
FE 28-70mm F2 GMで捉える風景写真
写真家 清家道子氏

清家道子/写真家 福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動をしている。現在、企業カレンダーを手がけるほか、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。2016年に写真展「またまの宇宙」をリコーイメージングスクエアで開催。同写真集(日本写真企画)を出版。2017年、南仏をテーマにした写真集「The Gift Of Ranunculus」(風景写真出版)、2021年著書「美しい風景写真のマイルール」(インプレス)がある。2019年「純色風景」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、天神で開催。2022年「光の記憶」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、天神、銀座で開催。2020年にYouTube清家道子チャンネルを開設。風景写真、色彩心理、風景動画で構成した風景ショートムービーなどを配信中。https://www.youtube.com/@michiko_seikeαアカデミー講師、OMゼミ講師公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS)
FE 28-70mm F2 GMを触ってみての所感
F2通しのレンズと聞いた時はかなり大きく重たいレンズを想像していましたが、実際に触ってみると「こんなに小さくて軽いの?」というのが第一印象でした。私が愛用しているα7R Vとのバランス感も良く、これまであまり得意ではなかった標準域での表現も大きく広がると感じました。また、私は静止画だけではなく動画も撮りますが、映像のクオリティも確実にアップできると期待できるレンズです。
驚くほど美しいぼけ味
私はぼけ味を生かした撮影表現が好きなのですが、ぼけ味を出したい時は明るい望遠ズームレンズや100mmの単焦点を使っていました。今回のFE 28-70mm F2 GMは標準域でありながら驚くほどぼけ味が美しいのが魅力です。道端に咲く雑草でさえこのレンズを使えば作品に仕上げることができます。これまで望遠レンズやマクロレンズを使わないと叶わなかった表現が、標準域のズームレンズで難なく撮影することが出来るのが嬉しかったです。またF2ならではの透明感、解像感は単焦点レンズに匹敵するもので、単焦点レンズ数本分を一つにまとめたようなレンズだと思います。
高いクオリティの表現力と小型軽量設計の両立
F2通しのズームレンズと聞いた時はどれほど大きく重たいレンズなのだろうと身構えてしまいましたが、実際にこのレンズを手にすると驚くほど軽くてコンパクトでした。もちろん従来のF2.8のズームレンズと比べると重たくはなりますが、その重さに見合う表現力、美しい色彩を手にすることができました。レンズは軽い方が良いという傾向にありますが、風景写真において、より高いクオリティを求めた場合、このサイズ感、重量感は納得できるものでした。
F2.0通しのズームレンズで捉える風景画
私は広角か望遠の標準域をよく使いますがこのレンズが来たことで、これまであまり撮ってこなかった標準域での撮影も多くなると思いました。28-70mmという焦点距離は見たままを素直に写せる画角で、奇をてらわないありのままを表現することができます。このレンズの美しさ、透明感を使えば28-70mmの焦点距離で様々な作品が作れるなと感じます。
明暗差がある場面でも大活躍のレンズ
風景写真では朝日や夕日のシーンを撮影することが多いのですが、その際レンズに求められるのは逆光に強いレンズかどうかが重要になります。このレンズは限りなくゴーストやフレアを抑えられているレンズです。時に明暗差のあるシーンでは、影になった部分が潰れたり、明るいところが白飛びしてしまったりする事があるのですが、それらのダメージもほとんどなく、安心して光に向かって撮影することができました。
単焦点レンズに迫る描写力
こちらはコスモス畑の向こうから朝日が昇る瞬間です。 こういうシーンではレンズの向きによってはゴースト、フレアが入ることがありますが、このレンズを使うことで最小限に抑えられています。そして何より太陽の光に照らされ透過光になったコスモスのピンク色が美しく浮かび上がり、拡大してみると花びらの質感もとてもリアルで、朝露の水滴までも美しく描写されています。このレンズの解像感、描写力の高さを伺える一枚です。
こちらの場面では、滝の水飛沫に太陽の光が当たり、光芒になっています。実はこういう状況では周りが陰になり、黒く潰れてしまったり、色彩がよく出なかったりすることが多いのですが、滝の横のシダの葉や岩の質感、色味も綺麗に再現されています。細やかな部分まで手に取るように描かれており、このレンズに対する信頼感が確実なものになった一枚です。
このレンズは、より高い表現力を求める方には絶対におすすめです。様々なレンズの中でも描写力、色彩表現力ともに最高峰のレンズと言えるでしょう。どの画角でも単焦点レンズ並みの表現力で描くことができ、一度使えば離せない魅力がありました。私は風景写真を主に撮影しますが、自然界の中の緻密な質感や色彩などを余すところなく再現してくれます。決して大袈裟ではなくよりナチュラルに、よりリアルに風景写真として残してくれるその力量に感動しました。どんなジャンルでも安心して任せられるレンズだと思います。
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