α7R VIが描き出す飛行機のリアリティー――佐々木豊氏が語る、高画素が広げる撮影表現
Rの解像、その先へ vol.10

写真家 佐々木豊 氏

α Universe editorial team

αの使いやすさを受け継ぎ、さらに高まった撮影への没入感

αシリーズ最高画素数(2026年5月広報発表時点)を誇るα7R VIがどのような画を描き出してくれるのか、非常に興味深かったです。まず手にしての感想は、基本的にαのボディーや操作性を踏襲されていて、α1 IIから持ち替えても手になじむ感じは同じでした。これはαの持つ統一された使用感でもあると思います。撮影者にとっては非常に重要で、機材を変えることによって大きさや、グリップの感じなどが変わると、大袈裟ですがどこかで頭の切り替えが必要になるのです。それと、ファインダーをのぞいた瞬間、今までになくクリアーに感じました。私もこの辺は要望してきたことですが、細かいところまで非常によく解像して見えて、より撮影に没入できました。

光を読み、飛行機が最も輝く瞬間を切り取る

私が飛行機を撮影する際に大切にしているのは、光をどう使うかということです。太陽の向きやその光の質、強さなどは常に感じ、頭に入れながら撮影しています。光の当たり方一つで写真の表情はガラッと変わります。それと、飛行機が一番光り輝く、カッコいいシーンを撮影したいと思っています。同じようなシーンでも、飛行機の角度や光の当たり方で随分と印象は変わるものです。それを細かく読んで、微調整しながら想いのシーンを切り撮っています。あとは、飛行機にそれほど興味のない人にでも「良い」と思ってもらえる写真を撮ることです。そこには飛行機以外の要素が必要になってきます。それをいかにうまく使えるか、表現できるかが重要になってきます。

高画素が生み出す、飛行機のリアリティー

α7R VI,FE 100-400mm F4.5 GM OSS 400mm,F6.3,1/1000秒,ISO250
α7R VI,FE 100-400mm F4.5 GM OSS 226mm,F5.6,8秒,ISO64

これまでもα7R Vは使っていました。この2枚のようなシーンをより高精細にとらえたいときに使っていましたが、新しく出たα7R VIを使って、まずその解像度に驚きました。伊丹空港に着陸するB787を千里川で、もう1枚は羽田空港の駐機場でエアバスA320neoを撮影しました。その解像度たるや、すさまじいものがありました。自宅の27型の4Kモニターで等倍拡大した時の画は、感動すらありました。飛行機は機械ものです。高精細に撮れるかというのは非常に大きなファクターです。気持ちいいくらいに細かいところまで描写してくれていて、「35mmフルサイズでここまで可能にしたのか」という印象です。飛行機撮影において解像度が高いということは、リアリティーの追求という観点で非常に大きなアドバンテージになります。

α7R VI,FE 50mm F1.2 GM 50mm,F2.8,1/800秒,ISO400

α7R VIは、夕暮れのように光が大きく変化するシーンでも力を発揮してくれます。毎年5月によく夕焼けを見ますが、今年は6月に多く夕焼けを見ることができました。こちらは伊丹空港に着陸するB787を千里川で撮影したものです。こういうシーンは、撮影した時の色温度や露出によって、撮影される色味は変わってきます。撮影しているときにその色になるように微調整を掛けながら撮影しますが、最終は目で見た時の記憶を再現するようにしています。このシーンも、太陽が沈み、オレンジからピンクに変わる手前の微妙な色を再現できたと思います。これも新たなイメージセンサーと画像処理エンジンによって、微妙な色まで忠実に再現できるようになったところに進化を感じました。あとはダイナミックレンジの広さですね。シャドー部もそうですが、奥の太陽の沈んだ後の雲の感じもしっかり残ってくれています。

高精度AFが、構図に集中する余裕を生む

α7R VI,FE 100-400mm F4.5 GM OSS + 2X Teleconverter 1200mm,F9,1/500秒,ISO320
α7R VI,FE 100-400mm F4.5 GM OSS + 2X Teleconverter 800mm,F9,1/2500秒,ISO200

