「THE NEW CREATORS」グランプリの副賞で
リリースされる楽曲のジャケット撮影に挑戦

アーティスト 花田智浩 氏

α Universe editorial team

第1回「THE NEW CREATORS」の写真作品でグランプリを受賞した、アーティストの花田智浩さん。その副賞としてソニー・ミュージックレーベルズが用意したのは、実際にリリースされる楽曲のジャケット撮影を担当すること。ここでは、実際に撮影をおこなった花田さんのほか、ソニー・ミュージックレーベルズの田野口真介さんにもインタビューし、現場での印象や、完成品に対しての感想などを聞いた。

【THE NEW CREATORSとは】ソニーのPurpose(存在意義)である「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」に則り、ソニー関係各社がその想いに共鳴した新しい才能を見出し、クリエイターと“感動”の未来を共創していく写真&映像アワード。第1回は、年齢や経験、撮影機材に制限のないオープン形式で、写真作品の3部門、映像作品の3部門の合計6部門を設けて幅広い作品を募集し、グランプリ含む各賞を決定した。第2回の募集はすでに終了しており、2026年10月に表彰式を実施予定。公式サイトTHE NEW CREATORS Photo & Movie Awards

個人ではできないような経験を得た、チームで取り組むジャケット撮影

――副賞としてジャケット撮影を体験した、率直な感想を聞かせてください。花田:現場では皆さんがとてもいい雰囲気をつくってくれたので、スムーズに撮影を進めることができました。今回、チームの皆さんと一緒に撮影をさせていただいたことで、個人ではできないような、ありがたい経験をさせていただけたと思っています。

――完成したジャケットはアーティストのポートレート的なビジュアルでしたが、作品づくりや仕事でポートレートを撮る機会はありますか?花田:受賞作品をはじめ、僕の作品を見たことがある方はポートレートを撮るイメージがあまりないかもしれませんが、特に苦手意識があるわけではなく、自分に合ったものを撮ろうとすると必然的に都市などになってしまっただけなんです。ただ、ポートレートを撮る機会は年に数回あります。現代美術家と交流する機会が多くあるので、彼らに展覧会で必要なポートレートを撮って欲しいとお願いされることもあれば、自分から撮影させて下さいとお願いする事もあります。――今回のジャケット撮影は、ソニー・ミュージックレーベルズからの副賞でしたが、この副賞にはどのような思いが込められているのでしょうか。田野口:これまでのアワードの副賞は、賞金や機材などが多かったと思うのですが、我々としては「その先の新しい体験」や「実績」といった機会を贈りたい、という思いからジャケット撮影をお願いすることにしました。結果的にグランプリを受賞した花田さんにとっても、我々にとっても、互いに良いセッションができたので非常に意義のある副賞だったと感じています。さらに、今回は弊社が担当している「ミーマイナー」というアーティストのジャケット撮影ということで、商用として世の中にリリースするところまでの流れも体験していただけたので、次の仕事に繋がるような設計ができたのではないかと思っています。今回の経験を、花田さんのキャリアの1つとして先々で役立ててもらえるとうれしいです。

撮影現場の様子

――花田さんを起用してのジャケット撮影では、どのようなことを期待していましたか?田野口:我々が普段アートワークをつくる上でご一緒するカメラマンは、音楽に精通している方や、経験豊富な方が多いので、ある種、予測できてしまう部分があるんです。でも、今回は花田さんとご一緒して自分たちが想像していなかったようなことができたので、我々も良い刺激をもらいましたし、今までにない化学反応が起きたと感じています。アーティストであるミーマイナーにとっても私たちにとっても、本当にいい財産になった、という思いです。

