広がるαプロフェッショナルフォトグラファー

α Photographer’s Voice

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Phtographer 永田 忠彦
Photographer

永田 忠彦

「今までにない何かを撮れるのではないか?
と期待させられるカメラ」

永田 忠彦(ながた ただひこ)

飽くなき好奇心とカメラという道具に魅せられ、広告や雑誌を中心にさまざまなジャンルの撮影を行う。旅の企画では日本全国や海外にも出かけ、普段は立ち入れないようなところでファインダーを覗いたり、素晴らしい料理のできたてをシェフの目の前で撮影する機会にも恵まれる。人物の魅力を引き出す撮影に定評があり、アーティスト、ミュージシャン、医師、作家、俳優、女優、スポーツ選手の撮影など、多岐にわたって活躍。最近では動画の撮影も手がけ、スチルで磨いた技術を動画の世界で生かす異色の映像作家を目指す。(「海の京都」特集ページはこちら ※α7シリーズで撮影)

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新しいアプローチで写真を撮るのはおもしろい

α7R II + E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS 1/3200 F6.3 ISO2500

元々写真を始めたのは、アートに興味があり、日大の芸術学部に入学して写真学科に入ったのがきっかけです。独立した時はオートバイが好きだったので、バイク雑誌に売り込みにいって、鈴鹿サーキットの撮影ライセンスを取って8耐などを撮っていました。自分も旅が好きでよくバイクに乗って旅に出ていたので、バイク関係の仕事を3〜4年やりましたね。当時、読書にはまっていた私は、作家とはどのような人なのか、と興味があり、文芸誌の編集部に売り込みに行って、そこから作家や書斎を撮る時代が何年か続きました。作家の方々は写真を撮られる仕事ではないので、写真を撮られるのが苦手な方も多く、撮影は難しかったりもするのですが、撮影した写真をご本人に気に入ってもらえたりすることもあり、いろんなジャンルの方々を撮影するポートレートの仕事が増えていきました。今は広告や雑誌を中心にさまざまなジャンルの撮影をしています。旅の企画のお話をよくいただくのですが、日本全国や海外にも出かけ、普段は立ち入れないようなところで撮影をしたり、すばらしい料理を撮影して旅を写真に残しています。動画の撮影も手がけるようになり、静止画の技術を生かして作品としての動画も撮影しています。

ソニーとの出会いはビデオカメラでした。動画の仕事依頼が入ってくるようになってきて、当時は一眼レフ機で動画を撮影していたのですが、ピント合わせなどで使いづらい点が多くあり、ソニーのFS700を購入しました。FS700が非常に使いやすく、少しずつソニーのカメラにも興味を持つようになりました。そんな中、たまたま立ち寄った販売店店頭でα7に出会いました。まずはデザインが個人的にかなり好みで試しにファインダーを覗いてみると、「これが電子ビューファインダーか?」というくらいキレイで驚きました。当然ビデオカメラで電子ビューファインダー(EVF)を使っていたのですが、α7のそれは全然違いました。EVFは写真の出来上がりを事前にファインダーで見れます。これにより写真に対するアプローチが全く変わるなと思いました。プロカメラマンのスキルの1つとして、自分の経験や知識を頼りに頭の中で想像してカメラの設定をし、よりイメージに近いものをできるだけ早く撮影するということがありますが、このEVFはそのようなプロのスキルを奪う機能だと思いました。しかし、技術の進歩とともにそのような技術的なスキルよりも芸術的な感性がより重視されるのだろうと思い、最新のテクノロジーを使って新しいアプローチで写真を撮るのはおもしろいのではないかと思うようになりました。その時は購入を見送ったのですが、それからもずっと気になっていて、拡張ISO感度最高409600の撮影ができ、4K動画の撮影ができるα7Sが登場した時にこれは新しい写真が撮れると思い、初めてソニーのデジタル一眼カメラを購入しました。ソニーのカメラで仕事をすることに対して不安が全くなかったと言えば嘘になりますが、私はFS700にたいへん満足していましたし、ソニーのイメージセンサーはたいへん評価が高いということもあり、ソニーのカメラ製品に対する信頼はありましたね。たまたまRXシリーズの開発者インタビューを読む機会があったのですが、開発者の製品に対するこだわりが素晴らしかった。RXが発売されたあたりから、20万円を超えるデジカメを発売する姿勢が本気でカメラをやっているのだと感じさせられました。

静止画も動画も高い次元で撮れるカメラ

α7S + Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS 1/4000 F3.5 ISO1000

α7が最もいいなと感じるのは、旅の撮影です。旅の雑誌などではいかに読者に実際の旅を想起させるかが重要です。旅には風景、スナップ、料理などいろいろなシーン、被写体がありますが、あっと思った時にすぐに撮ることは非常に重要なんです。旅の中ではライティングが十分でない場所も多々あるのですが、α7R IIは高画素にも関わらず高感度なモデルであり、ISO感度を上げてもノイズが全然気にならないです。サイレントシャッターも良く使います。旅の中で職人さんなどを取材する際は皆さんカメラを向けられると顔が強張るので、サイレントシャッターで自然な表情を撮れます。EVFで撮影結果をイメージしながら撮るので、撮影枚数も大幅に減りました。カメラを構えて撮る態勢をつくるまでのスピードと被写体を狙い、カメラの設定を決めてシャッターを押すまでのスピードがそれぞれ大幅に早くなりました。また、α7R IIを使うようになってからは高感度に強いことと5軸手ブレ補正の恩恵により、三脚をあまり使わなくなりました。今は念のため持ち歩いていますが、いつか持って行かなくなるかもしれませんね。できるだけ手持ちで自由に撮れるに越したことはないですね。旅をα7シリーズで撮影するようになってからは、クライアントから旅情が写っていると言われるようになりました。僕も撮っていて楽しいので、その瞬間をしっかりおさえられているのだと思います。

α7 + E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS 1/400 F5.6 ISO3200

最近マルチロールカメラマンという言葉を聞くようになりました。今は映画、動画、静止画のカメラマンがバラバラですが、きっとこれからは複数請け負えるカメラマンが増えると思います。そのような時代の流れに沿い、静止画も動画も高い次元で撮れるカメラがα7シリーズなのではないかと思います。最近α7R IIを購入してからは、仕事で使うカメラはほぼα7R IIの1台になりました。このカメラは今までにない何かを撮れるのではないか?と期待させられるカメラだと思います。そして実際使ってみてそう思いました。旅情が写っていると言われたのもまさにそういうことなのだと思います。