飛行機撮影では、光だけでなく、一瞬の動きを正確に捉えることも重要です。私は基本的に、被写体認識の飛行機モードが搭載されているカメラでは、この機能を全面的に使用して撮影しています。α7R VIも当然搭載されていますが、ファインダー内に飛行機が入ってきた時の合焦速度や追随性は上がっていると感じました。1枚目は伊丹空港に着陸するB787を1200mmで撮影したものです。APS-Cにクロップしていますが、それでも十分な解像度があり、被写体認識もしっかり追従してくれて、構図に集中して撮れた1枚です。また、もう1枚は、うろこ雲の中に西に傾いた太陽の近くを飛行機が通過するシーンです。太陽の強い光源に影響することなく、しっかり合焦し続けてくれました。こういう稀なシーンをしっかり撮影できることが、安心と信頼につながります。高画素であることに加え、こうしたAFの進化によって、撮影者は「ピントが合うか」という不安から解放され、目の前の光景や構図により集中できるようになったと感じています。

高画素だからこそ広がる、クロップとトリミングの自由度

α7R VI,FE 100-400mm F4.5 GM OSS 600mm,F6.3,1/1000秒,ISO200

そして、α7R VIの高い解像性能は、撮影後の作品づくりにも大きな余裕をもたらしてくれます。こちらは羽田のB滑走路を離陸するB787をイノベーションシティで撮影したシーンですが、400mmをAPS-Cクロップで600mm相当として撮影しました。

α7R VI,FE 100-400mm F4.5 GM OSS 600mm,F6.3,1/1000秒,ISO200

これをさらにトリミングして、約1100mm相当にまでクローズアップしてみたのですが、これでも850万画素以上は担保できているんです。APS-Cクロップをして、それをさらにトリミングしてもこれだけの解像度が担保できるのも、元の絵の解像度の高さがあればこその写真だと思います。高画素の利点は、高精細で撮影できることだけではありません。クロップやトリミングをしても十分な解像度を担保でき、構図の自由度が上がります。撮影後に「もう少しカットしたい」という場合も出てきます。そういう時に強い味方になります。

1800mm相当で捉えた、雨の中の一瞬

α7R VI,FE 600mm F4 GM OSS + 2X Teleconverter 1800mm,F8,1/500秒,ISO500

その高い解像性能をさらに活かしたのが、超望遠によるこちらの作品です。これを撮影したのが梅雨真っただ中の6月。600mmに2倍のテレコンを入れ、それにAPS-Cクロップをし、35mm換算で1800mm相当で撮影しました。飛行機までの距離は恐らく3km近くあると思います。こういう超ロングの撮影には陽炎の影響をもろに受けるため、それがないことが条件になります。雨はその陽炎を起きにくくしてくれます。また、着陸時にはエンジンの逆噴射(リバース)を行うため、滑走路にたまった雨水が巻き上がります。そしてもう1点、この飛行機(B767)はエンジンパワーが高いため、逆噴射も派手になることが多い機材です。それをこの焦点距離で狙いました。こんなにアップで、しかも高精細に撮れたのも、カメラの総合力があればこそだと感じました。

高速な飛行機撮影を支える、ブラックアウトフリーと使いやすさ

高画素や高いAF性能だけでなく、飛行機撮影の現場では機動性を支える機能も重要です。電子シャッターによるブラックアウトフリーで撮影ができることが、まず大きいですね。動きの速い飛行機には圧倒的に撮影が楽になります。また、夜間撮影などでは背面のボタンが見にくく、照明をボディーに当てながら手探りで押していましたが、ボタンの文字が光るイルミネーションは助かりますね。バッテリーの刷新も良かったと思います。縦位置グリップを使用し、2個のバッテリーで満充電から何枚くらい撮影できるか確認したところ、条件などに左右されると思いますが、7000カット以上撮影できました。数日の遠征なら、最悪充電できない状況でも撮影に集中できると思います。こうした一つひとつの機能が、長時間の撮影や遠征時の安心感につながっています。

高画素と高速性能を両立した、飛行機撮影の新たなメイン機

現在、α1 IIとα7R Vをシーンによって使い分けていますが、飛行機という動体の撮影のため、ブラックアウトフリー撮影が可能なα1 IIをチョイスすることが多くなります。そこにα7Rシリーズにも電子シャッターが搭載され、ブラックアウトフリーが可能になったことで、これだけの高画素機で連写機能も含め、サブではなくメイン機にもなるのではないかと思います。特に、機体をアップでディテールを克明に出したいシーンや、風景的なシーンなど、よりリアルを感じたいシーンで使ってみたいですね。高画素による圧倒的な解像性能を備えながら、高速な飛行機を追い続けられるAFやブラックアウトフリー撮影にも対応したα7R VI。撮影後のクロップやトリミングまで含めて構図の自由度を広げ、これまで以上に「飛行機をどう表現するか」に集中できる一台と言えるのではないでしょうか。

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