ありのままの自然な姿を写すため、撮影時に重視したのはスピード感

――副賞として撮影するアーティストに「ミーマイナー」を選んだ理由を教えてください。田野口:ミーマイナーは今年デビューしたばかりの、これからのアーティストなので、クリエイターにとっても、アーティストにとっても「ここが互いの原点になれば」という思いで選ばせていただきました。我々は音楽に対してのアートワークを主に作ることが多いので、凝り固まった考え方になってしまうことが多く、それをアーティストに押しつけたくない、という思いがあります。我々にとってはその凝り固まったものを打破するいい機会になりましたし、アーティストもいい刺激をもらえたと思います。――花田さんは楽曲を聞き込んで、イメージを膨らませて撮影に挑んだそうですが、撮影時に心掛けていたことはありますか?花田:もともとのディレクションがある現場だったので、そのイメージを崩さずに撮影することを一番に心掛けました。ミーマイナーは路上で1人も集まらないところから始めた、といった苦労話も聞いていたので、少しでも彼女たちのためになればいいな、という思いも強かったです。実は、車を運転していた時に、偶然にミーマイナーの曲が流れてきたんですよ。今は探せばいろいろな曲が聴ける時代ですが、僕の場合は本当に偶然だったので運命的なものも感じていました。田野口:「こういうジャケットでいきたい」という我々のイメージを、花田さんには最初にお伝えしました。ただ、そのイメージやアーティストに対する花田さんの解像度がものすごく高かったので、それができるのは写真家としての花田さんの魅力であり、才能だと感じました。ミーマイナーとも初対面とは思えないくらいの解像度の高さだったので、コンセプトがありながらも、アーティストの魅力を最大限に引き出せたのは花田さんのおかげだと思っています。――撮影時、アーティストの魅力を引き出すために工夫したことはありますか?花田:ありのままを写すのがいいと思っていたので、彼女そのものの姿や動きを重視して撮影しました。彼女はモデルではなくアーティストですから、僕のディレクションによって膠着していく可能性もあったので、できるだけ時間をかけずに撮るようにしたんです。長時間の撮影となると彼女も疲れてくるだろうし、「どうしたらいいのかよくわからない」という状況に陥ってしまうかもしれない。そのため、スピードを重視して、現場にいるスタッフ全員が撮影画像を見られる環境をつくり、チームが一体となって取り組む、ということも意識しました。田野口:花田さんがおっしゃるように、時間をかけずに撮ることはとても大事なことです。現場ではディスカッションをして、すぐに方向性を決めていったので、ライブ感があってとても楽しかったです。

アーティストの世界観を表現しながらも目を引くジャケットが完成

――今回の撮影現場を通じて、学びや発見などはありましたか?花田:僕の場合、自分でディレクションして、自分で作品をつくるのが通常作業なので、個で考える部分がとても多いんです。でも、ジャケットはディレクションをする田野口さんだったり、アーティストであるミーマイナーさんだったり、多くのスタッフが協力してつくり上げる制作物になります。そうすると様々な化学反応が起こり、自分自身の限界を超える作品ができるような感じがするんですよね。個人でつくるものはすべてを自分でコントロールできるけれど、俯瞰で見るのはとても難しいものです。でもチームでつくるものは、たくさんの視点を持って作品制作ができるので、多くの学びがありました。短い時間でしたが、プロフェッショナルなメンバーがたくさんいて刺激を受けたので、今後もまわりと連携してさらに高みを目指せるような作品に取り組めるといいな、と思っています。

