α7R VIで広がる花の表現――並木隆氏が語る、見えなかった魅力を引き出す高解像と豊かな階調
Rの解像、その先へ vol.11

写真家 並木隆 氏

α Universe editorial team

花を撮影するとき、私が大切にしているのは、花そのものが持つ魅力をどう引き出すかということです。クローズアップでは、ぱっと見ただけでは見えてこない花の隠れた魅力を引き出したいと思っていますし、引きのときは花そのものだけでなく、季節や状況、雰囲気などを取り込んで撮影することを意識しています。その姿、その色で、そのとき、その場所で咲いている花の存在意義を伝えられたらいいなと思っています。

花を撮る中で感じたAFの使いやすさ

そうした花の撮影をする中で、α7R VIを使い始めて、撮影を重ねるたびに感じたのが、AF時のピントの戻りの良さです。ミラーレス一眼のクセとも言える、一度遠くにピントが合うと手前の被写体になかなか戻ってくれないという印象がありましたが、α7R VIでは、何回かシャッターボタンを半押しすると手前に戻ってきてくれるようになっています。この一気に手前に戻ってくるのではなく、徐々に戻ってきてくれるのが、多少時間はかかるものの使いやすい部分でした。

前ぼけと色で引き出す、花の印象

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F2.8,1/500秒,ISO1000

花の魅力を引き出す方法のひとつとして、前ぼけも重要な要素になります。この作品では、花びらの尖った形と色が気に入ったので、被写体だけでなく前ぼけで形と色の印象が強くなるよう、撮影距離でぼけ具合を確認しながらシャッターを切りました。曇天下の日陰に咲いていた薄紫のクレマチスは、ホワイトバランスの設定によって青くなったり赤くなったりと偏りが出ます。そこで、オートホワイトバランスの精度が安定したとのことで使ってみたところ、見た目通りの色に仕上がりました。さらに、フレーミングによって色味がコロコロ変わらない安定性にも感心してしまいました。花の形や色だけでなく、その場で見た印象をどこまで忠実に残せるか。そうした部分でも、α7R VIの進化を感じています。

高解像が捉える、花ひとつひとつの繊細な表情

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F4,1/500秒,ISO800

一方で、花の色や質感を繊細に表現したい場面では、解像力や階調表現も重要になります。こちらのアジサイでは、淡いブルーから儚さと華やかさの両方を表現しようとレンズを向けました。これ以上露出を明るくすると白くなり、暗くすると色は濃くなりますが華やかさが消えてしまいます。そこで、α7R VIのダイナミックレンジが広がったお陰で、意図通りに表現できただけでなく、花びらの柔らかな質感もしっかり再現することができました。

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F2.8,1/3200秒,ISO400

また、黄色いノコギリソウは5mmほどのとても小さく可愛い花です。可愛さと花数を表現するために引きでフレーミングしていますが、有効最大約6680万画素の高解像度によって、この花の特徴でもある密集した花のひとつひとつをしっかり描写してくれました。撮影後のピント確認で拡大表示したときは、高精細すぎて肉眼では見えない部分まで見えてきて、思わず声が出てしまいました。

水滴の質感と前ぼけを思い通りに

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F8,1/1250秒,ISO800
α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F5,1/2500秒,ISO800

高解像による描写力は、花だけでなく、その周囲にある小さな要素を表現するときにも活きてきます。蓮の葉は表面の撥水性能によって、コロコロと転がるようなかわいい水滴になります。ただ、水滴だけではやや地味な印象になると思い、手前の花をぼかして入れています。その水滴の質感がしっかり描写されているのは、有効最大約6680万画素の高解像度ならではだなと感じましたね。また、蓮の花は背が高く、ワーキングディスタンスを調整することが難しいので、開放絞りでは手前の花のぼけ具合が大きく、薄くなってしまいます。そこで絞り込んで調整しています。その際、より鮮明になった電子ビューファインダーは、絞り値によるぼけ具合の変化だけでなく、色の濃淡もリアルタイムで正確に見せてくれるので、好みのぼけ具合を実現できました。

マクロ撮影を支える、ピント確認のしやすさ

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F2.8,1/2500秒,ISO400
α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F5,1/500秒,ISO800

花のクローズアップは被写界深度が極端に浅くなるので、撮影時のピント合わせには細かな注意が必要です。屋外ではカメラを固定していても風で揺れたりするだけでずれてしまうのでとても苦労します。そこで、ピーキングをONにしておけば、ピントの合っている部分だけ色が変わってリアルタイムで確認できるので、これが必須です。私は、デフォルトでONになっているMF時の自動ピント拡大はOFFにしています。画面全体が見えなくなるのが嫌だからです。そのうえで、ピーキング表示はON、強度は中、色はレッドに設定しています。とはいえ、撮影したらすぐに拡大表示してピント確認や被写体ブレの有無を確認し、上手くいってなければ再度撮影して、合うまでしつこく撮影します。これが成功の秘訣だったりします。

撮影できる光の条件そのものが広がった

α7R VI,FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 100mm,F2.8,1/200秒,ISO400

こうした撮影を重ねる中で、α7R VIによって撮影できる光の条件そのものも広がったと感じています。これまで花を落ち着いた雰囲気で撮影したいときは、明暗差の激しい条件では白飛びや黒潰れが起きやすいため、避けてきました。しかし、ダイナミックレンジがさらに広がったことで、その条件を少し緩和してもいいんだなと感じました。これまでよりも撮影できる光の条件の幅が広がったので、自分の中でもアップデートしていかないとですね。新しい表現ができるよう、これからいろいろな条件を試してみたいと思います。

「とてもよく写る」からこそ、被写体選びも重要に

α7R VIを使ってみて感じた魅力をまとめると、積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」と新世代の画像処理エンジン「BIONZ XR2」が生み出す広いダイナミックレンジと、有効最大約6680万画素による高解像度は、最強の組み合わせですね。ひと言で言えば「とてもよく写る」カメラに仕上がっています。ただ、花の傷んでいる部分やゴミなど、高精細がゆえに汚い部分まで鮮明に写ってしまうので、被写体選びをこれまで以上に慎重にしないといけなくなりました。広いダイナミックレンジを獲得した画質、精度の高くなったオートホワイトバランス、それらをしっかり確認できる電子ビューファインダー。α7R VIは、これまでの常識にとらわれず、新しい領域の撮影に挑めるカメラだなと思いました。

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