO 64000はすごいですよね。以前はISO 64000の写真なんて使えなかったので、カメラの進化によって今まで撮ることができなかった被写体も撮れるようになったと感じます。

α7R IV,FE 50mm F1.2 GM 50mm,F1.6,1/500秒,ISO100

こちらは秋になるとぴょこっと出てくる、ベニテングダケというキノコです。シラビソという木の根っこに住んで、お互いに栄養を受け渡し合いながら生きている菌類です。「FE 50mm F1.2 GM」を使って、背景を柔らかくぼかして撮りましたが、玉ぼけの描写がとてもきれいです。森の中は背景が雑然としがちなので、明るいF1.2のレンズが非常に活躍してくれます。

α7R V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS + 2X Teleconverter 200mm,F4,1/200秒,ISO100

こちらは地衣類のヒロハセンニンゴケです。ピンク色の部分は胞子を飛ばしているところらしく、たまたまハート型のものを見つけて、「これは撮らなきゃ」と思って100mmマクロにテレコンバーターをつけて撮影しました。実物は5mm程度の大きさだったので、よく撮影に行っている散策路に生えていたのに、まったく気付かなかったんです。でも、このレンズを持ち歩くようになってからは、こういった小さな世界にも目が向くようになり、新たな発見ができるようになりました。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 70mm,F8,1/160秒,ISO100

そして、晩秋はカラマツの紅葉が非常に美しいシーズンです。カラマツは日本唯一の落葉針葉樹と呼ばれていて、ロウソクの灯火のように紅葉してパッと散っていきます。この日は山の上に樹氷がついていて、白とオレンジのコントラストが美しい風景を見ることができました。PLフィルターをつけて、空の青さを少し引き出すことで立体感を高めていますが、「FE 24-70mm F2.8 GM II」のドラマチックな彩りや色再現性は、本当に素晴らしいです。

冬にしか見られない風景や被写体を高性能なレンズが繊細に描き切る

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 133mm,F22,1/50秒,ISO800

冬になると、池に氷が張り始めて、その上に雪が降り、また凍って、を繰り返しながら、だんだん雪原のような真っ白な世界に変わっていきます。ですから上の写真のような景色は、本当に一期一会です。次の日に行ったらすべて凍っている、なんてこともよくあります。この時は対岸に当たった光が反射して、水面がオレンジ色に輝いていたので、手前から奥までしっかりとパンフォーカスするようにF22まで絞り込んで撮影しました。一般的なデジタルカメラはF16以上に絞り込むと、回折現象が起こって画質が荒れると言われますが、G Masterは本当に解像感が高いので、躊躇なくF22まで絞り込むことができます。

α7R V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS + 2X Teleconverter 200mm,F11,1/800秒,ISO400

こちらは雪の結晶を撮ったものです。雪の結晶は、気温と湿度が大きく関係しています。この日は気温がマイナス7度、湿度が60%でした。湿度が高くないと、これほどきれいな結晶はできません。この結晶は3mmくらいの小さなものでしたが、三脚を立ててじっくり撮影しました。まずは、キラキラと輝く結晶を探すことから始めます。見つけても光の角度によって見えたり見えなかったりするので、光が当たって輝く角度を肉眼で確認し、カメラを構えて1枚撮ってみる。そこに三脚を持ってきて、カメラの下に据えるような形で丁寧に撮影をしています。F11まで絞り込んでいますが、絞り込まないとこれほどはっきりと結晶の形を描けないので、三脚を使って丁寧に撮影することが大切です。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 200mm,F3.2,1/2000秒,ISO400

雪の中ではタヌキを見つけました。頭の上に雪を乗せて、うるうるした目で人にエサをねだりに来るような子でした。実はこのタヌキ、足を引きずっていたんです。怪我をしているのかなと思ったら、人からエサをもらった瞬間にササッと走って逃げたんですよ。その行動がまさにタヌキらしいな、と思いました。とてもかわいい子でしたが、タヌキの寿命は5年から8年と言われていて、この子は3年ぐらい見かけて、ある日突然、姿を消しました。自然の中で暮らしていると、命の輝きと同時に儚さも日々感じます。「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」で撮影しましたが、小型軽量なので手持ち撮影でも快適です。この時はカメラを低い位置で構えて、手前の積もった雪を前ぼけにしながら、そっと撮影をすることができました。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 16mm,F11,1/25秒,ISO200

厳冬期にはマイナス20度にもなりますが、針葉樹はどれだけ寒くても葉っぱを落とさずに耐え忍んでいます。葉っぱの中の水分を外側に押し出して、外側を凍結させることによって細胞が凍らないように耐え忍んでいるそうです。本当に植物たちの戦略というのは、非常に興味深いなと思います。マイナス20度で叩きつけるように雪が降る非常に厳しい日でしたが、分厚い手袋をつけていてもスムーズに操作ができますし、クリックなども非常に快適でした。こういった過酷な現場でも、操作性に満足できるG Masterに感謝した1枚です。