――田野口さんは、現場での花田さんのディレクションやクリエイティブへの向き合い方をご覧になって、どのように感じましたか?田野口:花田さんと一緒にお仕事ができて、総じて楽しかったです。花田さんがおっしゃっていたように、こちらにはヘアメイクなど他のスタッフもいてチームで動いている中、「初めまして」で花田さんが入られたのですが、本当に良いチーム感だったと思います。初めての現場とは思えないくらい、いい意味で、遠慮なくご自身の考えを伝えてくれたのも良かったです。ディレクションをしていると必ず「どうしましょうか」と迷う場面に出くわしますが、「こっちの方がいいと思う」と遠慮なくご自身の意見を伝えてくれましたから。副賞うんぬんは置いておいて、純粋に今回のジャケット撮影を花田さんに担当してもらえて本当に良かったと感じています。――完成した成果物やビジュアルに対する、レーベル・アーティスト側としての満足度や感想を聞かせてください。田野口:たくさんの写真を撮っていただきましたが、本当に期待以上でした。我々もアーティストも本当にいいジャケット撮影ができて、目を引くジャケットが完成したと感じています。今回はサブスクなどで表示される配信用のジャケット撮影のため、扱いはどうしても小さくなってしまいます。そういう意味でも、アーティストの世界観を表現しつつ、目を引くジャケットに仕上げることができて大満足です。本当にあの日に、花田さんでなければ撮れなかった写真だと心から感じています。納品までの時間もかなりタイトだったのですが、現像とレタッチ作業も本当にスムーズで大変助かりました。我々からもいろいろと指示出しをさせていただきましたが、すごく丁寧に対応していただいて、出し戻しなしの一発OKだったんです。花田:モデルはできるだけ自然体でナチュラルな感じにしてほしいという指示がありましたが、僕もその点には賛同していたのでスムーズに進めることができましたし、方向性をしっかり共有できたからこそ一発OKをいただけたのだと思います。田野口:本当に素晴らしい仕上がりなので、予定はありませんが大きく印刷したいくらいです。撮影中のディスカッションでジャケットのサイズ感についても花田さんにはお話しましたが、そういったところもすぐに対応してくれて、「さすがだな」と感じました。

副賞として実務に挑戦してもらうことが新たな才能とレーベルの架け橋に

――今回の経験を経て、今後クリエイターとして挑戦したいことなど、未来の展望を聞かせてください。花田:自分の作品制作は個で完結することが多く、あまり他の人と関わることがなかったので、今回、副賞でいただいたジャケット撮影では新たな可能性を感じました。チームでのものづくりには新しい発見がありましたし、自分の想像を超えることもできたと実感しています。今後も、このようなジャケットの撮影に挑戦したり、チームで協力して何かの作品をつくったりする事に取り組んでいきたいと思っています。

――第2回THE NEW CREATORSではソニー・ミュージックレーベルズ特別賞が設けられていますが、「THE NEW CREATORS」を通して、新しい才能を発掘・協業していくことへのレーベルとしての想いを聞かせてください。田野口:第1回を開催して、我々がまだ知り得ない素晴らしい才能を持ったクリエイターやアーティストがたくさんいることを実感しましたし、今回の花田さんのように、我々の音楽の現場と掛け合わせると、思いもしないことが起きて素晴らしいものをつくれることにも気付くことができました。ですから、第2回は特別賞という形で、ソニー・ミュージックレーベルズとしてより主体的に関わらせていただくことになっています。音楽をビジネスとしている我々としても、新たな才能に出会う機会は必要ですが、これまでは出会うこと自体が難しかったんです。クリエイターの皆さんもその入口がわからずに「音楽ビジネスに関わりたいけれど、どうしたらいいかわからない」と悩まれている方もいらっしゃるはず。双方の入口をつくることは難しいとずっと感じていたので、「THE NEW CREATORS」での我々の副賞は、その架け橋のようになるのではないかと思っています。花田さんとミーマイナーのような関係値を今後もつくり上げていきたいと思っていますし、それが双方のキャリアとなり、何年後かにお互いがその時のことを語れるような関係性になったらこれ以上うれしいことはありません。ソニーグループとして「THE NEW CREATORS」に関わっていく以上は、その先にあるものも大事にしたいと思っています。

ミーマイナー2024年9月、シンガーソングライターのVoGt.美咲(TikTok「雲グミ」)と、ボカロP“もの憂げ”として「必要ないんだね feat.9Lana」で100万再生を記録したBa.さすけを中心に結成。「自分のマイナーな弱い部分」を単音では成り立たないコードのように掻き鳴らすという意味で「ミー(ME)マイナー(m)」と命名。忘れられない恋、言えなかった本音、誰もが抱えている小さな後悔を、ポップに、時々毒っぽく、リアルに表現する“泣ける”楽曲が共感を呼び、ワンマンライブは全て即完。AbemaTV恋リア番組の挿入歌やソニー損保CMジングルにも起用され、同世代を中心に注目を集めている。ソニーミュージックオフィシャルサイト:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MEminor/

ワンクリックアンケートにご協力ください

記事一覧
最新情報をお届け

αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。

閉じる