
第1回「THE NEW CREATORS」グランプリの副賞で
「Sony World Photography Awards」表彰式に参加しての思い
第1回「THE NEW CREATORS」の写真作品でグランプリを受賞した、アーティストの花田智浩さん。グランプリの副賞として招待されたのが、2026年4月にイギリス・ロンドンで開催された「ソニーワールドフォトグラフィーアワード」の表彰式だ。世界的なアワードの表彰式を生で見た感想や、参加した意義などを花田さんご本人に聞いた。
【THE NEW CREATORSとは】ソニーのPurpose(存在意義)である「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」に則り、ソニー関係各社がその想いに共鳴した新しい才能を見出し、クリエイターと“感動”の未来を共創していく写真&映像アワード。第1回は、年齢や経験、撮影機材に制限のないオープン形式で、写真作品の3部門、映像作品の3部門の合計6部門を設けて幅広い作品を募集し、グランプリ含む各賞を決定した。第2回の募集はすでに終了しており、2026年10月に表彰式を実施予定。公式サイトTHE NEW CREATORS Photo & Movie Awards
【Sony World Photography Awardsとは】写真文化の継続的な発展への貢献を目的に、2007年よりソニー株式会社が支援する世界最大規模の写真コンテスト。新進気鋭の写真家から既にキャリアを築いた写真家までを対象とし、広く世界に認知され、飛躍のきっかけを掴む機会を提供している。「組写真部門」「単写真部門」「ユース部門」「学生部門」の4部門で構成され、あらゆるキャリアステージや作品ジャンルに対応するプラットフォームを提供。さらに、写真界に多大な貢献を果たした個人や団体を称える特別功労賞(Outstanding Contribution to Photography)、環境問題やアクセシビリティ、ソーシャルインクルージョンといったテーマに取り組み、写真を通じて持続可能で公正な未来を訴える写真家を称えるサステナビリティ賞、そしてプロフェッショナル部門および一般公募部門に応募された作品の中から、国や地域ごとに優れた作品を表彰するナショナル&リージョナルアワードも設けている。公式サイトSony World Photography Awards | World Photography Organisation
準備の時間から気持ちの高まりを感じ、様々な出会いにも奮い立つ感覚があった
――なかなか出席する機会のない世界的なアワードへの出席だったと思いますが、どのような気持ちで会場に向かったのでしょうか?表彰式の雰囲気や、展示会の様子を実際に見ることができる貴重な機会だったので、とても楽しみにしていました。生まれて初めてタキシードを着用したこともいい思い出です。現地のロンドンでタキシードをレンタルしたので、こういった準備の時間にも気持ちの高まりを感じていました。今回は自分の作品が受賞したわけではありませんが、いろいろなアーティストやフォトグラファーに会うことができて奮い立つ感覚がありましたし、本当にこの場所に来ることができてよかったと思っています。
花田智浩さん
――表彰式の会場ではどのように過ごされたのですか?会場に30分前ぐらいに到着して、立食スペースで少しお酒をいただきながら歓談。その後、式典会場のテーブルに座って、表彰式の最中に食事を楽しむ、といった流れでした。表彰式は結婚披露宴のように、大きなテーブルに数人座って歓談するようなスタイル。セッティングがとても豪華で、お酒を飲んだり、写真を撮ったりして、その後に表彰式がスタートしました。
表彰式会場の様子
表彰式前にはホワイエで歓談する時間も
世界各国のフォトグラファーの作品が集結。見せ方も含めて印象的かつ刺激的だった
――ソニーワールドフォトグラフィーアワード受賞作品展の印象は?会場となった「サマセット・ハウス」は18世紀に建てられた歴史ある建造物で、世界的な美術コレクションや現代アートギャラリーなどが集まる複合文化施設です。
作品展の会場となったロンドンの「サマセット・ハウス」
今回はキュレーターが入っていて、そのキュレーターが受賞作品を展示するスタイルでした。通常、個人の写真展では、自分で作品をどうレイアウトするのか考えなければなりません。ですが、今回のアワードではキュレーターが作品の配置や見せ方を考えている。期間限定の展示ですから、限られた予算の中でどの作品も引き立つように、フレームに入れるのか、入れないのか、といったことを決めているんです。その展示がとても印象的で、一つひとつの作品を興味深く見てまわることができました。
受賞作品展を見てまわる花田さん
個人的な感想になりますが、このアワードは世界各国の人たちが集まって受賞作品を見ながらコミュニケーションを取っているのでとても刺激を受けましたし、こんなにネットワークを築ける場所はないのではないかと感じました。――アーティストの立場としては、キュレーターが入った展示についてはどのように捉えていますか?キュレーターは写真や美術作品を魅力的に見せるプロフェッショナルなので、もし僕の作品がキュレーターによって構成されたとしても心強く思いますし、第三者が客観的に見て自分の作品をどのように配置するか、とても興味があります。今回のアワードに関しては、時間的に作家との意見交換もできなかったと思いますが、作品を一堂に集めて展示を見ると「多様な作品の見せ方があるんだな」と肌で感じましたし、非常に好印象でした。
多くのアーティストと密な交流を図るためにも次は受賞者としてこの場に帰ってきたい