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 97mm,F11,1/1600秒,ISO100

そして、晴れた日にはこんな幻想的な光にも巡り合います。白樺の枝先に氷がついて、樹霜と呼ばれる現象が見られ、背景の川からもくもくと湯気が立ち上がって光芒が現れているシーンです。逆光で湯気が立ち上がるシーンを撮影すると、ふわっと柔らかいニュアンスや階調を捉えることができますし、繊細な霧氷の表情も、高い解像力で豊かな階調を表現できるG Masterならではの描写だと思います。この時は、スノーシューを履きながら、雪に沈まないように撮影をしました。こういったシーンではどんどん状況が変わるので、三脚から手持ちに切り替えて撮影。最新のαとG Masterには手持ち撮影でも撮り逃さないという、絶対的な信頼感があります。

α7R V,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS + 2X Teleconverter 200mm,F11,1/15秒,ISO400

上の写真は、オオカメノキという落葉樹の冬芽で、ウサギに似ていることで人気の冬の被写体です。真ん中が花になる部分で、両サイドが葉になる部分。これを、100mmマクロを使って、三脚を立てて緻密に撮影しました。マクロレンズを使う時は開放F値だけではなく、段階的に絞り込んで、どの絞り値が最適かを見極めます。一番見せたいのは真ん中の丸い部分ですが、両サイドの耳の部分も見せたいと思い、そこにもピントが来るような絞り値を探って撮影しました。冬の間も植物たちはじっと準備をしながら春が来るのを待っている。そんな姿に感動して捉えた1枚です。

α7R V,FE 12-24mm F2.8 GM 12mm,F16,1/250秒,ISO100

こちらは、標高2300mの山の上で撮ったものです。雪の上に見える足跡は野ウサギの足跡ですね。晴れた日には足跡がたくさん見られます。野ウサギの足跡を辿っていくと、池のそばで二の足を踏んでいるような足跡や、遊んでいたのかたくさんの足跡が入り交じっているような風景が見られます。おそらく、恋の相手を探してこのような足跡が見られるのだと思うので、何だかほっこりとした気持ちになりますね。標高2300mという厳しい環境の中で生きている野ウサギたちは、改めてすごいと思うんですよね。そういった動物や木々たちの生命力を感じたので、12-24mmの超広角レンズを使ってダイナミックに撮影しました。私は超広角レンズの画角がとても好きで、こういった狭い森の中に入る時にはよく使います。超広角を使えば、手前の雪を大きく、背景を小さく写してダイナミックに捉えつつ、太陽をきれいな光条にしてキラッと輝かせて撮ることができます。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 24mm,F16,0.4秒,ISO800

そして、こちらが最後の1枚です。立春を過ぎると、厳冬の山もどこか春の気配を感じ始めます。上の写真は、先ほどの森をずっと歩いて開けたところで撮影しました。びっしりと身につけていた氷を少しずつ落としていて、春の気配を感じるシーンです。この頃になると晴れる日がだんだん多くなってきます。1、2月よりも3月のほうが晴天が多く、降った雪が溶けて、また降って凍ってを繰り返しながら、だんだんと春が近づいてきます。ここで使っている「FE 16-35mm F2.8 GM II」の気に入っているところは素直な描写です。広角レンズながら歪みを感じさせない描写力で、16mmの広角域から35mmという標準域に近い焦点距離までカバーしているので非常に使い勝手がよく、小型軽量といったところも愛用しているポイントとなります。

どれも自信を持ってすすめられるG Masterの使い分けを伝授

今回は9本のレンズを使って撮影した作品をご覧いただきました。撮影した作品を見返してみると、一番多かったのは「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」でした。この焦点距離は、私がメインフィールドとして活動している場所との相性がいいようです。そして、自分が写真表現をするにあたっても、とても好きな焦点距離です。

次に多かったのが「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」。今までは広い風景を多く撮ってきましたが、マクロレンズで撮影した小さな世界を添えることで、より表現の幅が広がったと感じます。さらに、「FE 16-35mm F2.8 GM II」は小型軽量ながら描写力が非常に優れているので、広角ならではのダイナミックな風景を表現するのに適したレンズだと思います。先日発売された「FE 50-150mm F2 GM」と「FE 28-70mm F2 GM」も気になっている方が多いと思いますが、70-200mmと24-70mmとの使い分けに悩む人もいるのではないでしょうか。

私の個人的な感想になりますが、F2のレンズはF2.8より開放F値が明るいので、暗いシーン、例えば星空やホタルのシーンなどで活躍してくれます。ぼけ味も格段に柔らかいので、まるで単焦点レンズをギュッと1本に詰め込んだようなレンズです。ですから、ぼけ味やソフトな描写力を楽しみたい方、夜の撮影が多い方にはF2がおすすめです。「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」と「FE 24-70mm F2.8 GM II」は、ともに2型になって非常に軽くなりました。私の場合、どこに行くにも広角、標準、望遠が必要で、最近はマクロも追加したので、どうしてもカメラバッグが重くなってしまいます。いろいろな機材を詰め込んで撮影したい方には、軽いF2.8のレンズの方がいいと思います。F2.8なのでぼけ味も美しく描けますし、パンフォーカスをしてくっきりとした風景写真を撮りたい方にも最適です。G Masterは非常に高い解像感と柔らかいぼけ味を兼ね備えているので、どれも自信を持っておすすめできる素晴らしいレンズとなっています。もし気になるレンズがありましたら、ぜひ手にとって見ていただき、その素晴らしさを体感してみてください。本日は、ご清聴いただきありがとうございました。

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