
1本で広がる超望遠の世界──飛行機も風景も、もっと自在に
写真家 佐々木豊 氏
佐々木豊 / 写真家 1966年京都府生まれ。これまでモータースポーツやさまざまなスポーツ競技を撮影。雑誌などに作品を発表。その経験を活かし、現在は航空機撮影を主に行う。どんなシーンでも自分独自の視点とエッセンスを散りばめることに主眼を置いて撮影に挑む。伊丹空港を中心に全国各地の空港で活動。日本航空写真家協会(JAAP)準会員ソニープロサポート会員。αアカデミー講師。https://www.instagram.com/yutaka747/
「このサイズで800mm?」想像を超えたコンパクトさとバランスの良さ。
第一印象は、想像していたサイズより小さかったことと、持った時のバランスの良さですね。このサイズで800mmまでカバー出来るということは、機動性も含め表現の幅が広がると感じました。またズームリングの回転角の小ささとスムーズさで非常に画角が変えやすい。またレンズ全体のしっかりした造りの良さも感じました。この辺りの超望遠域になると三脚で撮影することが多いのですが、その重量、サイズから非常に手軽に撮影でき、手持ちで機動力を上げて撮影したくなります。またカメラバッグのおさまりも良く、それほど大きなバッグは必要としないところも遠方などの飛行機での遠征の際は非常に助かります。
自由な画角調整がもたらす飛行機撮影の新しい可能性
この写真は1.4X テレコンバーターを装着して1120mm相当で撮影しています。望遠端が800mm対応ということでよりクローズアップした写真が撮影できるのはもちろんのこと、600〜800mmの望遠域で画角の調整ができる点は飛行機撮影にとっては非常に有効です。今まで単焦点では望遠過ぎて被写体がカットされてしまうこともありました。それがズームによって調整が可能になります。この辺の超望遠域になると撮影する条件が非常に重要になってきます。条件が揃ったとしても機材の性能が低いと期待に応えてくれない結果になってしまいます。そういう意味でこのレンズは高い描写力を持っているので十分期待に応えてくれました。また素晴らしい解像度でトリミング耐性も高く表現の幅が広がります。
高速被写体でも妥協しないフレーミングと追従力
動く被写体に対してはその動きに対して正確に追い続けるということが大事ですが、それはどのシャッター速度に対しても同じです。高速シャッターだからと言ってそれをおろそかにすると画像に現れてしまいます。また動くものですので画面内にどこにフレーミングし収めるかを撮影時調整しながら撮影しています。この辺を後で調整することは基本的に考えていません。
夕陽を貫く機体は、タイミングと場所を緻密に計算して
これは関西空港の対岸から撮影しました。太陽の沈む位置と離陸機の位置とが絡む時期があります。太陽の位置は日々変わるので、アプリの活用と現場で実際に確認しながら撮影ポイントを決めています。ただ様々な条件が必要でなかなか思い通りには撮影できません。飛行機までは直線距離で7km以上あり、400mm以上の望遠レンズも必要です。
ズームで構図自在、ゴーストのない安心感
伊丹空港の千里川で離陸する機体を撮影しています。夜になれば山肌の宝塚の住宅地が光源となり美しいシーンが見られます。ズームレンズでは飛行機の大きさによって画角を変えられますし、思いの構図で撮影が可能になります。また着陸誘導等を左下に入れた構図にしましたが、強い光源が入ってもゴーストなども無く、光学特性も優秀だと感じました。
18km先の文字まで映す驚異の解像力
このレンズの性能を特に感じた写真がこれでした。伊丹空港に着陸するB787を池田市の五月山から標高約300mmほどの高さから撮影したものですが、雨上がりのこの時は視程(見通し距離)も素晴らしく良く、18km先の大阪梅田中心街のビルもくっきり見えました。好条件ではありましたが、レンズの解像度もこの条件に応える素晴らしさがあり、ビルに書かれた細かい文字までもが解像しています。ぜひ大きなプリントで見ていただきたい写真です。
桜と飛行機の共演はピントもぼけも意図通り
この日の成田さくらの山は桜も満開で天候も良く青空に桜のピンク色が映えていました。FE400-800mmで手前の桜を前ぼけにして離陸する飛行機を撮影しました。青空の中を離陸する飛行機を追いながら桜のポイントに入るようにポジションに移動しながら撮影しています。機体のサイズに対してズームで合わせながら撮影できる点は思い通りの作画が可能でしたし、手前の桜にAFを持っていかれることなく撮影ができたのは大きな助けになっています。また桜のぼけ具合もうるさすぎずイメージ通りの良いぼけで撮影ができました。
水しぶきをあげて飛び立つ機体をとらえる
伊丹空港で離陸正面が撮影できるポイントで撮影しています。離陸のシーンはエンジンのパワーも上り、翼が大きくしなり力強くダイナミックなシーンが撮影できます。600mm以上の望遠を使うことが多いので陽炎には注意が必要です。この日は雨が降った後で滑走路にはまだ雨が残りその中をしぶきをあげながら離陸するB787を狙いました。
航空ショーから夜景まで幅広く活躍が期待できるレンズ
機動性の良さや軽さから航空ショーや戦闘機撮影には威力を発揮すると思います。民間機撮影でも機体のサイズによってズーミングで調整でき、フレーミングの自由度が上がるところも大きなポイントですね。開放F値が単焦点に比べ高いですが、ISO感度で調整できるので、それほどマイナスでは無いところから夜間撮影も積極的に使っていただきたいですね
単焦点数本分の価値をこの1本で
飛行機撮影では撮影ポイントから飛行機までの距離が遠く、アップで撮るには超望遠が必要になってきます。どうしても大きなレンズを使用しなくてはいけなくなりますが、このレンズは単焦点レンズ数本分を1本でカバーできてしまう手軽さと構図の自由度を手にする事ができます。また800mmの焦点距離を考えるとコンパクトなサイズと軽さは大きな武器になるでしょう。
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