――作品展で印象的だった展示や作品はありますか?ランドスケープ部門で受賞されたイギリス出身のアーティスト、ダフナ・タルモアさんの作品には注目していました。僕と同じように写真をコラージュするアーティストで、実は、4年前ぐらいから知っていてずっと注目していたんです。それだけに、このアワードで受賞したとわかった時は「おお!」と思いました。撮影したフィルムのネガを自分自身でカットして抽象的な風景をつくり出す作家で、「ダフナ・タルモアが会場にいるんだ」とそわそわしたことを覚えています。ずっと話しかけるチャンスを狙っていたのですが、受賞者である彼女はすごく忙しそうで、結果的にお話はできませんでした。本当はご本人に、テクスチャーなど、モニターで見ただけではわからないことを聞いたり、本人のスタジオに行きたい思いを伝えたりしたかったのですが、同じ空間にいることができただけでもありがたいと思っています。
受賞者・受賞作品発表の様子
――作品受賞者や海外フォトグラファーとの交流はありましたか?日本人のアーティストも何人か受賞されていたので、その方々とはご挨拶させていただきました。中でも栗栖颯さんとは少し雑談して、今後もお会いできそうなきっかけをつくることができたのでうれしかったです。
パースペクティブ部門・第2位に入賞した栗栖颯さんと作品の前で歓談
栗栖さんが撮っているのは、センシティブで考えさせられるような作品なので、自分の気持ちをどう言葉で伝えたらいいのかわからず、作品についてお互いに話をすることはできなかったのですが、いい作品を撮る写真家とロンドンで出会うことができたのは大きな収穫でした。――その交流や受賞作品を通して得た「気づき」や「刺激」はありましたか?受賞作品を見て、受賞するには独自性が必要だと感じたので、作品をつくる上で「自分には何が必要なのか」、「僕にしかできないことはなんだろう」と、改めて見つめ直さなければならないと感じました。受賞した方々は自分の作品に対して自信を持っていると感じたので、自分も軸をぶらさずに、独自性を追求したいと思っています。あと、「自分の作品がここになければいけない」とも思いました。授賞式に参加できてうれしかったのですが、受賞者として参加できていればもっと他のアーティストにアプローチできたと思いますから。挨拶はできても作品がないと「あなたは誰?」「なぜここにいるの?」となってしまうので、受賞者としてもう一度この場に立ちたい、帰ってきたい、という思いです。
作品展の様子
――日本と海外で、応募される作品に違いは感じましたか?日本は良くも悪くも、ものすごくパーソナルな写真が多い気がします。海外でもそういった部分はありますが、社会的な要素を含めた作品表現も多く出てくるのでジャンルとしてもあまり偏りがない印象です。――記者会見では各受賞者やノミネートされた方が、作品への思いを語っていましたが、その中で共感したことや新たな気づきなどはありましたか?共感したのは、多くの受賞者が周囲への「感謝」を語っていたことです。表彰式の最後に登場したメキシコのアーティストも「家族や友達がいたからこそ、自分の作品をつくることができた」と話していました。作品そのものも魅力的ですが、やはり人間性も魅力的だからこそいろいろな人が助けてくれて、作品をつくることができるんだな、と感じました。
記者会見の様子
アワードへの招待で感じられた表現者として成長して欲しいという期待感
――今回の表彰式への参加は、1人の表現者としてどのような価値があるとお考えですか?今後、ソニーワールドフォトグラフィーに応募して、アワードを狙う立場としては、どういったものが受賞作品に選ばれているのか、どのようなものが展示されているかを生で見て、おおよそのイメージをつかむことができたのは大きな収穫でした。また、アワードでは世界各国の表現者が集まり、大きなコミュニティーをつくることができるのも素晴らしいことだと思います。――ソニーが副賞としてアワードへの招待を提供することに、どのような意義があると考えていますか?アーティストに賞を与えて終わり、ではなく、ソニーとしても「次のステージに行ってほしい」という思いがあったからこそ、アワードの表彰式に招待してもらえたと思うんです。実際に受賞作品を見て、アーティストとの交流を図ることで成長して欲しい、という思いも感じられました。受賞後も手厚いフォローをしていただき、作家の成長を考えてくれていることに、とても感謝しています。
表彰式での花田さん
今後は「THE NEW CREATORS」の第1回グランプリ受賞者として、第2回、第3回で受賞したアーティストとも交流する機会を設けるなど、「THE NEW CREATORS」という賞と一緒に成長していきたいと強く思っています。――この経験をどう次に生かしたいと思っていますか?先ほどもお話しましたが、ソニーワールドフォトグラフィーに応募して、自分自身が受賞者としてステージに立てるようになりたいと思っています。今回、ヨーロッパの雰囲気を感じ取って、改めて海外でも展示会をやっていきたいと思いましたし、イギリスに戻ってきた時には展示をしたい、という熱い思いが湧いてきました。――受賞後の一連の体験を通して感じたことなど、これからクリエイターを目指す若者の方に向けてメッセージをお願いします。「THE NEW CREATORS」でグランプリを獲ったことで、友人をはじめ、いろいろな人たちに祝福の言葉をいただきました。僕はSNSもやっているので「どこかで誰かが見てくれているんだな」と実感しましたし、作品をつくって、評価されて、おめでとうと言ってくれる人がいることは大きな励みになっています。僕も写真を始めてすんなりと賞を獲れたわけではありません。やりたいことを追い続けてきたからこそ、このような賞をいただくことができたと思っているので、自分を信じて一生懸命頑張ってほしいと思います。
ワンクリックアンケートにご協力ください
αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。






